2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

　本科目では，地域に伝わる歴史ある地域資源を伝承しつつ「自然と共に生きる将来へ持続可能な社会」の実現を目指し，地域資源のナレッジマネジメント，また地域コミュニティーの形成，そして社会的インフラの面さらには技術的側面からアプローチした活動を行い，現実のプロジェクトにおいて提案を行います。そして履修生の皆さんと地域住民の方，自治体が連携して一体となり，持続可能なエネルギー自立（自律）社会の形成を目指して活動を行います。　
　科学・技術と文明・文化のあり方，また技術・文化と経済・社会の発展の間には深い相互関係があり，現在の都市・まちの発展を支えてきました。他方，環境保全と文明社会の両立・調和についての課題が大きくクローズアップされています。これはグローバルな環境破壊やエネルギー資源の枯渇などに対する危機感に起因しており，今後資源循環型・サスティナブル（持続可能型）のエネルギー利用の観点から，調和のとれた社会生活を実現するまちのあり方を考える必要があります。　　
　対象とするエリアは関西文化学術研究都市（けいはんな学研都市）エリア全体とします。当該エリアでは学研都市として企業の研究拠点の誘致が進み，その周辺には現代的なニュータウンが形成される一方で，柿渋をはじめ相楽木綿，竹細工，茶など歴史ある地域資源が存在するという一面があります。本科目の具体的アクションとしては，木工芸，竹工芸等地域のバイオマスを活用した振興と新たなライフスタイルの提案，森林資源を活用したコージェネレーションシステムの活用などのエコシステムの提案，エネルギー自立（自律）タウンの実現へ向けた地域エネルギー経済モデルやエネルギー地産地消モデルの提案等，が考えられます。いずれも地域住民の方そして自治体との密なやり取りが必要であり，伝統技術・地域社会・都市構造といった多角的な観点から現実性を備えた取組が必要となります。また履修生の皆さんの希望やプロジェクトの展開に伴い，上記以外への取組も想定されます。　
　プロジェクト運営に際しては，進捗内容に応じて京都府，関西文化学術研究都市推進機構，地元自治会，けいはんなグリーンイノベーション（KGI）フォーラム等と連携し運営を行う予定です。またけいはんなグリーンイノベーションフォーラムをはじめとする団体が推進する事業と連携し，本科目での取組が実現される場が与えられるものとします。なお，科目担当者は一級建築士およびAPECアーキテクトとして実務に携っており，その経験から実社会のニーズに基づいたまちづくり活動を行います。

＜到達目標/Goals,Aims＞

　本科目では，けいはんなグリーンイノベーションフォーラムが推進する事業と連携し，産学公住が参加・協働し活動を行うことを予定しています。本科目でのプロジェクトは，けいはんなエリアにおいて進められる事業と密接に関わり合いながら進行し，また自治体そして地域コミュニティーとも継続的に連携を行いながら活動を行うため，担当分野の中では大きな裁量が与えられる一方，関連先に対して大きな責任とプレッシャーが伴います。学生の皆さんは上記環境の中で，まずはコミュニケーション能力，社会適応力，責任感やプレッシャーに耐えうる心，そして自らプロジェクトの可能性を切り開く積極性を高めてほしいと考えています。他方，提案の内容という点から考えますと，地域に対する理解，住民目線の分析，そして技術・社会・都市といった多角的な観点から先進性と現実性をバランスよく備えた取組が必要となってきます。このため学生の皆さんには，コミュニケーション能力，社会適応力は勿論の事，多角的な視点に基づく分析能力，物事に対するバランス感覚，新しいものを創り出す発想力とそれを推進するバイタリティーが求められます。本科目を通じて，上記の様な実社会で必要とされる多くの問題解決能力の向上が期待されます。

＜授業計画/Schedule＞

提案検討の進捗状況により，日程及び内容を適宜調整する場合があります。

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