シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2022年度

(火曜日4講時)
ネット配信授業/Online(e-learning)

16000222-051 

○国際教養基礎論1-51 (“植民地主義の克服を目指して”)
Introduction to World Cultures 1-51 -Toward Overcoming Colonialism-
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  藤井 幸之助

<概要/Course Content Summary>

 2000年代以降の“韓流”以降,ぎくしゃくしながらも「近くて近い国」になりつつあったところに,政治的なバックラッシュの波が押しよせている。 
 7年前の2015年には遅まきながら日韓首脳会談が開かれ,年末ぎりぎりの12月28日に外相会談が開かれ,日本軍「慰安婦」被害者の頭越しに,日韓「合意」をむすび,両政府は政治決着をつけようとした。その後,ロウソク革命により,文在寅(ムンヂェイン)政権が誕生し,今その揺り戻しが始まっている。一方,朝鮮民主主義人民共和国とは何の話し合いもできていない(日本軍「慰安婦」被害は朝鮮半島のみではなく,日本軍が派遣されたすべての地域〔大東亜共栄圏〕に及んでいることも忘れてはならない)。 
 2016年7月には朝鮮学校高校無償化適用を求める裁判で大阪地裁は原告大阪朝鮮学園の主張を認め,全面勝訴となったものの,2018年9月の控訴審では逆転敗訴となり,その後最高裁では棄却された(その後,東京・愛知・広島・福岡での高裁判決は敗訴に終わり,最高裁でもすべて棄却された)。教育の問題を政治・外交的な問題に転化している。このことをどう考えるか?  
 2018年は朝鮮半島では南北首脳会談が3回開かれ,史上初の朝米首脳会談が開かれ,分断国家の大いなる歩み寄りが見られた。そして,大韓民国(8月15日)・朝鮮民主主義人民共和国(9月9日)はいずれも昨年建国70周年を迎えた。10月30日には韓国大法院(最高裁)が元徴用工裁判で被告新日鐵住金に対して損害賠償命令を下し,日本政府が不服を示している。また,K-POPアイドルグループに対し,「反日」であると決めつけ非難がおこっている。 
 2019年は日本の植民地支配に対して,朝鮮の民衆が立ち上がった三一独立運動から100周年を迎えた。 
 2020年は日本の敗戦・朝鮮の解放75年,朝鮮戦争勃発70年,韓日国交正常化55年(朝鮮民主主義人民共和国とはいまだに国交がない)の年を迎え,コロナ19禍の中,これといった進展もなく,2022年を迎えた。 
 また,ヘイトスピーチ(差別扇動表現)問題はまだまだおさまらない。特に,「在日特権を許さない市民の会(在特会)」による京都朝鮮第一初級学校襲撃事件(2009年12月4日)は,京都地裁で画期的な有罪判決が出たあと,大阪高裁は被告在特会の控訴を棄却,さらに最高裁への上告も棄却(2014年12月9日)され,“高額”の損害賠償と在特会の刑が確定し,実行者は刑に服した。また,これらのことにより,日本政府は国連人種差別撤廃委員会からの勧告(在特会・朝鮮学校問題など)を受けているが,強制力がないことから改善しようとしない(包括的な差別禁止法の法制化が急がれる所以である)。2016年には国レベルで「ヘイトスピーチ規制法」が施行され,大阪市では地方自治体としては初めての「ヘイトスピーチ対処条例」を施行された(2019年12月に川崎市は罰則付きのヘイトスピーチ条例が成立した)。 
 これらにより,朝鮮半島との関係は改善されるどころか,感情的な対立を深めている。これらのことが日本に暮らす人々にどんな影響を与えているかをヘイトスピーチに反対する取り組み・日本軍「慰安婦」問題・朝鮮学校「無償化」排除問題・日本人「拉致」問題などを事例として検討したい。

