シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2021年度

(火曜日6講時)

10523523-001 

○ファイナンシャル・プランナー応用2-1
Financial Planning, Intermediate course2-1
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture ネット配信授業/Online(e-learning)

  名村 淳史

<概要/Course Content Summary>

ファイナンシャル・プランニングとは個人の家族構成や,収入・借入状況,貯蓄の種類,保険の加入状況等の情報をもとに,個人のライフイベントに合わせた計画を作成し,状況に応じて専門家の協力を得ながら,その実行の援助やライフプランに関する客観的で総合的なアドバイスを行うことである。FP にはパーソナル・ファイナンスの考え方を基に,特定の分野に特化した知識ではなく,幅広い知識が求められると共に,相談者のプライバシーに関わる情報に携わることから,カウンセリング・マインド及び高い職業的倫理観と自覚が求められる。  
 本講義では金融経済のグローバル化,少子・高齢社会が進む中で,ファイナンシャル・プランニングに必要とされる知識と理論を学ぶと共に,実務における基本的考え方について易しく講義していく。その上で「ファイナンシャル・プランナー応用」,「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修する事により,金融自由化に伴なう資産運用,資金調達の多様化に対応した家庭経済の管理,運営に対応できるようになるのが目標である。 
 応用2では「金融資産運用」「リスク管理」「ライフプランニングと資金計画」について学習する。  
 「金融資産運用」においては,グローバル化が進む中,経済,景気,金融の基本知識を整理する。資産運用というととかく損得という視点に捕われがちであるが,人生を豊かに過ごすための目標(ゴール)があって初めて適切な資産運用がある。特に個人の資産運用がますます重要になってきている現状では金融商品に関する概要を理解し,運用を行っていくうえでの手順やポートフォリオの基本的な考え方を理解することはプランニングにおいても必須といえる。金融工学といった新しい学問の分野が確立されていく一方で,資産運用に関する知識は自分の生活にどう影響するのか,どう生かせばよいのかといった生活者の視点に沿ったプランニングが求められる。また,心理経済学からみた一般的な投資行動の特性など,実務で見受けられる事例についても触れていきたい。  
 「リスク管理」については医療負担,遺族の生活保障など,生活者に与える影響が大きく,顧客の関心の高いテーマでもある。従ってライフプランを根幹にした保障設計,家庭生活とリスク管理を基本に保険制度の概要から生命保険・損害保険の多様な商品についてポイントを整理していく。また保険の見直しなど実際の相談においても事例が多い項目であることから,講義においてはケース・スタディを随時取り入れることにより受講生の理解を進める。  
 「ライフプランニングと資金計画」はまずファイナンシャル・プランニングと倫理や社会的役割,職業的原則,関連法規との関係を明確にし,その上でキャッシュフローやバランスシートを初めとする現状の分析手法やプランニング・プロセスについて触れる。ライフプランニングは土地価格の下落,賃金体系の変化による教育・住宅取得資金計画への影響など,生活に密着した分野であることから,随時最新の情報やニュースを取り入れながら講義をすすめる。また 2,000 万円問題に端を発した年金問題は,馴染みが薄いように見受けられるが,現在の公的年金制度が持つ課題は受講生にとっても自分の将来に関わることであり,主婦や公務員をも巻き込んだ国民総 DC(iDeCo)化の内容を理解することは重要である。また,年齢に関係なく障害年金や遺族年金の問題は学生にとっても実際のプランニングでも欠かす事のできないテーマでもある。講義では社会保 
険制度・年金制度の仕組みや各種給付の内容を押さえると同時に企業年金などについても触れていく。 
 担当者は総合 FP 事業会社にも従事しており,その経験を活かし FP についての講義を行う。

<到達目標/Goals,Aims>

概要でも述べたが,本講義では金融経済のグローバル化,終身雇用・年功序列型賃金の崩壊,少子・高齢化が進む中,ファイナンシャル・プランニングに必要とされる知識と理論を学ぶと共に,実務における基本的考え方について易しく講義していく。その上で学生が「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修する事により,資産運用,資金調達の多様化に対応した家庭経済の管理,運営に対応できるようになるのが目標である。また AFP・FP 技能士 2 級レベルの基本知識の習得を目指すものでもある。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1.  (内容/ Contents) 金融商品とマーケット環境  (授業時間外の学習/ Assignments) レジュメによる復習1時間 
(実施回/ Week) 2.  (内容/ Contents) 預貯金と金融類似商品  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 3.  (内容/ Contents) 投資型商品  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 4.  (内容/ Contents) 金融派生商品とポートフォリオ運用  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 5.  (内容/ Contents) 関連法規とコンプライアンス  (授業時間外の学習/ Assignments) テキスト記載の実践問題による復習1時間 
(実施回/ Week) 6.  (内容/ Contents) リスクマネジメント  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 7.  (内容/ Contents) 生命保険の概要と保険商品  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 8.  (内容/ Contents) 生命保険の見直しと税金  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 9.  (内容/ Contents) 損害保険の概要  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 10.  (内容/ Contents) 家庭生活におけるリスク管理  (授業時間外の学習/ Assignments) 事例レジュメによる復習1時間 
 
(実施回/ Week) 11.  (内容/ Contents) ファイナンシャル・プランニングの倫理と関連法規  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 12.  (内容/ Contents) ライフプランの考え方と資金計画  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 13.  (内容/ Contents) 社会保険と公的年金  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 14.  (内容/ Contents) 企業年金と個人年金  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 15. 
 
