シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16016607-055 

△生命の科学2-55 (人間の発達を支える基本機能)
Life Science 2-55 -Basic Functions of Human Development-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  田中 真介

<概要/Course Content Summary>

 発達(Development)の語は,包み込まれた未知の可能性が花開いていく過程を表す魅力的な言葉として地球上に生まれ,その概念の内容を豊かにしてきました。この授業では「人間の発達を支える基本機能」について学びます。 
 銀河系の中に太陽系が生まれ,その第三惑星に高分子の自己複製体が形成されて以来およそ36億年が経過し,現在に至っています。現生の人類が他の霊長類と進化の道を分かれて数百万年が経過した現在,地球上の生命体がもっている多様な機能の中でも,人間の神経系と免疫系は,最も精密で柔軟なシステムのひとつといえるでしょう。この講義では,人間の発達を支えているいろいろな機能のうち,神経系と免疫系に焦点をあてて,次の事項について考えます。 
 1)人間の心身の諸機能,特に神経系と免疫系の基本的な構造と機能。 
 2)脳機能のうち,感覚・知覚,記憶,および感情のしくみとその発達過程。 
 3)神経系や免疫系の機能と関連の深い社会的な諸問題について。

<到達目標/Goals,Aims>

 1)人間の発達を支えている基本機能の成り立ちを理解する。神経系の機能については,特に「感覚と知覚」「記憶と学習」「感情」についての新たな見方を理解する。 
 2)人間の諸機能の発達を阻害している社会的な問題の本質をとらえ,実践的に対応し解決していく力量を養成する。 
 
 受講生が自らのもつ未知の諸機能(人類に共通する心身の諸機能)についての理解を深めることによって,自分自身の生命活動とその発達過程の魅力を新たに発見していくことを期待しています。さらに,それらを支えるためのよりよい社会環境のあり方を考え,広く人間に対する深い信頼と期待と尊重の精神が培われていくことを願っています。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 「はじめに」:人間の発達とその基本機能を学ぶ意義  (授業時間外の学習/ Assignments) 次の事項について復習する。 
「学ぶ意義」 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 「人類の進化史」:神経系のしくみ,霊長類とヒトの進化  (授業時間外の学習/ Assignments) 「神経系の基本」 
「ヒトはなぜ・どのように進化したか」 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 「感覚と知覚」:情報の受容だけでなく,能動的に情報・環境を構成する機能(その1:「見る」とは何か)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「視覚シグナルの伝達機構」 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 「感覚と知覚」:情報の受容だけでなく,能動的に情報・環境を構成する機能(その2:乳児の知覚の発達過程)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「視覚機能が形成されるために必要なことは何か」 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 「記憶と学習」:自己の空間的・時間的定位によって,自己の価値を確証する機能(その1:脳内機構)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「記憶のしくみ」 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 「記憶と学習」:自己の空間的・時間的定位によって,自己の価値を確証する機能(その2:記憶障害)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「記憶障害はなぜ起こるか」 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 「記憶と学習」:自己の空間的・時間的定位によって,自己の価値を確証する機能(その3:医療問題)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「記憶障害への援助方法」 
「記憶の意義は何か」 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 「感情と価値判断」:価値の判断と記憶によって自他の価値を創出し表現する機能(その1:脳内機構)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「感情のしくみ」 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 「感情と価値判断」:価値の判断と記憶によって自他の価値を創出し表現する機能(その2:社会問題)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「感情障害はなぜ起こるか」 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 「感情と価値判断」:価値の判断と記憶によって自他の価値を創出し表現する機能(その3:教育問題)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「感情障害への援助方法」 
「感情の意義は何か」 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 「神経系と免疫系」:自己と非自己。ウイルス感染症とその防御システム(その1:予防接種による健康被害)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「免疫系の基本」 
「ワクチンが効かないしくみ」 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 「神経系と免疫系」:自己と非自己。ウイルス感染症とその防御システム(その2:薬害エイズ)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「後天性免疫不全症候群」 
 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 「人間の発達と社会的な諸問題」(その1:戦争・児童虐待とPTSD)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「PTSDの発症機構」 
「PTSDへの援助の方法」 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 「人間の発達と社会的な諸問題」(その2:脳の機能と化学物質,薬物療法)  (授業時間外の学習/ Assignments) 「脳内化学物質の役割」 
「脳機能障害への援助の方法」 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 「まとめと展望」:レポート発表会  (授業時間外の学習/ Assignments) (予習)レポートの作成と発表準備 

*受講生の理解度,特に関心のあるテーマなどに応じて,授業計画は変更する可能性があります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  20%  問題意識をもった積極的な参加を期待しています。 
小レポート  30%  授業ごとに「ミニレポート」の提出を求めます。 
期末レポート試験・論文  50%  レポートが,受講生のオリジナルな作品となることを期待しています。 

<テキスト/Textbook>

 とくに使用しません。授業時に資料を配布する予定です。

<参考文献/Reference Book>

 授業中に紹介します。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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