<到達目標/Goals,Aims>

朝鮮と日本の間には長い友好親善の歴史があった。ところが,近現代に入り,その関係を損なうできごとがあった。35年にわたる朝鮮植民地支配がそれで,これに対する正確な知識・理解の欠如が,現代日本に生きる私たちにどんな影響を及ぼしているかを検討する。いくらか減ったかのように見えるヘイトスピーチ(差別扇動表現)を克服し,誰もが暮らしやすい日本社会にするためには何が必要か考える力をつける。また,自分が得た情報を鵜呑みにしないで,検証する姿勢を身につける。そして,副題にあげた“植民地主義の克服を目指して”,大学生のみなさんとともにできることは何かを探る。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ガイダンス 朝日関係史からはじめよう-歴史修正主義の克服のために-同志社の大先輩尹東柱/ユンドンヂュを知っていますか?  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) なぜこんなにたくさんいるのか?-在日朝鮮人の歴史  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 朝鮮学校ってどんなとこ?(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 朝鮮学校ってどんなとこ?(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 京都朝鮮学校襲撃事件裁判  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本軍「慰安婦」問題をどうとらえるか?(1)「平和の処女像」を知っていますか?  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本軍「慰安婦」問題をどうとらえるか?(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 官製ヘイトとメディアと言論弾圧の進行(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 官製ヘイトとメディアと言論弾圧の進行(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 韓日関係を悪化させているのは誰か?  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 善隣友好の歴史・朝鮮通信使を知っていますか?   (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 朝鮮人戦時動員と日本人「拉致」問題   (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 国内植民地としてのアイヌモシリ・琉球と日本  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 「反日」とは何か? 「抗日」とは? 「愛国」とは?  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) まとめ―誰もが暮らしやすい日本社会とは  (授業時間外の学習/ Assignments) つねにメディア・ネットなどで情報をチェックする 

毎回,関連した映像を紹介することによって,問題への理解を深めていただく。特別ゲストをお呼びする場合もある。毎週の講義とは別に,大学公認の「同志社大学日朝関係史講座」(5月開講・毎週金6限・今出川キャンパス,2022年度はオンライン)の受講を勧める。また,朝鮮学校見学会・猪飼野(生野区)フィールドトリップ・朝鮮料理試食会も企画(自由参加)する。※情勢が刻々と変化していることもあり,それに応じたシラバスの内容の変更もありうることをお断りしておく。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加等)  20%  授業への積極的な参加を評価する。 
中間レポート試験  40%  在日朝鮮人の歴史的経緯や日本社会と朝鮮半島との関係をどのように理解しているかをみる。 
期末筆記試験  40%  講義内容に関連し,テーマを設定し,いかに自分に引き付けて論じられているかをみる。 

教室での筆記試験が実施できない場合は,レポート試験等の他の成績評価方法に変更することがある。

<テキスト/Textbook>

特に使用しない

<参考文献/Reference Book>

梁英聖  『レイシズムとは何か』(ちくま新書、2020)まずは本書を通読しよう。 
 

北野隆一  『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日新聞出版、2020)日本軍「慰安婦」報道はどう行われてきたかを知るためには最適。 
 

  『月刊部落解放687号-特集:ウリハッキョ 民族の誇りと共生を求める朝鮮学校-』(解放出版社、2013)朝鮮学校にまつわる話を特集している。 
 

山野車輪  『マンガ嫌韓流1~4』(晋遊舎、2005~2009)民族排外主義者の“バイブル”的存在。どれか手に取って見ていただきたい。 
 

中村一成  『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件-〈ヘイトクライム〉に抗して -』(岩波書店、2014)京都の街で学ぶ学生として,強く一読を勧める。 
 

加藤圭木・一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール編  『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(大月書店、2021)
 

毎週,朝鮮韓国在日に関する情報を随時配信する。これもまた重要な参考文献となる。催し・研究会・講演会などに積極的に参加してほしい。 

<参照URL/URL>

猪飼野セッパラム文庫 
朝鮮韓国在日関連の図書・資料がいっぱい。ミニミュージアムも併設。 

<授業形態備考/Class type>

授業は双方向オンラインにてTeams,Zoomを使用 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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