シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16607002-052 

△京都科目-52 (華道から見る京都の伝統文化の発展)
Studies in Kyoto Culture-52 -Development of the traditional cultures in Kyoto from the perspective of Ikebana history and culture.-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  三浦 大生

<概要/Course Content Summary>

京都を中心に発展してきた日本の伝統文化の中でも,花や茶は日々の暮らしを豊かなものとする存在である。 
市井の人々の暮らしと共に発展してきた花は現代の生活にとっても身近な存在であるといえる。 
 
京都の中心・六角堂から発展した池坊華道(いけばな)についての講義(実習を含む)を行う。 
講義・実作に加えデモンストレーションおよびヴィジュアル資料も加えた授業を展開する。 
 
また,この講義では,理論および講義を重視しつつ華道の歴史や発展の過程を追うと同時に,いけばなの実践を通じてそこに含まれる精神性や日本的な自然観と美意識を究明し,豊かな創造性をもつ造形としてのいけばなを学ぶ。 
 
京都は歴史に育まれた多彩な文化が生活の中に息づいている。 
京都の都市文化はいけばな(華道)や茶,能,和歌などの様々な文化芸術が影響しあうことにより発展を遂げ,日本を代表する独自の美意識や精神性,哲学を生み出した。現代においても普遍的価値を持つ伝統文化の多様性を,華道の美意識や自然観と,他の伝統・文化との関連性を見いだすことにより理解する。 
 
いけばなを通して文化芸術における創造性を養い,多分野への活用を考察する。また,世界からも華道は日本独自の伝統文化として注目されている。その理解を通じて今後国際社会の一員としての自身の文化を省み再確認する。 
 
* 本科目担当者は,華道家元池坊本部いけばな教員としての実務経験を有し,その経験を活かし華道に於いての理念を,歴史や京都の伝統文化との相違,美意識について解説する。 

<到達目標/Goals,Aims>

・華道への理解を通じて,日本独自の自然感と美意識を理解し,感性価値の理解度を高める。 
・華道への理解を通じて,京都や日本の伝統文化を国内外に発信できる素養を身につける。 
・7回のいけばな実作を通じ,日本的文化芸術における創造性の素養を身につける。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1   (内容/ Contents) 概要説明 
【講義】華道概論 ~いけばなの様式,花の美とこころ  
(授業時間外の学習/ Assignments) 華道家元池坊のホームページを閲覧しておくこと。 
(実施回/ Week) 2   (内容/ Contents) 【講義】華道の歴史1  
~華道の成り立ち,仏教伝来から・いけばな元年1462年  まで 
・依代・供花文化と,同朋衆 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献を読み,いけばなの歴史について予習しておくこと。 
(実施回/ Week) 3   (内容/ Contents) 【講義・実作1】日本的空間「間」の表現 
~日本文化の間と西洋の間の違い 
・(実作)自然調 自由花 ~実作において空間のとらえ方  を学ぶ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献などを読み,いけばなの歴史について予習しておくこと。 
(実施回/ Week) 4   (内容/ Contents) 【講義】華道の歴史2  
 ~いけばなの遍歴と他芸道の発生  
・茶の湯といけばな~初代池坊専好(映画「花戦さ」の   時代)~現代まで 
(授業時間外の学習/ Assignments) 映画ビデオ「花戦」「利休にたずねよ」を鑑賞しておくことが望ましい。 
(実施回/ Week) 5   (内容/ Contents) 【講義・実作2】現代空間といけばな 
 ~生活・建築様式の変化にともなう華道の変化  
・(実作)意匠的 自由花~意匠的表現を学ぶ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 日本の建築様式,床の間・書院等を事前に調べておくこと。 
(実施回/ Week) 6   (内容/ Contents) 【講義】いけばなの象徴力 
 ・他の日本の文化芸術との相違,あわれの美 
(授業時間外の学習/ Assignments) わび・さびなど日本の美的感覚を調べておく。 
(実施回/ Week) 7      (内容/ Contents) 【フィールドトリップ】(通常曜日とは異なる) 
 ~六角堂(紫雲山頂法寺)見学         
 ・旧七夕華道展・いけばな資料館見学 
(授業時間外の学習/ Assignments) フィールドトリップで考えたことをまとめる。 
(実施回/ Week) 8 
 
