シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2021年度

(火曜日5講時)

10523522-001 

○ファイナンシャル・プランナー応用1-1
Financial Plannning, Intermediate course1-1
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture ネット配信授業/Online(e-learning)

  名村 淳史

<概要/Course Content Summary>

 ファイナンシャル・プランニングとは個人の家族構成や,収入・借入状況,貯蓄の種類,保険の加入状況等の情報をもとに,個人のライフイベントに合わせた計画を作成し,状況に応じて専門家の協力を得ながら,その実行の援助やライフプランに関する客観的で総合的なアドバイスを行うことである。FP にはパーソナル・ファイナンスの考え方を基に,特定の分野に特化した知識ではなく,幅広い知識が求められると共に,相談者のプライバシーに関わる情報に携わることから,カウンセリング・マインド及び高い職業的倫理観と自覚が求められる。 
 本講義では金融経済のグローバル化,少子・高齢社会が進む中で,ファイナンシャル・プランニングに必要とされる知識と理論を学ぶと共に,実務における基本的考え方について易しく講義していく。その上で「ファイナンシャル・プランナー応用」,「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修する事により,金融自由化に伴なう資産運用,資金調達の多様化に対応した家庭経済の管理,運営に対応できるようになるのが目標である。 
 応用1では「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」について学習する。税金の問題はプランニングにおいて横断的に関わる内容のため,「タックスプランニング」では基本的な知識のみならず鳥瞰的視点から所得税を中心に取り上げていく。FP として当然知っておくべき税金の体系・税制を学ぶことが基本ではあるが,大切なことはプランニングの上で複数の選択肢があった場合,個々のライフプランにおける目標の実現を優先して考えることの重要性であり,その上で総合的な税負担を勘案して選択肢を提示することが出来るか否かである。また,毎年税制は改正されるものであり,しかも実務上は通達により判断されることが多いので,プランニングが短期的な税務上の条件で設定されていないか,税理士とのネットワークをも踏まえた上で留意しておきたいポイントでもある。  
 「不動産」は権利関係,各種法令,不動産の税務,有効活用や証券化による投資とその範囲は広く,また実務的にも大切な分野である。本講義においては,まず基本的知識を理解することを主眼とする。その上で多様化する諸条件下において不動産をライフプランニングの中でどのように有効的に活用するのか,フローとストック両面から検討していく。最近は不動産を「所有」から「利用」する傾向により証券化された金融商品として流通する動きが顕著である。また不動産の税務は改正点も多く,実務においてもその知識は必須であることからも重点をおく。更に,これらの知識は自宅を購入したり賃借する際の判断に欠かせない重要な知識でもあるので,自らの将来にも有効であることを付記しておく。 
 「相続・事業承継」はパーソナル・ファイナンスは無論のこと,企業の経営者としてのコーポレート・ファイナンスにも関連するため,実務においても相談事例が多い。本講義においてはまず民法における親族編や相続税法の基本知識の取得を目的とし,同時に難解になりがちな評価や事業承継についてもわかりやすく講義を行う。特に相続税においては,課税される範囲の拡大や特例が多様化する傾向にあり,事業承継を含めた今後の傾向や事例についても適宜講義の中で触れていく。 
 担当者は総合FP事業会社にも従事しており,その経験を活かし FP についての講義を行う。

<到達目標/Goals,Aims>

 概要でも述べたが,本講義では金融経済のグローバル化,終身雇用・年功序列型賃金の崩壊,少子・高齢化が進む中,ファイナンシャル・プランニングに必要とされる知識と理論を学ぶと共に,実務における基本的考え方について易しく講義していく。その上で学生が「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修する事により,資産運用,資金調達の多様化に対応した家庭経済の管理,運営に対応できるようになるのが目標である。また AFP・FP 技能士 2 級レベルの基本知識の習得を目指すものでもある。 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1.  (内容/ Contents) タックスプランニングと所得税  (授業時間外の学習/ Assignments) レジュメによる復習1時間 
(実施回/ Week) 2.  (内容/ Contents) 所得税の仕組み~各種所得の内容~  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 3.  (内容/ Contents) 所得税の仕組み~所得控除~  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 4.  (内容/ Contents) 損益通算と申告・納付  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 5.  (内容/ Contents) 法人税・消費税の概要  (授業時間外の学習/ Assignments) テキスト記載の実践問題による復習1時間 
(実施回/ Week) 6.  (内容/ Contents) 不動産の基礎知識  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 7.  (内容/ Contents) 不動産調査と取引  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 8.  (内容/ Contents) 法令上の制限  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 9.  (内容/ Contents) 不動産に係る税金  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 10.  (内容/ Contents) 不動産の有効活用と証券化  (授業時間外の学習/ Assignments) テキスト記載実践問題による復習1時間 
(実施回/ Week) 11.  (内容/ Contents) 相続・贈与と法律  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 12.  (内容/ Contents) 相続税の基本  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 13.  (内容/ Contents) 相続財産の評価  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 14.  (内容/ Contents) 贈与税の基本  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習1時間 
(実施回/ Week) 15.  (内容/ Contents) 相続,事業承継対策~事例研究~  (授業時間外の学習/ Assignments) 事例レジュメによる復習1時間 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加等)  65%   
レポート  35%   

