シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2021年度

(水曜日6講時)

40330891 

○総合演習(法学)
Advance Seminar (Law)
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義/Lecture 対面授業/Face-to-face learning

新井 京 濱 真一郎 林 貴美 井関 涼子
伊藤 靖史 勝山 教子 川崎 友巳 川嶋 四郎
川和 功子 木下 麻奈子 西村 安博 瀬領 真悟
土田 道夫 田中 治 横田 光平

<概要/Course Content Summary>

 本講義は,法学研究科博士後期課程を担当する教員のオムニバス形式による演習を行うことをその内容とする。そして,法律学の諸分野に関する幅広い知見の学修と,遠くない将来において独立した研究者として旺盛な活動を展開していくための学問上のスキルを修得するとともにその向上を図っていくことを目的とする。  
 博士後期課程では,それぞれの研究上の関心に応じて,個別の専門領域における課題をより深く研究していくことが要請されることはいうまでもない。しかしながら同時にまた,高度に複雑化を遂げる現代の社会においては,ただ単に個別の法領域の問題に止まることのない様々な難問が生じているという現状を法律家の一人として自覚しないわけにはいかない。ところが,この難問を解いていくためのヒントはそれぞれの固有の法領域の中に見出すことはもはや困難であるというべきであり,新しい発想のもとに様々な法領域を横断して熟考を重ねる中でより現実的かつ合理的な解決方法が見出されることが強く期待されているのである。 
 このようなことから,学界の第一線で活躍することが期待されている博士後期課程の院生には,各人の研究する領域に固有な発想や考え方から一旦解放される中で,一人の研究者として自らのもつ自由な発想から,直面する問題に対峙し何某かの解決方法を見出していくための,いわばトレーニングの機会を積極的に経験していくことが求められる。そのためには,隣接領域の研究分野も含め法律学に関する広範かつ高度な知見を獲得していく機会を得ていくことなどが期待されているといえよう。具体的には,法解釈や外国法研究の手法,法律学の諸分野において取られる様々な研究手法など,一人の独立した研究者として育っていくための基本的なスキルの問題に関してより深い知見を得ていく中で,自らが取り組む研究をさらに発展させていくための有効なヒントを獲得してもらいたいと願っている。 

<到達目標/Goals,Aims>

法律学についての幅広い知見の修得と研究者になるためのスキルの向上 
 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
 
(実施回/ Week) 1 
 
(内容/ Contents) 担当者:濱 真一郎(公法学専攻教務主任), 伊藤 靖史(私法学専攻教務主任) 
(1)本講義の趣旨に関する説明 
(2)スケジュールなどに関する確認 
(3)その他の連絡事項 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 2 
 
 
(内容/ Contents) 担当者:濱 真一郎・木下 麻奈子 
 この回では,法律学を研究するための基礎法学のアプローチを紹介する。具体的には,法社会学および法哲学・法思想史のアプローチである。これらのアプローチは,それぞれさまざまな研究手法や研究対象を有するので,この回では以下のトピックに焦点を絞りたい。すなわち,概念法学および機械的法学に対する自由法運動およびリアリズム法学からの批判である。  
 講義では,担当者の一人がこのトピックについて報告をし,もう一人の担当者がコメントを加える。その上で,受講生を交えて討論を行い,法律学を研究するためのアプローチについての理解を深めたい。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 3 
 
 
(内容/ Contents) 担当者:西村 安博 
 わが国における法制史研究の現状と課題について,日本法制史を研究する立場から分かり易く解説したいと思っています。具体的には,担当者が院生時代には何を思いながら日本法制史の研究に取り組んでいたのか,これまでの研究生活の中では研究課題をどのように見出しどのようなアプローチを試みて来たのかなどを振り返る中で,研究および教育に携わる今の自分が反省するところを参考素材として提供できればと考えています。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 4 
 
(内容/ Contents) 担当者:勝山 教子 
 法解釈のあり方について,憲法の条文や判例を素材に,出席者のみなさんと議論したいと考えています。受講者の専門分野に応じて,予め関連する裁判例を指定し,各受講者に,担当する裁判例について簡単な紹介と報告を行ってもらってから,法解釈に関する諸問題を議論してもらいたいと思います。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 5 
 
(内容/ Contents) 担当者:横田 光平 
 行政法は,憲法の下,私人と行政の間の法関係を包括的に捉える法分野であり,一方で憲法との関係,他方で民事法・刑事法との関係を視野に入れなければ的確に全体像を捉えることはできません。 
 この授業では,学校における「いじめ」の問題を素材として,憲法の下での学校教育に係る行政法を中心に,民事法・刑事法との交錯のあり方を検討します。授業は大村敦志ほか『子ども法』(有斐閣,2015)第6章を教材として,参加者があらかじめ用意した質問に教員が答える質疑応答形式で行います。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 6 
 
