シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16002341-051 

△論理学(2)-51 (記号論理学の基礎)
Logic (2)-51 -Introduction to Symbolic Logic-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  野坂 宜正

<概要/Course Content Summary>

論理学は,19世紀末から20世紀初頭にかけて,フレーゲやラッセルらの研究によって大きく進歩し,アリストテレスの伝統的論理学よりもいっそう厳密で包括的な体系を構成できるようになった。その結果記号論理学は,現在では哲学のみならず,情報科学や認知科学などを含む,さまざまな分野にとって必要不可欠な基盤を成している。本講義では主に,この記号論理学のなかでも最も基礎的な体系である,命題論理と一階の述語論理の主要な内容を概観する。これを通じて,記号論理学の発展史の背景にある最重要の問題意識のひとつ,すなわち,「構文」「意味」「真理」の各概念の相克について,一定の気づきと理解を得ることを目的とする。

<到達目標/Goals,Aims>

受講生は,まず,記号論理学における記号の基本的な取り扱い方法に習熟して,ある程度複雑な日常言語の文を記号化できるようになること。その上で,論証の妥当性を記号論理学の手法を用いて証明できるようになることも求められる。 
 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 論証とは何か   
・「演繹的」ということ   
・ 論証の妥当性と健全性 
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題1  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 命題論理(1)   
・さまざまな論理的結合子   
・真理函数とは何か   
・日常言語表現の記号化  
(授業時間外の学習/ Assignments) ノートの見直し・整理  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 命題論理(2)   
・条件法の論理的諸性質   
・真理値計算の方法  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題2  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 命題論理(3)   
・文の恒真性・恒偽性・偶然性   
・ 真理表作成の方法   
・ 真理表を用いた論証の妥当性判定テスト  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題3  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 命題論理(4):命題論理における証明1   
・文と文形式   
・演繹的方法による論証の妥当性の「証明」  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題4  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 命題論理(5):命題論理における証明2   
・条件的証明法   
・ 帰謬法   
・ 恒真文と定理   
・ 構文論的観点と意味論的観点   
・ メタ証明  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題5  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 述語論理(1)   
・述語論理のねらい:学校文法と論理的文法   
・全称量化と存在量化  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題6  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 述語論理(2):述語論理における証明1   
・述語論理における「解釈」   
・ 演繹的方法による論証の妥当性証明の概略   
・ さまざまな導出規則とその適用の方法  
(授業時間外の学習/ Assignments) ノートの見直し・整理  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 述語論理(3):述語論理における証明2   
・ 演繹的方法による論証の妥当性証明:ケーススタディ-ズ  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題7 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 述語論理(4):「関係」を記号化する   
・日常言語表現の記号化:関係的述語を用いて   
・ 多重量化  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題8 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 述語論理(5):述語論理における証明3   
・多重量化を伴う論証の演繹的証明   
・導出規則の適用方法再説:やっていいことといけないこと  
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習問題9 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 「真理」とは何か(1)   
・三つの真理観:対応説・整合説・プラグマティズム  
(授業時間外の学習/ Assignments) ノートの見直し・整理  
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 「真理」とは何か(2)   
・タルスキの意味論的真理観:メタ言語と対象言語   
 
述語論理(6):述語論理に基づく論理分析の方法   
・ラッセルの「記述の理論」とその哲学的意義   
・「関係性」の分類〜対称・推移・反射〜  
(授業時間外の学習/ Assignments) ノートの見直し・整理  
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 非標準的論理体系   
・多値論理:「白黒」のつかない事象を記号化する   
・様相論理:可能性と必然性   
・様相を巡る哲学的問題〜必然性は必然的?〜  
(授業時間外の学習/ Assignments) ノートの見直し・整理  
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) まとめ   
・公理的方法に基づく論理の体系化の試み   
・ 論理体系の備えるべき性質:完全性と無矛盾性   
・ 一階の述語論理の限界  
(授業時間外の学習/ Assignments) ノートの見直し・整理  

授業計画は,必要に応じて多少変更する可能性がある。また,これに伴い,演習問題配布の日時についても変更の可能性がある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

小テスト  50%  主として,上記「演習問題」でのパフォーマンスに拠る。 
期末試験  50%  講義内容に関する論述を評価する。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
19 36.8 15.8 0.0 5.3 42.1 0.0 2.0

<テキスト/Textbook>

各授業時にオリジナルプリントを配布するため,とくに指定しない。

<参考文献/Reference Book>

B.ラッセル  『論理的原子論の哲学』(筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2007)
 

B.ラッセル  『哲学入門』(筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2005)その他,講義中に適宜紹介する。 
 

<備考/Remarks>

・全9回の演習問題は,それまでの授業内容の理解度を確認するためのものである。自宅で完成させて,翌週の講義時に提出すること。詳細については初回の授業時に説明する。    
・本講義は,いわゆる「積み重ね」タイプの講義である。つまり,各回の講義を理解するためには,それ以前の回の講義内容を確実に理解していることが必須である。したがって,なるべく毎回出席するように心がけること。やむをえず欠席する場合には,担当者に連絡を取るなどして,キャッチアップに努めること。 
・本講義の受講を希望する者は,春学期開講科目「論理学(1)(日常言語の論理学)」の単位を取得していることが望ましい。  
・一般に,講義とは学生と担当者のあいだの相互作用によってより稔り豊かなものになりうるものである。受講者は,このことを念頭に置いて,学びつつある事柄についての疑問点など,授業のなかで各自の考えを積極的に述べてほしい。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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