シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16600101-705 

△プロジェクト科目2-705 (老若コラボによる「現代の課題」ブックレット編集制作)
Project-based Seminar 2-705
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  PBL/PBL

  春山 文枝 和田 喜彦

このクラスは春学期・秋学期連結科目ですので、春学期の授業も表示しています。

<概要/Course Content Summary>

 老人とのコラボレーションで現代社会の課題を小冊子に描きだす。これがこのプロジェクトの具体的目標です。 
 
 人類社会の抱える危機は年々その広がりと深刻度を増しています。他ならぬ人類の文明に内在してきたと思われる環境破壊,個別社会文化の持続的安定の崩壊,続発する地域戦争と大規模な難民の発生。いずれも現代の危機と認識されながら,緩和・解決の道はいっこうに見いだせていません。 
 
 京都のNPO市民環境研究所は,硬直疲弊し自己回復力を失った軍国主義社会に幼少期をすごし,戦後は奇跡的といわれる高度経済成長のあからさまな帰結としての公害を目のあたりにした世代を中心に発足し,その現代史的な課題意識を若い世代に伝えることが自分たちの市民的責任だと考えてきました。しかしながら,避けがたく進行する少子高齢化社会の内部の慢性的病理,老若世代の分断という壁に直面しているのが現実です。社会問題への若者世代の無関心・不関与を嘆くという典型的な老人病理の一歩手前でかろうじて踏みとどまっていると言うべきでしょう。現代危機の一つといわれる社会文化の内部からの崩壊には,経済格差の拡大による階級的分断のみならず,老人と若者が歴史意識,あるいは社会課題についての意識を共有できないという世代的分断が大きな要因であることを思い知らされるのです。この状況では,情報通信技術の急激な発展も,開かれた情報共有よりもむしろ排他閉鎖主義的な社会分断を助長しているかに見えてしまいます。 
 
 このプロジェクトでは,世代をこえた対話的関係の可能性が問われています。研究開発あるいは企業活動の現場における双方向的な人間関係の有利性はいうまでもありません。しかしそのような創造的な場面でさえも多くの場合,現場から離れる老人世代とこれから現場に入る若者世代とが,部分的であれ歴史意識を共有することはまずありません。こういった歴史意識・社会意識の世代をこえた創出・共有プロセスの実現自体が,このプロジェクトの大きな主題です。学生の主体性に力点を置く「プロジェクト科目」の双方向的関係性をいかし,老若が直接向かいあい時間をかけて語りあうことによって,現代と未来の問題を手作りで描きだし小冊子に編集する――学生自身による問題発見のためのワークショップ,老人とのインタビュー,老若によるセミナー実施など,計画準備から成果発表まで,学生諸君の創意工夫に期待しています。

<到達目標/Goals,Aims>

○世代の壁をこえて対話する力――老人問題・若者問題をそれぞれの世代が抱える別々の困難としてではなく世代間断絶の問題としてとらえる視点が求められています。 
――世代間差異をこえての対話は,社会における他のさまざまな異質性を受容し理解する道を開くことにつながるかもしれません。 
○問題を発見する自分への気づき――相手の話をただ聴き取るのではなく,自分自身の認識との同異をとらえ,問いをたてるという姿勢が求められています。 
――相手と自分との表現行為の相互的なやりとりがあってはじめて,問題の発見を実感することができます。 
○批判的思考と自己の客観視――「常識」から意識的に自らを引きはなさなければ,対話の相手と自分自身の認識の同異に問いをたてることはできません。 
――自分のたてた問いに向かいあう手ごたえから,外部からの評価に寄りかからずに,自分の力(成長)を知る尺度を得ることができるはずです。 
○社会に関わろうとする意識――歴史意識・課題意識の共有は容易ではありませんが,自らが生きる現代社会の問題に関心と意見を持てるようになることを目指していただきたい。 
――大学生という同質的な集団の枠をこえ,広く社会との関わりのなかに生きることの意味を見出すことができるようになるかもしれません。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) ●春学期 
(実施回/ Week) (1)4月8日 
 