 
(内容/ Contents) 担当者:田中 治 
 税法および税法学は,公法と私法との境界領域に位置する。この授業は,「税法の解釈方法論の特徴と問題点」として,近時の裁判例等を素材に検討するものである。解釈論からみた税法と私法との関係をどのように考えるか,租税法律主義の現代的意義は何か,税法における紛争処理手続の特徴と裁判所の役割は何かなどに関して,見解が分かれ対立している争点を中心に,具体的に概観するとともに,議論する予定である。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 7 
 
(内容/ Contents) 担当者:川崎 友巳 
 日本の刑事法研究の近年の動向を紹介したうえで,これを素材に,どのような研究が,法律学において評価される「良い」研究なのか,一緒に考えてみたい。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 8 
 
(内容/ Contents) 担当者:川和 功子 
 民法及び民事特別法に関するいくつかの判例をとりあげ,判例について概観した後,主な争点について議論することを予定しています。  
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 担当者:伊藤 靖史 
 この回は,論文の評価・研究者の評価の必要性を中心に,研究者を目指す大学院生が心がけるべき点について説明します(担当者の専門である「商法」ないし「会社法」について扱うわけではありません)。そのために,受講者全員に事前に簡単なレポートを提出してもらい,授業では,何人かの受講者にはそのレポートについて報告をしてもらいます。レポートの詳細等は4月以降にお知らせします。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 10 
 
 
(内容/ Contents) 担当者:瀬領 真悟 
 独占禁止法(独禁法)のエンフォースメント手段には課徴金制度がある。同制度は,行政機関の命令により法違反行為者から金銭徴収を行う制度であるが,金商法や景表法なども拡大し,独禁法に関しては,手続き的見直しも含んで改正された制度が昨年から完全施行されている。本講義は,独禁法の課徴金制度を取り上げ,趣旨・機能,他のエンフォースメント手段(刑事・民事)との関係などを検討する。検討に際し,他の法制に拡大した制度や将来的展望も視野におく。実体法分野を研究専攻とする院生には,学部・前期課程で実体規定にかかる研究に力を注いだ者は多いであろうが,エンフォースメント理解も実体法研究には重要となりつつある。この点後期課程院生の理解を深めることができればと考えている。  
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 11 
 
(内容/ Contents) 担当者:川嶋 四郎 
 皆さんは,民事裁判や民事紛争解決についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。刑事裁判を扱ったドラマは多いため,刑事裁判は何となくイメージできるかもしれませんが,民事裁判や民事紛争解決は頭に描きにくいかもしれません。裁判所に係属するのは民事事件の方が刑事事件より圧倒的に多いですし,日常のトラブルが裁判所に持ち込まれて解決したり,それ以外の手続で解決したりすることも少なくありません。担当者の司法委員・調停委員・その他ADR担当者としての経験を踏まえて,現在の民事裁判,民事紛争解決のあり方を一緒に考えてみたいと思います。人を不快にさせることのない充実したプロセス形成の可能性は,探求されるべき喫緊の課題ですから。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 12 
 
(内容/ Contents) 担当者:土田 道夫 
 いわゆる「働き方改革」の立法政策の中心に位置する「同一労働同一賃金」について,同政策の実定法上の根拠であるパートタイム有期雇用労働法8条・14条について解説するとともに,8条の前身を成す労働契約法20条に関する令和2年10月の最高裁5判決(メトロコマース事件,大阪医科薬科大学事件,日本郵便3事件[大阪・東京・佐賀])の意義を読み解き,今後の課題について考察する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 13 
 
(内容/ Contents) 担当者:井関 涼子 
「大学教員の仕事に必要な著作権法」  
 大学教員の仕事である研究,教育の双方に,著作権法上の知識は必要不可欠である。  
研究においては,学説の引用の方法,共著の著作物の権利関係などに関して,学者間の紛争は現実に生じている。教育においては,教材として他人の著作物の複製を配付できるのはどのような場合か,インターネットを利用した場合はどうかなどについて,正確な知識が必要である。2018年に,授業目的利用のための著作権制限規定(著作権法35条)が大きく改正されたことも知っておくべきである。  
 授業では,単なる知識の獲得ではなく,著作権法の趣旨,理念との関係を踏まえて,大学教員の仕事に関係する行為についての著作権法の考え方を学んでほしい。上記テーマの中からいくつか課題を出し,検討してもらう予定である。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 14 
 
(内容/ Contents) 担当者:新井 京 
 いくつかの日本国内の判例を素材に,条約解釈にかかわる諸原則について議論していただく予定である。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 15 
 
(内容/ Contents) 担当者:林 貴美 
 論文執筆にあたり,比較法的研究のアプローチを採用する研究者は比較的多いと思われます。この回では,国際的な代理懐胎に関する裁判例を素材として,受講者との間で議論を行いながら比較法的研究のアプローチのあり方について考えていきたいと思います。  
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  

授業時間外の学習 などについては,各回の担当教員から個別に指示を与える 。 
 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

出席の状況および課題に対する取り組みの状況  100%  総合的な評価を行う。 

成績は合否で評価する。

<テキスト/Textbook>

  なし。 

 

<参考文献/Reference Book>

  必要がある場合には,各回の担当教員が個別に指示する。 

 

<備考/Remarks>

対面形式を予定している 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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