<概要/Course Content Summary>
自然科学や数学は,人類が持つ自然観や知性を体系化する中から生まれた。そして,人類の知識総体の拡大,および科学の産業利用の進行と技術の飛躍的発展は,科学技術という名の巨大な知の体系をもたらした。この科学技術的知は,現代の世界や人々の生活に決定的な影響力を持つと同時に,20世紀に顕在化した科学技術の社会的問題群を契機に人々の中に「科学万能主義」への懐疑も生じさせている。こうした正負両面を持つ科学の発展の歴史と科学それ自体を,科学自身の内的な視点および社会との関係といった外的な視点の双方から解明しようとするのが科学史・科学論である。 このクラスでは以下内容を学ぶ。 人類史の一側面として科学の歴史を概説する。文明の発祥とともに人類は自然観を持ち,その自然観が洗練され体系化される中から科学が生まれた。その科学の進展は自然観そのものの変革をもたらし,そのことがまた科学の飛躍的発展へと繋がった。このように自然科学と自然観は密接な相互関係にある。 本講義では古代ギリシャの天動説的宇宙観・生気論的生命観から現在のビッグバン宇宙論・進化生物学的生命観の確立までの全史を概略的に学ぶ。また,20世紀の科学哲学の起こりとトーマス・クーンの科学革命論(パラダイム論)に至る経緯を学び,さらにクーン以降の科学論の展開も概説する。本講義では相対論や量子力学,分子遺伝学などの現代科学の基礎概念についての理解が必要になるが,自然科学の前提知識に乏しい文系学生の理解も得るために数式などを使った厳密な理解を求めず,図や画像を使った概念的理解にとどめる。また,現代科学の到達点に立って科学の役割と問題点における若干の考察を最後に行い,秋学期の自然科学特論(科学史・科学論)への橋渡しとする。
<到達目標/Goals,Aims>
1.受講生は古代から20世紀までの科学とその世界観の歴史についての概観を得ることができる。 2.受講生はクーンのパラダイム論と現代の科学論の概略についての知識を得ることができる。 3.受講生は,相対論や量子論などの現代物理学の基礎概念,及び分子生物学を基礎とした現代進化学の重要概念を理解できるようになる。
<DO Week期間の初回動画等の配信/The delivery of the first video, etc. during the “DO Week”>
あり/ Deliver the video
・第1回講義イントロダクション説明動画
・第1回講義「イントロダクション+科学史における時代区分」音声付きスライド
・第1回講義 レジメ
備考:「科学史における時代区分」にはコメントを提出してください。なお、音声付きスライドとレジメはDUETのメッセージを通じても配信します。コメント提出はDUETメッセージ記載の期限までにDUETメッセージの回答に書き込んで提出してください。
<授業計画/Schedule>
実施時期 /Week |
授業回/Number of Lesson |
授業実施方法 /How to conduct a Lesson |
授業実施時間数 /Class Hours |
内容/Contents |
授業時間外の学習/Assignments |
第1週 DO Week
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第1回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
イントロダクション(講義の内容と進め方について動画配信+「科学史における時代区分」に関するスライド配 信) |
配布レジュメと解説付きのスライドを熟読・学習し,要点 を整理する。必要に応じ参考文献も参照する。学習 した内容に自分の感想や評価を加え 300 字以上でコメントを作成し提出する。 |
第2週
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第2回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
古代ギリシャ・ローマの自然観からルネサンスへ |
同上 |
第3週
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第3回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
第1の科学革命(ニュートン力学の確立) |
同上 |
第4週
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第4回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
科学革命の展開と諸分野への波及 |
同上 |
第5週
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第5回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
産業革命の進展と19世紀の科学革命 |
同上 |
第6週
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第6回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
科学的進化論の登場(ラマルクからダーウィンへ) |
同上 |
第7週
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第7回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
力学的自然観の完成と弁証法的自然観 |
同上 |
第8週
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第8回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
20世紀初頭の物理学革命(1)(相対性理論の成立) |
同上 |
第9週
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第9回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
20世紀初頭の物理学革命(2)(量子力学の成立) |
同上 |
第10週
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第10回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
科学哲学のウィーン学派とクーンのパラダイム論 |
同上 |
第11週
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第11回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
メンデル遺伝学と自然選択説 |
同上 |
第12週