出席を重視する。全体の70%に出席が満たない場合は,AFP認定研修による受験資格を満たさないので注意すること。 
「ファイナンシャル・プランナー応用1」のレポートは,講義の中でふれたFP事例や重要なテーマについて論述する。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
118 45.8 33.9 11.9 5.1 3.4 0.0 3.1

<テキスト/Textbook>

  使用するテキスト,年度版等については別途掲示するので注意すること。 

 

 

 

<備考/Remarks>

・ネット配信授業(Web によるストリーミング配信) 
 概要で述べた通り,ファイナンシャル・プランニングは単に学問的知識の習得だけが求められているのではない。ケース・スタディを随時取り入れて講義を進めるため,講義に参加する学生には日々ファイナンシャル・プランニングに関する情報を自ら追い求めていく姿勢が不可欠であり,金融・経済・法律・不動産・税金・保険等,生活に密着するテーマについては主体的に勉強することが必須となる。金融商品取引法施行等による既存の枠を超えた金融ビジネスが広まる現代社会では,不必要な情報を遮断し,必要な情報を取捨選択できる力が要求される。本講義はまさにその基本的な取り組みが学べる講義として位置づけられる。なお,本講義は専門のファイナンシャル・プランナーがゲストスピーカーとしてオムニバス形式で講義する。 
 取得できる資格としては,職業能力開発促進法に基づく技能検定制度に「ファイナンシャル・プランニング」(以下「FP技能検定」と略)があり,その合格者には「ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)」(以下「FP 技能士」と略)の称号が付与される。我が国最大の NPO 法人である日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下「日本 FP 協会」と略)は同職種の指定試験機関として指定を受け,日本 FP 協会の FP 資格認定において,ライセンス認定基準である4 E(教育・試験・経験・倫理)の中の「試験(Examination)」部分が国家検定として位置づけられている。  
 本講義は AFP 認定研修に該当し,「提案書の作成」に合格することで日本 FP 協会の「AFP(AFFILIATED FINANCIALPLANNER)認定研修」の修了とみなされる。修了者には出願時に必要な「FP 普通資格研修修了証明書」が発行されて2級FP 技能検定試験(兼 AFP 資格審査試験)(以下「本試験」と略)を受験することができる(受験資格の付与)。またこの資格は後述する FP の国際資格である CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)の登竜門でもある。  
 本試験の学科及び実技両試験合格で取得できるのは「2級 FP 技能士」資格であり,AFP 資格を取得するためには日本 FP協会へ所定の登録手続きを行い,AFP 会員として登録されなければならない。本試験に合格しただけでは AFP 認定者とはならないことに注意されたい。  
 なお,学生が登録する場合,「学生免除・割引制度」を利用できる。これは日本 FP 協会が一般会員または資格認定会員(AFP 認定者・CFP®認定者)として協会への入会を認めた場合に①入会金の免除,②初年度年会費の減額(1/2),とする制度で,登録を希望する学生は利用することを勧める。特に金融機関へ就職を希望する者の登録は必須に近く,また,将来 CFP®資格の取得を検討する者は AFP 登録が必須であることから尚更である。 
 ファイナンシャル・プランナー関連科目は「ファイナンシャル・プランナー基礎」→「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」→「ファイナンシャル・プランナー実践」のグレード制を採っている。パーソナル・ファイナンスの基本コンセプトを明確にし,判断と意思決定に必要な基本的概念・スタンダード(基準)と位置づけられるのが「ファイナンシャル・プランナー基礎」である。従ってまずこの講義の修得が第一歩であり,応用・実践を先に修得することは認められない。なお,「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」の受講を希望する場合は「ファイナンシャル・プランナー基礎」を,「ファイナンシャル・プランナー実践」の受講を希望する場合は「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」を履修見込みであることが条件である。  
 登録にあたっては「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」,「ファイナンシャル・プランナー実践」の3科目をセットで先行日程登録すること。但し,「ファイナンシャル・プランナー応用1」,「ファイナンシャル・プランナー応用2」を単位取得できなかった場合,「ファイナンシャル・プランナー実践」を履修することはできない。  
 また,ファイナンシャル・プランナーの講義については,多岐にわたる内容を網羅的に学習すると共に更なる基本的知識の浸透をはかるため,別途,試験対策レベルである「パーソナル・ファイナンス講座(兼 FP 技能士3級資格試験対策講座)を設定する。内容,実施については商学部資格試験講座を参照すること。 

 

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