シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2021年度

(火曜日2講時)

10523524-001 

○ファイナンシャル・プランナー実践-1
Financial Planning, Advanced course-1
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture 対面授業/Face-to-face learning

  嶋 敬介

<概要/Course Content Summary>

 ファイナンシャル・プランナーによるファイナンシャル・プランニングは,個人の家族構成や収入,貯蓄の種類,保険の加入・借入状況等の情報をもとに,個人のライフイベントに合わせた資金計画(キャッシュフロー表)を作成し,状況に応じて専門家の協力を得ながら,その実行の援助やライフプランに関する客観的で総合的なアドバイスを行うことである。パーソナル・ファイナンスの考え方を基に,特定の分野に特化した知識ではなく,幅広い知識が求められると共に,相談者のプライバシーに関わる情報に携わることから,カウンセリング・マインド及び高い職業的倫理観と深い自覚が求められる。  
 経済のグローバル化が進み自己責任が問われる中,FP が顧客から相談を受ける場合,単なる現状の実務知識・商品知識としてアドバイスするのではなく,生活の中で各自のライフデザイン(価値観)やそれに基づくライフプランの個々のゴールを実現するために確立された職業倫理観に基づくコンサルティング能力,提案能力が問われる。応用1,応用2で学んだ各論はお,その前提としての知識が当然必要ではあるが,それらの知識のみでは決して意思決定することはできない。個々人のライフデザインとそれに基づくライフプランを土台とし,各論の知識や適切な考え方,ファイナンシャル・プランニングの技法を踏まえ,その上で顧客の夢や希望の達成,又は将来の長期的不安の解消を「提案書」という形で反映させる必要がある。  
 本講義では,まず適切な方法でプランニングを行うためのプロセス全体について確認する。その上で生活設計上の希望や目標の確認,顧客の現状のファイナンス状態の分析と評価,プランの検討・作成などに従って提案書の作成に必要な個々のスキルを講義及びディスカッションによるプロセスを通して身につけることを目標とする。また,FP に求められる職業上の倫理,関連業法についても触れるが,実習として途中,金融機関や金融商品の実例,考え方,対策手法等を演習形式によりグループ単位で発表してもらい,最終的には各人が今迄の知識を個別の提案書と言う形でアウトプットすることを目標とする。 
 担当講師はFP黎明期に日本FP協会の設立に携わり,常務理事等を歴任し,現在も同協会の理事を務めている。20代でFP会社を起業し,現在は東京・大阪・米国にも支店を設け,FP及びライフプランニングの普及に努めている。最近では若年層の金融リテラシー向上のための書籍や金融機関向けアプリを開発し,銀行・証券・生保・不動産会社等に提供するなど,精力的に展開を続けており,実務経験を生かした実践的内容も授業の中に織り込まれている。

<到達目標/Goals,Aims>

 FP 基礎から応用を経て,これまで学んできた知識と情報から,実際に FP として顧客と対峙したときの6 STEPs,4E との関係を理解するとともに,顧客に提示する提案書を作成することを目標とする。 
 提案書には,6 STEPs に基づいて現状のキャッシュフロー,ライフイベントとゴールの確認,提案,提案後のキャッシュフローを盛り込み,どの金融機関のどのような金融商品で運用し,あるいはリスクマネジメントを行い,現状を見直せるかといった内容にまで踏み込んだ提案を行う。例えば,現在加入している保険が適正額であるか否か(必要保障額の算出),遺族年金はどの程度見込めるのか,退職金の受取方法の選択肢,自宅を購入する際の資金をどう調達するか,といった知識を実践でどのように使っていくのかといった,将来に役立つ知識とノウハウを実践で確認する。 
 特に昨今の 2,000 万円問題に見る高齢化に伴う資金計画や経済情勢,国際社会問題,気候変動等々が混沌とした世相にあって,家庭経済,パーソナル・ファイナンスを中長期視点から考え,検討しておくことで,将来から見た現状を把握認識し,個々人のより良い,目指すべきゴールの成就に役立ててもらえること迄を目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) ファイナンシャル・プランニング実践  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 1.  (内容/ Contents) 提案書作成の意義~「提案書の課題」について  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 2.  (内容/ Contents) ファイナンシャル・プランニングのプロセス  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 3.  (内容/ Contents) 提案書の構成,作成上のポイント・注意事項  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 4.  (内容/ Contents) 提案書作成の為の情報収集とコンプライアンス  (授業時間外の学習/ Assignments) グループ及び個人課題の準備,予習1時間 
(実施回/ Week) 5.  (内容/ Contents) 提案書とプレゼンテーション技法①  (授業時間外の学習/ Assignments) グループ及び個人課題の準備,予習1時間 
(実施回/ Week) 6.  (内容/ Contents) 提案書とプレゼンテーション技法②  (授業時間外の学習/ Assignments) グループ及び個人課題の準備,予習1時間 
(実施回/ Week) 7.  (内容/ Contents) 提案書事例演習①(キャッシュフロー表の作成)  (授業時間外の学習/ Assignments) グループ及び個人課題の準備,予習1時間 
(実施回/ Week) 8.  (内容/ Contents) 提案書・ケーススタディの検討①  (授業時間外の学習/ Assignments) 提案書課題の予習,準備1時間 
(実施回/ Week) 9.  (内容/ Contents) 提案書・ケーススタディの検討②  (授業時間外の学習/ Assignments) 提案書課題の予習,準備1時間 
(実施回/ Week) 10.  (内容/ Contents) グループ演習①(課題発表)  (授業時間外の学習/ Assignments) グループ及び個人課題の復習1時間 
(実施回/ Week) 11.  (内容/ Contents) グループ演習②(課題発表)  (授業時間外の学習/ Assignments) グループ及び個人課題の復習1時間 
(実施回/ Week) 12.  (内容/ Contents) 提案書事例演習②(生命保険の設計)  (授業時間外の学習/ Assignments) 提案書課題の予習,準備1時間 
(実施回/ Week) 13.  (内容/ Contents) 提案書事例演習③(保険証券)  (授業時間外の学習/ Assignments) 提案書課題の予習,準備1時間 
(実施回/ Week) 14.  (内容/ Contents) 「提案書の課題」対策①  (授業時間外の学習/ Assignments) 提案書課題の予習,準備1時間 
(実施回/ Week) 15.  (内容/ Contents) 「提案書の課題」対策②  (授業時間外の学習/ Assignments) 提案書課題の予習,準備1時間 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,発表,提出物,グループ作業の成果等)  55%   
提案書  45%   