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第12回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
20世紀前半の進化・遺伝学論争と総合説の確立 |
同上 |
第13週
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第13回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
分子生物学の確立と発展 |
同上 |
第14週
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第14回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
分子進化の中立説と現代進化学 |
同上 |
授業期間終了後/After the Class Period
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第15回 |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)
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90 分/min |
まとめにかえて (まとめ動画配信+「放射線被曝健康影響科学のパラダイム転換は起こるのか?」スライド配信) |
同上 |
<授業実施時間数/Class Hours>
授業実施方法/How to Conduct a Lesson |
授業実施時間数/ Class Hours |
面接/Face-to-face |
0 分/min |
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video) |
1350 分/min |
オンデマンド(授業内課題)/On-demand(assignment in class) |
0 分/min |
リアルタイム配信/Real-time online |
0 分/min |
その他/Others |
0 分/min |
総合計/Total Amount of Class Hours |
1350 分/min |
授業計画は,講義の進展状況などにより変更することがあります。
アクティブラーニング/Active Learning
使用システム/System Tools
e-class, DUET のメッセージで毎回の講義資料を配信する。授業開始時間までに配信する。
使用システムコメント/ Comment on the System tools
DUET で各回講義の資料としてレジメと音声解説付きスライドとを配信する。コメントの提出も原則として DUET で提出す るものとする。補足的に e-class にも資料を配信するが、スライドは音声なしである。
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点(出席,クラス参加)
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30%
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講義内容に関するコメントの提出をもって出席を確認する。 2 点×15 回=30 点
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期末レポート試験・論文
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40%
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課題テーマを複数出します。基本は講義を正しく理解できているかどうかがポイントになるが,それをベースに自らの思考が説得的に展開されていたら高評価を与える。ただし講義内容無視の独りよがりなものは低評価になる。
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提出物
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30%
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講義に対するコメント内容の評価に応じて点数を与える。 1 つの講義コメントに対し最高 2 点。全体で 2 点×15 回= 30 点
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出席点 30 点と毎回の講義へのコメント点 30 点と期末レポート 40 点の合計点で成績評価する。講義資料はネット配信の予 定なので,講義配信から 2 週間以内にコメントが提出されたことをもって出席と判断する。原則として 60 点以上で合格とす る。
<テキスト/Textbook>
<参考文献/Reference Book>
『思想史の中の科学』は本講義の深い理解にとって非常に有益なので読むことを勧める。理数科目が苦手な人は『知識ゼロからの科学史入門』は役に立つだろう。科学哲学の理解をもっと深めたい人は『科学哲学の冒険』が最適です。
<連絡方法 / Contact method>
科目担当者への連絡方法/Contact method from student to instructor
①DUET で配信される各講義のメッセージに記載されているメールアドレスにメールを送る。②e-class のメッセージ機能で 担当者に送る。
科目担当者からの連絡方法/Contact method from instructor to students
1複数の受講生への連絡は DUET のメッセージを送る。2個別の連絡は e-class のメッセージを送る。3受講生から届いたメールにはメールで返信する。
<授業形態備考/Class type>
遠隔授業になる予定。毎回講義開始時間までにレジメとスライドを DUET のメッセージを通じて配信する。講義配信 か ら 2 週間以内に講義のコメント(300 字以上 400 字程度)を同じ DUET のメッセージに回答した場合を出席とする。講義 内容をしっか り理解したことがわかるコメントの場合,出席点にコメント点(0〜2 点)が加算される。
<備考/Remarks>
毎回講義が行われる日時までに講義内容に関する資料(レジメ,音声付きスライドなど)をDUETのメッセージで配信します。配信後,それらを使ってよく学習し,原則として2週間以内にその回の講義に対するコメントを300字以上400字程度でメッセージへの回答に書き込んで提出します(300 字以上は厳守,字数オーバーは OK)。期限内提出をもって,その回の講義に出席したとみなし,出席点+コメント評価点,合計4点満点での点数をつけます。15回の講義で4点×15回=60点満点となります。40点満点の期末レポートとあわせて合計100点満点で成績評価点をつけます。
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