シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16016509-054 

△科学史・科学論2-54 (科学技術の進歩が引き起こした社会的諸問題)
History and Philosophy of Science 2-54 -Social Problems Caused by Advances in Science and Technology-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  藤岡 毅

<概要/Course Content Summary>

 19世紀後半から本格的に始まった科学の産業利用は,20世紀になって飛躍的に進行し,科学技術が現代の世界文明の根幹を支えているという現状は誰の目にも明らかである。科学技術の恩恵を受けた先進国の多くの人々はかつてなく豊かな物質生活を享受するようになり,科学技術の発展が豊かな未来を切り開くという「科学万能主義」的な考えが人々を支配した。しかし,20世紀に本格化した科学技術の軍事利用のもとで科学技術の国家支配が強化され,20世紀後半のある時期から科学技術はさまざまな社会問題を引き起こすようになった。こうした中で「科学万能主義」への懐疑が生じている。本講義では,放射線被ばく問題のような科学技術が引き起こした社会的問題群を取り上げ,その問題点を指摘するとともに,21世紀における科学技術のあり方について主体的な意見を持ち,考察できるようになるための基礎を養う。

<到達目標/Goals,Aims>

1.受講生は20世紀以降の科学がもたらした社会的問題をトータルに学ぶ。 
2.科学技術をめぐる倫理観を養う。 
3.科学技術が直面している問題の解決は,理工系の専門家に任しておけば良いという考え方から脱却できる。 
4.「ポスト・ノーマル・サイエンス」と呼ばれる現代科学の現状を直視し,21世紀における科学との付き合い方を学ぶ。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) イントロダクション  (授業時間外の学習/ Assignments) 音声付きスライドを参照しながら配布レジュメを読み直し要点を整理。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 科学と技術の結びつきの発展  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 科学技術の倫理的課題。戦争と科学・技術  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) マンハッタン計画と原爆投下  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 戦後の原水爆開発競争と核実験問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 原子力発電の歴史と重大事故  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 低線量被曝問題の歴史と科学論(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 低線量被曝問題の歴史と科学論(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 福島原発事故避難者の経験から学ぶ  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 公害問題の原点としての水俣病問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) レィチェル・カーソン『沈黙の春』がもたらした衝撃  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 生命操作技術の可能性と問題点  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 地球温暖化と気候変動問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) リスク論と予防原則  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 「ポスト・ノーマルサイエンス」時代と科学のゆくえ  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 

授業の進展状況によっては,受講生と相談の上,授業計画を変更することがあります。 
第9回の講義は福島原発事故による避難者の方をお呼びしてゲスト講演・討論の予定でしたが,対面授業中止のためゲストの方の裁判での陳述内容などの資料や声を配信します。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席点,講義内容に関するコメント提出で出席とみなす)  56%  1回の講義コメントは300〜400字で最高4点。4点×14回=56点。内容理解が不十分な場合は減点します。 
小レポート  14%  秋学期の途中で課します。 
期末レポート試験・論文  30%  秋学期の講義内容に関するテーマを課します。 

ネット配信授業となるため,毎回レジメとスライド資料を配信します。スライド資料には必要に応じ音声を入れます。授業のコメントを講義(配信)から1〜2週間以内に提出することで出席とみなします。講師のメールアドレスを公開し,受講生が質問しやすいようにする。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
95 47.4 20.0 15.8 5.3 11.6 0.0 2.9

<テキスト/Textbook>

なし。毎回レジメとスライドを配信する。

<参考文献/Reference Book>

ジェローム・ラベッツ  『『ラベッツ博士の科学論』-科学神話の終焉とポスト・ノーマル・サイエンス-』第1版 (こぶし書房、2010年)「ポスト・ノーマル・サイエンス」の提唱者による決定版。現代社会と現代科学との関係性を理解する上で極めて有益。 
 

中川保雄  『増補 放射線被曝の歴史-アメリカ原爆開発から福島原発事故まで-』(明石書店、2011年)国際放射線防護委員会(ICRP)を中心とした放射線防護の国際機関の形成過程を分析し,それらが原子力産業の利害に立ち,放射線の健康影響のリスクを極めて過小評価してきた事実を明らかにした古典的名著の増補版。 
 

牧野純一郎  『被曝評価と科学的方法』(岩波書店、2015年)福島原発事故による被曝の影響を過小に見せるため政府・専門家がおこなっている科学の捻じ曲げを,当代第1級の天文学者が科学の方法論に立ち,徹底して批判した好著。科学とは何か,その論理を理解する上でも有益。 
 

他の文献は授業で紹介する。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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