シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2022年度

(月曜日1講時)
遠隔/Online

16000224-052 

○比較言語文化論1-52 (アメリカのポピュラー音楽から考える人種・ジェンダー・セクシュアリティ・階級、その越境)
Comparative Studies in Language and Culture 1-52 -Race, Gender, Class, and Sexuality in American Popular Music and its Transnational Route to Japan-
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  永冨 真梨

<概要/Course Content Summary>

ヒップホップは都会の黒人の音楽,カントリーは田舎の労働者階級の白人の音楽,どちらも男性中心で性的マイノリティに対して寛容的とは言えない音楽ジャンルと認識されることが多い。このように,アメリカが発祥と考えられることの多いポピュラー音楽のジャンルは,ある特定の人種,階級,地域,ジェンダー, セクシュアリティにまつわるステレオタイプを伴って理解されてきた。本講義では,音楽のジャンルに付与されてきた既存のステレオタイプについて理解し,同時にこれらを批判する(クリティークする)ことによって,アメリカ合衆国の歴史や社会についての理解を深める。また,これらの「洋楽」が越境した日本では音楽ジャンルにまつわるステレオタイプがどのように解釈されてきたかについても考察し,日本における人種,ジェンダー,セクシュアリティ,階級に関するステレオタイプや考えについても理解を深める。本講義では,これらを理解するための事例として,主に「アメリカ南部」の音楽と想像されることの多い音楽ジャンルやスタイルに着目する。

<到達目標/Goals,Aims>

1:アメリカ合衆国で生まれた音楽ジャンルは,どのジャンルでも時と場所,実践する人々によってその意味が変遷することを理解できるようになる。 
2:様々な時代とジャンルの代表的な音楽スタイルを耳で聞いて区別することができるようになる。 
3:アメリカ合衆国で人々が様々な目的で音楽を利用してきた経緯を理解できるようになる。 
4:日本においてアメリカのポピュラー音楽がどのように理解され,語られ,表現されてきたかを把握し,今後の音楽消費のあり方や批評についての展望について考えを述べることができるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) イントロダクション(授業運営と評価基準の説明) 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 星野源の『Yellow Dancer』アルバムがどのように雑誌などで紹介されてきたかを調べてくる。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本のポピュラー音楽は何色(白,黒,黄,ピンク)?: 
YMO,星野源,CHAI 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 2020年代のわたしたちの音楽は誰が決める?: 
Mitsuki,Solange,Lil Nas X,イーハーアジェンダ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Megan Thee Stallion feat. Beyoncé "Savage Remix":「ブラックミュージック」の黒人らしさとジェンダー 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Maddie and Tae "Girl in a Country Song":カントリー音楽の白人らしさとジェンダー  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Lil Nas X feat. Billy Ray Cirus "Old Town Road" :ヒップホップとカントリー音楽の人種の境界線と階級性  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義で指示された内容の中間のまとめに向けての準備をする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中間のまとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) フォスター「ケンタッキーの我が家」:アメリカ南部の音楽の誕生(北部の音楽産業とグローバリゼーション)  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Ledbelly "Goodnight Irene":アメリカ南部の音楽の誕生(民俗学者と南部のミュージシャン)  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) Big Mama Thornton "Hound Dog":リズム・アンド・ブルース,ソウルとカントリー・アンド・ウェスタンとアメリカ南部   (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) Candi Staton "Stand By Your Man":リズム・アンド・ブルース,ソウルとカントリー・アンド・ウェスタンのアメリカ南部  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 矢野顕子「津軽ツアー」とリトルフィート:日本にとっての「アメリカ南部」,ロック規範と男性性  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) Indigo Girls "Country Radio":ポピュラー音楽とクィア,田舎と階級性  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) CHAI「まるごと」:ポピュラー音楽とアセクシュアル  (授業時間外の学習/ Assignments) 次回のテーマに該当するプレイリストを作成,または聞き,その音楽のスタイルやアーティストに関して調べてくる 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 授業内評価  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義で指定された授業内評価に関する内容を把握する 

授業の進度は,上記の表を目安とするが,開講後クラスの様子を見て,必要があれば調整する。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  20%  授業へのコメントや質問,レスポンスペーパーでのコメント。 
授業内評価  80%  授業の中間と最後に行うレポートもしくはテストの点数に基づいて評価を行う。 

上記の評価項目を総合して最終的な成績を算出する。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
348 15.8 11.5 26.4 43.7 2.6 0.0 1.9

<テキスト/Textbook>

大和田俊之  『アメリカ音楽の新しい地図』 (筑摩書房、2021) ISBN:9784480874092 

 

本教科書は授業で参照するだけではなく,期末テストまたはレポートの問題やトピックとして出題されるので,必ず購入すること。

<参考文献/Reference Book>

  『アメリカ音楽史-ミンストレル・ショウ,ブルースからヒップホップまで-』(講談社、2011)ISBN:978-4-06-258497-5 
 

長谷川町蔵,大和田俊之  『文化系のためのヒップホップ』(アルテスパブリッシング、2011)
 

長谷川町蔵,大和田俊之  『文化系のためのヒップホップ2』(アルテスパブリッシング、2018)
 

長谷川町蔵,大和田俊之  『文化系のためのヒップホップ3』(アルテスパブリッシング、2019)
 

永冨真梨  『『ポピュラー音楽研究』vol.24-「「黒い」音と「白い」音を再考する:「南部の音」を創った『ニューミュージック・マガジン』の記事を事例として」-』(2021)
 

大和田俊之  『〈music is music〉lecture series --ポップ・ミュージックを語る10の視点』(アルテスパブリッシング、2020)ISBN:978-4-86559-215-3 
 

これらの著書は授業で参照する。熱心な学生さんは,前もって読まれると授業への理解が深まる。

<授業形態備考/Class type>

【授業形態】
以下の方法で,ネット配信のオンデマンド型の授業を行う。

【授業で使用するアプリケーションなど】
・Microfost Teams(連絡のために使用)
・YouTube(授業ビデオとプレイリスト)
・Duetのメッセージ機能(初回,テストなどの重要情報の伝達) 

<備考/Remarks>

【初回の授業について】 
・Duetから送られたTeamsのコードを授業までに取得して登録する(Duetからメッセージを受け取り,確認するように注意しておく。1回生はDuetのメッセージが頻繁にアクセスしている電子メールのアカウントに転送され,メッセージが確認できる環境を整えておく)。 
・Teamsの一般フィードに最初の授業のYouTubeのビデオのリンクが共有される。そのリンクから授業に参加する。 
 
【授業で使用するアプリケーションなどについての注意点】 
・YouTubeにアップロードされた講義を視聴し,授業に関係している楽曲を,YouTubeとSpotifyを利用して別に作成したプレイリスト(SpotifyもしくはYouTube)から視聴しなければならない。 
・従って,Spotify, Apple Music並びにYouTubeなどで授業で活用する楽曲のプレイリストを再生し,視聴できる環境を授業の前に整えることが望ましい。 
 
【初回以降の授業形態の変更の可能性について】 
・万が一登録者数が少ない場合(30人以下)であれば,Zoomでのリアルタイム授業への変更も考慮に入れる。その場合は,Duetを通じて通知される。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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