シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2024年度

(金曜日2講時)
面接/Face-to-face

学則第9条の5対象
Article 9-5 of
the Undergraduate Regulations applies

対象外/Not Applicable

35630656 

○エコロジー経済学と良心 (「地球一個分」の「ネイチャーポジティブ」な経済)
Ecological Economics and Conscience
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  和田 喜彦 三俣 学

<概要/Course Content Summary>

世界の人口は急増しつつあり,国連の発表によれば2022年11月15日に世界総人口は80億人を突破した。一人当たりの資源消費量も増大しつつある。人類の活動は地球環境に多大な影響を及ぼすようになっている。人類の莫大な影響力は地球環境に長期的な痕跡を残すようになっているため,地質学上の「新人世」(Anthropocene)と呼ばれる新しい時代に突入したとも考えられている。結果的に,海洋や陸上の生物たちの生息場所は縮小し,生物多様性は減少し,気候危機と呼ばれる現象も起きている。新型コロナパンデミックも人類が野生生物の領域に侵入したことが一因とする研究もある。 
 この科目では,どちらかというと異端視されがちであったエコロジー経済学の基本概念,世界認識からこれらの課題にアプローチする。エコロジー経済学者たちは,これらの課題の根本的解決のためには,人間の世界認識,自然観,人間観,人生観,ライフスタイル,経済運営のあり方におけるパラダイムの根本的変革が必要であると考えている。たとえば,自然界と人類の関係性である。地球上に生命が誕生して35億年の歳月が経過した。超長期的な時間の流れを経て無生物と生物は「共進化」してきた。地球上で起こっている自然界の営み全体が,自然界の摂理・法則によって支配されている。人類も生物の一員であり,自然界の摂理・法則の支配下にある。人類は,他の生物とは異なる特別な種であると考える傲慢さから脱却することが必要である。人類の経済社会が持続可能であろうとすれば,自然界の摂理・法則,メカニズムに順応した文明を構築する必要がある。そのためには,自然界の摂理を理解する必要がある。 
 生態系と共存できる文明をEcological Civilization(生態系と共存可能な文明)と呼ぶ。Ecological Civilizationの実現の第一歩は,人間と自然の関係性を正常なものに回復させることであることは言うまでもないが,人間同士の関係性も正常なものに戻す必要がある。具体的には,経済のグローバル化のメリットを享受する者とグローバル化による負の側面(環境破壊や児童労働など)による苦難を背負う者たち,持てる者と持てざる者の格差は拡大している。前者は後者が直面している人権侵害の実態を直視すべきである。すなわち,人間としての「尊厳」が尊重されていない事実が存在するが,われわれはそれから目を背けてしまいがちだ。私たちは近代化の過程で多発している公害被害の歴史から学ぶ必要がある。また,現代世代と未来世代の関係性を公平なものに変革していくことも重要だ。 
 エコロジー経済学は,文理融合,学際的な領域であり,熱力学,生態学,林学,その他の理系学問と経済学や神学,歴史学などの人文社会科学の研究成果を総動員して問題の核心に迫ろうとするエキサイティングな学問領域である。 
 エコロジー経済学者たちのオールタナティブなアイディアは少しずつ私たちのライフスタイルや経済運営に取り入れられ始めている。しかしながら,この流れは残念ながら必ずしも主流派となっている訳ではない。 
 この科目では,エコロジー経済学の基本的概念を理解し,胎動しつつあるオールタナティブなムーブメントについて検証し,生態系と共存でき,かつ人間同士の関係性も正常なものである真の意味でサスティナブルな文明を構築するための方法を考えるためのきっかけを提供したい。

<到達目標/Goals,Aims>

履修者が,エコロジー経済学の世界認識や概念を深く理解し,その理解に基づき,持続可能な社会構築のための根本的かつ具体的な方法を自ら主体的に考察できるようになること。

<DO Week期間の初回動画等の配信/The delivery of the first video, etc. during the “DO Week”>

なし/ Not deliver the video

<授業計画/Schedule>

実施時期
/Week
授業回/Number of Lesson 授業実施方法
/How to conduct a Lesson
授業実施時間数
/Class Hours
内容/Contents
授業時間外の学習/Assignments
第1週 DO Week

①6月6日・金 
面接/Face-to-face

90 分/min
(教室)オリエンテーション,導入
初回に学んだ内容を振り返り,自分自身の学習目的を明確にして下さい。 
第2週

②課題提出期限:6月12日・木・18時 オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 1)モデルとは何か?
オンデマンド動画で指示された課題を期日までにe-classに提出してください。
第2週

③6月13日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 1)モデルとは何か?
オンデマンド動画での学びを振り返り,疑問点を整理して教室に来てください。
第3週

④課題提出期限:6月19日・木・18時 オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 2)エコロジー経済学の世界観,世界認識(その1)
オンデマンド動画で指示された課題を期日までにe-classに提出してください。  
第3週

⑤6月20日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 2)エコロジー経済学の世界観,世界認識(その 1)
オンデマンド動画での学びを振り返り,疑問点を整理して教室に来てください。
第4週

⑥課題提出期限:6月26日・木・18時 オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 3)エコロジー経済学の世界観,世界認識(その2)
オンデマンド動画で指示された課題を期日までにe-classに提出してください。  
第4週

⑦6月27日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 3)エコロジー経済学の世界観,世界認識(その2)
オンデマンド動画での学びを振り返り,疑問点を整理して教室に来てください。
第5週

