2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

　この授業では，京都が誇る日本有数の酒処・伏見を舞台に日本酒文化を軸にした酒ツーリズムのしくみづくりを行います。日本酒文化を知り，継承し，自分たちで創造することが目標です。　　
　しくみづくりとは，コンセプトメイキング，ツアーの設計，ビジネス設計，PR，運用設計が含まれます。この授業を履修することで，実践を通して，これらを習得できます。「酒ツーリズム」のしくみづくりで重要なのは，伏見の地域住民，酒蔵や観光業の関係者と関係を築き，声を聞くことです。これを通してツアーの根幹である伏見の魅力を見出し，地域の関係者の課題を発見します。ツアーが地域にどのような影響をもたらすか，酒蔵や観光に携わる方々が消費者との関係を作る中で抱えている課題は何か，そして酒ツーリズムを構成する伏見の魅力とは何かを，対話を繰り返すことにより見出します。　　
　授業でのしくみづくりのプロセスは以下の通りです。まず酒造業の歴史，日本酒文化の概要，伏見の酒造や観光に携わる方々を招き，現場の視点から日本酒を支える文化と産業の現状を学びます。これらインプットを踏まえ，実際に酒ツーリズムのしくみづくりに進みます。ツアーのコンセプトメイキング。ツアーでどのような魅力をどんな方に体験して欲しいかを考えます。そのあと，訪問先や体験の演出などツアーの設計を実施。ビジネス設計，PRの設計も行います。この時点での設計は仮説段階です。そこで，二つの点からその検証を行います。一つは，ツアーの魅力が設計通りに伝わるか，感動が得られるか。ツアーの潜在的参加者の声を聞いたり，自分でツアーのリハーサルを行ったりして検証します。二つ目は，より具体的な実現可能性。受け入れ先との具体的な段取りのシミレーションをしたり，実際にツアーのリハーサルを繰り返し，実現可能性の検証を行います。　　
　文化を守るとは，それを享受するだけでなく継承して自分たちで創ることです。この授業が，さまざまな文化や地域，歴史と関わり，主体性を持って社会と文化を受け継ぎ創り上げるスタート地点となります。ここで学んだことが，履修生のみなさんが将来の人生でよい社会をつくるための使命を帯びるとき，考え方と技術の助けとなるでしょう。　　
　この授業は，さまざまな方に協力いただいてプロジェクトを遂行させることで成り立ちます。協力いただいた方の時間と労力・思いに応えることがとても大切です。そのため，全回出席を前提で履修をお願いします。また，フィールドワークやツアー実施など授業外での活動に休日を含めた時間を多く割くことになります。授業の中で飲酒することはありません。未成年の方でも履修できます。　　
　担当者はメディア・イベント・体験型コンテンツのコンセプト作りから運用までの実務経験，日本酒文化に関する執筆・講演活動の経験を活かし，実習を行います。

＜到達目標/Goals,Aims＞

酒ツーリズムのしくみづくりを通して，多くの人と関わりながら文化を理解し，伝え，創造することを目指します。実現可能なスキームと具体的な実施・運用を図ることもこの授業の特徴です。それぞれのプロセスで以下の能力の向上が見込まれます。コンセプト・メイキングのプロセスでは，企画立案力が習得できます。インプットと仮説検証，アウトプットを繰り返しながら，アイデアから実現可能な具体的な企画を生み出す能力です。ツアー設計では，酒蔵や観光などに関わる方々からのヒヤリングを通して課題発見能力が身につきます。ここでは傾聴・対話が重要です。具体的なツアーの実施にあたっては受け入れ先などの協力と良好な関係の構築が不可欠です。ツアーの段取りを受け入れ先と話し合いながら構築することで対外交渉力を習得します。ツアー実施のための具体的事項を考え，実現可能性を検証し，実施の決定を行うためには大量の情報を扱ううえに正確性が要求されるので，情報管理能力が身につきます。また，これらのプロセス全体をチームで行うことで，協調性が身につきます。　

＜授業計画/Schedule＞

ゲスト講師による授業の日程は，変更になる場合があります。

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞

プロジェクトへの参加・貢献度を重視します。