(内容/ Contents) コラボレーション事例紹介,自己評価の方法などガイダンス 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 目的・目標の共有化 
(実施回/ Week) (2)4月15日  (内容/ Contents) ライフ・ヒストリーやインタビューの例示などガイダンスとディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 例示資料の読み込みとメモ作りなど 
(実施回/ Week) (3)4月22日  (内容/ Contents) ワークショップ:インタビューに向けて,インタビュー・テーマのリスト作り 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビュー・テーマについての資料収集その他 
(実施回/ Week) (4)5月6日  (内容/ Contents) ワークショップ:テーマ・リストをめぐりカテゴリー分け,追加提案など 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビュー・テーマの資料の読み込み,小レポート作成など 
(実施回/ Week) (5)5月13日  (内容/ Contents) 小レポートについての説明発表とディスカッション(1) 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビュー・テーマの資料の読み込み,小レポート作成など 
(実施回/ Week) (6)5月20日  (内容/ Contents) 小レポートについての説明発表とディスカッション(2) 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) ディスカッションを受けての振り返りメモ作りなど 
(実施回/ Week) (7)5月27日  (内容/ Contents) インタビュイーの老人とインタビュー・テーマを具体化するガイダンス 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビューに必要な資料・情報の収集 
(実施回/ Week) (8)6月3日  (内容/ Contents) ワークショップ:インタビューに向けて質問項目を考える 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビューに必要な資料・情報の収集 
(実施回/ Week) (9)6月10日  (内容/ Contents) ワークショップ:インタビューに向けて質問項目を考える 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビューのための依頼・連絡など準備事務を確実に行う 
(実施回/ Week) (10)6月17日  (内容/ Contents) 連絡状況などの情報交換とテーマをめぐるディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビュー実施とインタビュー記録の作成整理編集 
(実施回/ Week) (11)6月24日  (内容/ Contents) 実施インタビューの報告とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビュー実施とインタビュー記録の作成整理編集 
(実施回/ Week) (12)7月1日  (内容/ Contents) 実施インタビューの報告とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) インタビュイーからのフィードバック(面談その他) 
(実施回/ Week) (13)7月8日  (内容/ Contents) フィードバックを取りこんだ小冊子編集のガイダンス 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小冊子作成––この段階でもインタビュイーとは密な連絡 
(実施回/ Week) (14)7月15日  (内容/ Contents) 作成した小冊子についての説明発表とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) ディスカッションを受けての振り返りメモ作りなど 
(実施回/ Week) (15)7月22日  (内容/ Contents) このプロジェクト科目の授業運営評価票および自己達成度評価票への記入 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 反省会 
(実施回/ Week) ●秋学期 
(実施回/ Week) (1)9月30日  (内容/ Contents) 後期目標設定:現代社会の問題をめぐる「老若セミナー」企画 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 資料収集などコラボレーション「老若セミナー」準備に着手 
(実施回/ Week) (2)10月7日  (内容/ Contents) 資料リストの報告(1)とワークショップ:セミナー・テーマの再抽出など 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) セミナー参加の老人候補者リスト,セミナー実施行程表作成 
(実施回/ Week) (3)10月14日  (内容/ Contents) ワークショップ:セミナー実施行程表点検とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) セミナー参加老人候補者への参加依頼・連絡など 
(実施回/ Week) (4)10月21日  (内容/ Contents) 準備セミナー(1):テーマ資料講読あるいはゲスト講義とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 準備セミナー(1)記録作成整理 
(実施回/ Week) (5)10月28日  (内容/ Contents) 準備セミナー(2):テーマ資料講読あるいはゲスト講義とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 準備セミナー(2)記録作成整理 
(実施回/ Week) (6)11月4日  (内容/ Contents) 準備セミナー(3):準備セミナー記録報告とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 本番「老若セミナー」への準備 
(実施回/ Week) (7)11月11日  (内容/ Contents) 「老若セミナー」第1回実施 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 第1回セミナー記録の作成整理 
(実施回/ Week) (8)11月18日  (内容/ Contents) ワークショップ:記録からの論点抽出などとディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 「老若セミナー」記録冊子作成に向け校正その他の作業 
(実施回/ Week) (9)11月25日  (内容/ Contents) 「老若セミナー」第2回実施 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 第2回セミナー記録の作成整理 
(実施回/ Week) (10)12月2日  (内容/ Contents) ワークショップ:記録からの論点抽出などとディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 冊子作成に向け校正その他の作業 
(実施回/ Week) (11)12月9日  (内容/ Contents) 「老若セミナー」第3回実施 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 第3回セミナー記録の作成整理 
(実施回/ Week) (12)12月16日  (内容/ Contents) ワークショップ:記録からの論点抽出などとディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 冊子作成に向け校正その他の作業 
(実施回/ Week) (13)1月6日  (内容/ Contents) ワークショップ:冊子作成中間報告とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 冊子作成最終作業 
(実施回/ Week) (14)1月13日  (内容/ Contents) 作成した小冊子についての説明発表とディスカッション 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) ディスカッションを受けての振り返りメモ作りなど 
(実施回/ Week) (15)1月20日  (内容/ Contents) このプロジェクト科目の授業運営評価票および自己達成度評価票への記入 
【春山・〔和田〕/今出川】 
(授業時間外の学習/ Assignments) 成果報告会の準備 

例えば,ディスカッションなどの過程で,小冊子の編集に関する新たな知識や準備が必要だと判断した場合は,変更の可能性あり。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加等)  30%   
提出物(企画書,活動報告書,議事録等)  10%  企画書の内容を評価する。 
成果物(報告書,CD,DVD,コンテンツ等)  10%  レポートや小冊子の内容を評価する。 
クラスでの発表,プレゼンテーションなど  5%  発表の内容を評価する。 
最終成果報告会の評価  5%  発表の内容を評価する。 
プロジェクト達成結果の評価  10%  「到達目標」の達成度を評価する。 
学生による自己評価  30%  「到達目標」の達成を学生自ら評価する。 

<テキスト/Textbook>

毎回の授業に資料を準備する。

<参考文献/Reference Book>

毎回の授業に資料を準備する。

<備考/Remarks>

1. NPO市民環境研究所には社会の動向を憂慮し意見表明の機会を求める老人たちが集っています。コラボレーションへの老人参加者が容易にみつからない場合には,遠慮なく相談してください。 
2. 成績評価には学生による自己達成度評価を最大限取り入れる方針であり,評価尺度の開発も実施課題の一つと考えています。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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