⑧課題提出期限:7月3日・木・18時 オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 4)エコロジカル・フットプリント
オンデマンド動画で指示された課題を期日までにe-classに提出してください。  
第5週

⑨7月4日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 4)エコロジカル・フットプリント 
オンデマンド動画での学びを振り返り,疑問点を整理して教室に来てください。
第6週

⑩課題提出期限:7月10日・木・18時 オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 5)近代化・経済成長と公害
オンデマンド動画で指示された課題を期日までにe-classに提出してください。  
第6週

⑪7月11日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 5)近代化・経済成長と公害
オンデマンド動画での学びを振り返り,疑問点を整理して教室に来てください。
第7週

⑫課題提出期限:7月17日・木・18時 
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 6)コモンズ論が示唆する持続可能な資源管理(担当:三俣学・経済学部教授)
オンデマンド動画で指示された課題を行ってください。課題はe-classに提出するのではなく,次回講義に持参してください。 
第7週

⑬7月18日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 6)コモンズ論が示唆する持続可能な資源管理 
(担当:三俣学・経済学部教授)
オンデマンド動画で指示された課題を行い,ディスカッションに備えて教室に来てください。
第8週

⑭課題提出期限:7月24日・木・18時 オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video)

90 分/min
(オンディマンド 7)生物多様性を回復させるネイチャーポジティブ経済へ,および総括
オンデマンド動画で指示された課題を期日までにe-classに提出してください。  
第8週

⑮7月25日・金 面接/Face-to-face

90 分/min
(教室 7)生物多様性を回復させるネイチャーポジティブ経済へ,および総括
授業の全体を振り返り,得られた知見を整理してきてください。

<授業実施時間数/Class Hours>

授業実施方法/How to Conduct a Lesson 授業実施時間数/ Class Hours
面接/Face-to-face 720 分/min
オンデマンド(動画視聴)/On-demand(watching video) 630 分/min
オンデマンド(授業内課題)/On-demand(assignment in class) 0 分/min
リアルタイム配信/Real-time online 0 分/min
その他/Others 0 分/min
総合計/Total Amount of Class Hours 1350 分/min

授業計画は変更する可能性がある。

アクティブラーニング/Active Learning

課題解決型学習 / PBL (Project Based Learning), ディスカッション / Discussion, プレゼンテーション / Presentation

使用システム/System Tools

e-class, Panopto

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

オンディマンド授業での課題提出(各回5%×6回=30%)  30%  課題において求められていることを的確に理解し,自分の意見をしっかりと表現してください。 
教室での対面授業への出席 
[(各回5%×7回)+(13回のみ10%×1回)=45%] 
45%  ディスカッションでの積極的な貢献を評価します。なお,10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等,不可避の事情があった場合には証明書を出していただければ考慮いたします。 
期末レポート  25%  授業全体を通じて学んだことを総括するためのレポートを提出していただきます。 

<テキスト/Textbook>

Dasgupta, P. , The Economics of Biodiversity :  The Dasgupta Review .   (London: HM Treasury, 2021) .  Full Report(606頁),Abridged Version(縮小版,103頁),Headline Messages(要旨,10頁)の3つの版がある。すべて,https://www.gov.uk/government/publications/final-report-the-economics-of-biodiversity-the-dasgupta-review からダウンロードできる。 
縮小版の日本語版(和田喜彦・山口臨太郎監修,三俣学協力,WWFジャパン翻訳『生物多様性の経済学:ダスグプタレビュー』(2021年))は,以下からダウンロードできる。 
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1012576/%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6_%E3%83%80%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%BF_%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E8%A6%81%E7%B4%84%E7%89%88.pdf 

 

同志社大学 良心学研究センター編  『パンデミック時代における良心』 (同志社大学 良心学研究センター、2021)

 

和田喜彦 , エコロジー経済学が目指すもの :  『福音と世界』2020年5月号 .   (新教出版社, 2020) . 

 

以上の他,資料をe-classから教材をダウンロードしてもらうことがあるので,e-classの使い方に習熟しておいてください。毎週e-classにアクセスし,こまめにチェックしてください。

<参考文献/Reference Book>

同志社大学 良心学研究センター編  『良心学入門』(岩波書店、2018)
 

同志社大学 良心学研究センター編  『良心から科学を考える-パンデミック時代への視座-』(岩波書店、2021)
 

三俣学・齋藤暖生  『森の経済学-森が森らしく,人が人らしくある経済-』初版 (日本評論社、2022年)ISBN:9784535559936 (三俣教授担当の授業にて使用します。) 
 
 

<参照URL/URL>

http://ecofoot.jp 
NPO法人エコロジカル・フットプリント・ジャパン(個人エコロジカル・フットプリント診断クイズはこのHPの中にあります。) 

<連絡方法 / Contact method>

科目担当者への連絡方法/Contact method from student to instructor

e-class, メール

科目担当者からの連絡方法/Contact method from instructor to students

e-class, メール

<備考/Remarks>

教員からの連絡は,大学から付与された学生ID対応のメールアドレスに届くようになっています。大学から付与されたメールアドレスを日常的に使っていない場合は,大学付与のメールアドレスに届く教員からのメールが,普段自分が使っているアドレスに転送されるように必ず事前に設定しておいてください。  
バリアフリーのための措置が必要な場合は遠慮無く申し出てください。  
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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