(内容/ Contents) リタイアメントプランニング  (授業時間外の学習/ Assignments) 事例レジュメによる復習1時間 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加等)  65%   
レポート  35%   

出席を重視する。全体の70%に出席が満たない場合は,AFP認定研修による受験資格を満たさないので注意すること。 
「ファイナンシャル・プランナー応用2」のレポートは,講義の中でふれたFP事例や重要なテーマについて論述する。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
118 54.2 28.0 10.2 2.5 5.1 0.0 3.2

<テキスト/Textbook>

  使用するテキスト,年度版等については別途掲示するので注意すること。 

 

 

 

<備考/Remarks>

・ネット配信授業(Web によるストリーミング配信) 
 概要で述べた通り,ファイナンシャル・プランニングは単に学問的知識の習得だけが求められているのではない。ケース・スタディを随時取り入れて講義を進めるため,講義に参加する学生には日々ファイナンシャル・プランニングに関する情報を自ら追い求めていく姿勢が不可欠であり,金融・経済・法律・不動産・税金・保険等,生活に密着するテーマについては主体的に勉強することが必須となる。金融商品取引法施行等による既存の枠を超えた金融ビジネスが広まる現代社会では,不必要な情報を遮断し,必要な情報を取捨選択できる力が要求される。本講義はまさにその基本的な取り組みが学べる講義として位置づけられる。なお,本講義は専門のファイナンシャル・プランナーがゲストスピーカーとしてオムニバス形式で講義する。 
 取得できる資格としては,職業能力開発促進法に基づく技能検定制度に「ファイナンシャル・プランニング」(以下「FP技能検定」と略)があり,その合格者には「ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)」(以下「FP 技能士」と略)の称号が付与される。我が国最大の NPO 法人である日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下「日本 FP 協会」と略)は同職種の指定試験機関として指定を受け,日本 FP 協会の FP 資格認定において,ライセンス認定基準である4 E(教育・試験・経験・倫理)の中の「試験(Examination)」部分が国家検定として位置づけられている。  
 本講義は AFP 認定研修に該当し,「提案書の作成」に合格することで日本 FP 協会の「AFP(AFFILIATED FINANCIALPLANNER)認定研修」の修了とみなされる。修了者には出願時に必要な「FP 普通資格研修修了証明書」が発行されて2級FP 技能検定試験(兼 AFP 資格審査試験)(以下「本試験」と略)を受験することができる(受験資格の付与)。またこの資格は後述する FP の国際資格である CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)の登竜門でもある。  
 本試験の学科及び実技両試験合格で取得できるのは「2級 FP 技能士」資格であり,AFP 資格を取得するためには日本 FP協会へ所定の登録手続きを行い,AFP 会員として登録されなければならない。本試験に合格しただけでは AFP 認定者とはならないことに注意されたい。  
 なお,学生が登録する場合,「学生免除・割引制度」を利用できる。これは日本 FP 協会が一般会員または資格認定会員(AFP 認定者・CFP®認定者)として協会への入会を認めた場合に①入会金の免除,②初年度年会費の減額(1/2),とする制度で,登録を希望する学生は利用することを勧める。特に金融機関へ就職を希望する者の登録は必須に近く,また,将来 CFP®資格の取得を検討する者は AFP 登録が必須であることから尚更である。 
 ファイナンシャル・プランナー関連科目は「ファイナンシャル・プランナー基礎」→「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」→「ファイナンシャル・プランナー実践」のグレード制を採っている。パーソナル・ファイナンスの基本コンセプトを明確にし,判断と意思決定に必要な基本的概念・スタンダード(基準)と位置づけられるのが「ファイナンシャル・プランナー基礎」である。従ってまずこの講義の修得が第一歩であり,応用・実践を先に修得することは認められない。なお,「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」の受講を希望する場合は「ファイナンシャル・プランナー基礎」を,「ファイナンシャル・プランナー実践」の受講を希望する場合は「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」を履修見込みであることが条件である。  
 登録にあたっては「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」,「ファイナンシャル・プランナー実践」の3科目をセットで先行日程登録すること。但し,「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」を単位取得できなかった場合,「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修することはできない。  
 また,ファイナンシャル・プランナーの講義については,多岐にわたる内容を網羅的に学習すると共に更なる基本的知識の浸透をはかるため,別途,試験対策レベルである「パーソナル・ファイナンス講座(兼 FP 技能士3級資格試験対策講座)を設定する。内容,実施については商学部資格試験講座を参照すること。 

 

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