シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16003401-055 

△政治学2-55 (近代世界と近代日本における世界像と自己認識2)
Political Science 2-55 -Views of the World and Self-Images in Modern Times and Modern Japan 2-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  岡林 伸夫

<概要/Course Content Summary>

 私たちは,たとえふだんは無意識であっても,なんらかのかたちで「日本人」としてのアイデンティティを持っている。あるいはそれは,アイデンティティというようなたいそうなものでなく,たんに漠然とした「日本」や「日本人」についてのイメージといったほうがよいかもしれない。私たちはそれをただなんとなくまちがいのないもの,当然のものと思い込んでいる。それは日本の歴史的な,そして現在的な背景から作り出されたものであり,その背後には眼に(イメージに)とどかない日本の多様な歴史と現実があることに私たちは気づかないことが多いのだ。 
 本講では,まず「国家」「国民」「民族」,あるいは「文明」や「文化」といった概念が私たちの意識をいかに形作っているかを考えることからはじめ,そのあと幕末・明治維新以後の日本の近代史上において「日本」「日本人」あるいは「日本文化」について日本人がどのようなイメージ(アイデンティティ)を作り上げてきたかを追いかけることにしよう。そして,「国際化」が叫ばれて久しい現在において,ともすれば「単一民族」や「単一文化」などという貧相で危ういイメージに収束しがちな私たちの「日本」に対するイメージないしアイデンティティを,世界に向かって,また「単一」の視点では抑圧されざるをえない日本のマイナリティに向かっていかに開かれたものにすることができるか,探ってみよう。

<到達目標/Goals,Aims>

 「グローバリゼーション」と「環境問題」が従来の「国家」を主体とした自己意識(アイデンティティ)を解体させつつある現在において,学生諸氏がその「国家」を主体とした自己意識がいかに形成され,そこにどのような問題が生じてきたかを再検討することをとおして,今後の課題を考える手がかりを得ることができればよいだろう。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) イントロダクション(国境の話でもしようか)─私たちはなぜ「○○人」なのか,参考文献紹介  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:西牟田靖『僕の見た「大日本帝国」』情報センター出版 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「○○人」意識の意味  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:福岡安則『在日韓国・朝鮮人』中公新書 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「近代国家」における「国民」の創出―政治的枠組  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』NTT出版 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「近代国家」における「国民」の創出―経済的枠組  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:神崎宣武『江戸の旅文化』岩波新書 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「近代国家」における「国民」の創出―文化的枠組1  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:井上ひさし『国語元年』新潮文庫,中公文庫 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「近代国家」における「国民」の創出―文化的枠組2  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:兵藤裕巳『〈声〉の国民国家・日本』NHKブックス 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) まとめ─「国民化」ということの意味  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:吉田裕『日本の軍隊』岩波新書 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「民族」とは何か  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:なだいなだ『民族という名の宗教』岩波新書 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「文明」と「文化」の意識  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:ノルベルト・エリアス『文明化の過程』法政大学出版局 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 「日本」意識の変遷1―「文明開化」から「自由民権」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:福沢諭吉『文明論之概略』岩波文庫 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 「日本」意識の変遷2―「欧化と国粋」から「帝国日本」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:幸徳秋水『帝国主義』岩波文庫 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 「日本」意識の変遷3―「大正デモクラシー」から「皇国日本」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:吉野作造『吉野作造評論集』岩波文庫 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 「日本」意識の変遷4―「戦後復興」から「高度成長」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:日高六郎編『現代日本思想大系34 近代主義』筑摩書房 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 「日本」意識の変遷5―「経済大国」から「国際化」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:杉本良夫:ロス・マオア『日本人論の方程式』ちくま学芸文庫 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 現代国際政治,国際関係とアイデンティティのゆくえ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予復習のための参考文献:西川長夫『国境の越え方』筑摩書房 

以上は講義の順序を示すものであって,必ずしも一回の授業時間で区切るものではない。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

小テスト  20%  講義内容の理解度や受講生諸君の関心,感想などを問うために予告なく2回程度行なう。 
期末レポート試験・論文  80%  この講義から受講者自身がいかに自分の関心と問題意識を組み立て深め,どのように考察するかを評価の最大のポイントとする。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
61 3.3 6.6 42.6 27.9 19.7 0.0 1.5

<テキスト/Textbook>

  特定のテキストは使用しない。 

 

<参考文献/Reference Book>

参考文献については上記「授業時間外の学習」の欄を参照,および講義当初にリストを配布。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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