(内容/ Contents) 【講義・実作3】現代に生きる「専応口伝」の美意識 
 ~他の伝統文化との関連性,文化を生き方に昇華する日本人 
(授業時間外の学習/ Assignments) 日本の伝統芸能について予習しておくこと。 
(実施回/ Week) 9   (内容/ Contents) 【講義】生花(しょうか)の発生と略の美  
 ~生花の表現する「命」と「宇宙」,床の間を中心とし て発展した京都の伝統文化 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献を読み,いけばなについての理解を深めておくこと。 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 【講義・実作4】 生花の構成① 
 ・(実作)生花 一種生 ~生花を実作することで伝統 的花型に含まれる哲学を体感する 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 11   (内容/ Contents) 【講義】立花構成論  
 ~立花の構成と精神性について~ 立花デモンストレーション  
 ・花王以来の花伝書から読む花の意義 
(授業時間外の学習/ Assignments) 仏前供花について調べておく。 
(実施回/ Week) 12   (内容/ Contents) 【講義・実作5】 生花の構成② ・(実作)生花 二種生 ~生花を実作することで伝統的花型に含まれる哲学を体感する  (授業時間外の学習/ Assignments) いけばなの型を復習。 
(実施回/ Week) 13   (内容/ Contents) 【講義】五節句と京の華こよみ  
 ~二十四節気と花に見る日本の伝統と自然感 
(授業時間外の学習/ Assignments) 二十四節気と七十二候について調べておく。 
(実施回/ Week) 14   (内容/ Contents) 【実作6】自由花 
     穢とハレ 晴れの日のいけばな 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献を読みいけばなについての理解を深めておくこと。 
(実施回/ Week) 15   (内容/ Contents) 【実作7】草木に自身の想いを託して表現 
     総括・レポート 
(授業時間外の学習/ Assignments) これまでの授業を復習し,伝統文化に対する理解を深めておくと。 

講義に加えて,フィールドトリップ(いけばな作品展鑑賞)を一度実施する予定です。11月15日(日)予定。新型コロナウイルス感染拡大予防の為,午前午後二部に分け行う。事前申し込み制。詳細は授業内で知らせる。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,実技への取り組み態度など)  40%  積極的参加を評価する 
小レポート  30%  フィールドトリップおよび実技の作品レポート 
その他課題に沿った小レポートの提出 
期末レポート  30%  授業の内容を踏まえて,日本の伝統文化を理解し,今後どのように生かしていくかまとめてもらう。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
17 17.6 64.7 17.6 0.0 0.0 0.0 3.0 *

<テキスト/Textbook>

  特に使用しない。適宜,ハウンドアウトを配布します。 

 

<参考文献/Reference Book>

池坊専永 監修  『はじめての池坊いけばな入門』(講談社、1999)ISBN:978-4-06-266250-5 
 

日本華道社編集部  『はじめるいけばな学校華道』(日本華道社、2012)ISBN:978-4890-880645 
 

井上 治  『華道の思想』(思文閣出版、2016)ISBN:978-4-7842-1839-4 
 

大井ミノブ・小川栄一  『いけばな史論考ー池坊を中心にー』(東京堂出版、1997)ISBN:4-490-20326-8 
 

別冊太陽  『いけばな』(平凡社、1975)絶版であるが大変に参考になる。 
 

<参照URL/URL>

華道家元池坊―いけばなとはー 
 
IKENOBO Origin of Ikebana 
 

<備考/Remarks>

・本科目は,先行登録科目である(科目定員:24名)。 
・花材費7,700円が必要。抽選の結果,履修が認められた場合(春学期の登録期間中に決定した登録者も 
 含む),秋学期開始後,約1週間のうちに証明書発行機にて花材費を納入する必要がある。 
 納入期間,納入方法等の詳細は,秋学期登録要領を参照すること。 
 期間内に納入されなかった場合,登録を削除するので注意すること。 
 なお,一旦納入された花材費は,履修中止を含め,いかなる理由であっても返還できない。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
Copyright(C) 2020 Doshisha University All Rights Reserved. 無断転載を禁止します。