・出席を重視する。全体の70%に出席が満たない場合は,AFP認定研修による受験資格を満たさないので注意すること。  
・「ファイナンシャル・プランナー実践」の提案書では,合格基準や作成にあたっての留意点を講義のなかで随時触れるので,出席については十分に注意すること。

<テキスト/Textbook>

  ・実践においては適宜レジュメを配布する。 

 

 

 

<備考/Remarks>

・本講義は教室で対面授業を行う。 
 概要で述べた通り,ファイナンシャル・プランニングは単に学問的知識の習得だけが求められているのではない。ケース・スタディを随時取り入れて講義を進めるため,講義に参加する学生には日々ファイナンシャル・プランニングに関する情報を自ら追い求めていく姿勢が不可欠であり,金融・経済・法律・不動産・税金・保険等,生活に密着するテーマについては主体的に勉強することが必須となる。金融商品取引法施行等による既存の枠を超えた金融ビジネスが広まる現代社会では,不必要な情報を遮断し,必要な情報を取捨選択できる力が要求される。本講義はまさにその基本的な取り組みが学べる講義として位置づけられる。なお,本講義は専門のファイナンシャル・プランナーがゲストスピーカーとしてオムニバス形式で講義する。 
 取得できる資格としては,職業能力開発促進法に基づく技能検定制度に「ファイナンシャル・プランニング」(以下「FP技能検定」と略)があり,その合格者には「ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)」(以下「FP 技能士」と略)の称号が付与される。我が国最大の NPO 法人である日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下「日本 FP 協会」と略)は同職種の指定試験機関として指定を受け,日本 FP 協会の FP 資格認定において,ライセンス認定基準である4 E(教育・試験・経験・倫理)の中の「試験(Examination)」部分が国家検定として位置づけられている。  
 本講義は AFP 認定研修に該当し,「提案書の作成」に合格することで日本 FP 協会の「AFP(AFFILIATED FINANCIALPLANNER)認定研修」の修了とみなされる。修了者には出願時に必要な「FP 普通資格研修修了証明書」が発行されて2級FP 技能検定試験(兼 AFP 資格審査試験)(以下「本試験」と略)を受験することができる(受験資格の付与)。またこの資格は後述する FP の国際資格である CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)の登竜門でもある。  
 本試験の学科及び実技両試験合格で取得できるのは「2級 FP 技能士」資格であり,AFP 資格を取得するためには日本 FP協会へ所定の登録手続きを行い,AFP 会員として登録されなければならない。本試験に合格しただけでは AFP 認定者とはならないことに注意されたい。  
 なお,学生が登録する場合,「学生免除・割引制度」を利用できる。これは日本 FP 協会が一般会員または資格認定会員(AFP 認定者・CFP®認定者)として協会への入会を認めた場合に①入会金の免除,②初年度年会費の減額(1/2),とする制度で,登録を希望する学生は利用することを勧める。特に金融機関へ就職を希望する者の登録は必須に近く,また,将来 CFP®資格の取得を検討する者は AFP 登録が必須であることから尚更である。 
 ファイナンシャル・プランナー関連科目は「ファイナンシャル・プランナー基礎」→「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」→「ファイナンシャル・プランナー実践」のグレード制を採っている。パーソナル・ファイナンスの基本コンセプトを明確にし,判断と意思決定に必要な基本的概念・スタンダード(基準)と位置づけられるのが「ファイナンシャル・プランナー基礎」である。従ってまずこの講義の修得が第一歩であり,応用・実践を先に修得することは認められない。なお,「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」の受講を希望する場合は「ファイナンシャル・プランナー基礎」を,「ファイナンシャル・プランナー実践」の受講を希望する場合は「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」を履修見込みであることが条件である。  
 登録にあたっては「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」,「ファイナンシャル・プランナー実践」の3科目をセットで先行日程登録すること。但し,「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」を単位取得できなかった場合,「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修することはできない。  
 また,ファイナンシャル・プランナーの講義については,多岐にわたる内容を網羅的に学習すると共に更なる基本的知識の浸透をはかるため,別途,試験対策レベルである「パーソナル・ファイナンス講座(兼 FP 技能士3級資格試験対策講座)を設定する。内容,実施については商学部資格試験講座を参照すること。 

 

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