シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


16000804-051 

△日本の伝統と能楽-51 (能楽を通してみる日本の伝統文化)
The Japanese Tradition of Noh Play-51
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  河村 晴久

<概要/Course Content Summary>

【公開開始時点の授業計画から変更しているので注意すること。4/3付】  
 
 日本の伝統芸能である能楽について授業をおこなう。能楽は,室町時代の十四世紀から現代までの六百年間,演じ続けられている演劇である。十世紀や十一世紀の文学作品をもとにして,十四世紀に作られた劇であり,その言葉は現代日本語に比べればむつかしいものである。しかし,いつの時代にも人々を引きつける魅力を持っていたから,現代まで続いているのであり,その内容は古くなく,普遍的な人間の心や美を描いている。またその表現技法も,長年の工夫の末に得られた,密度の高いものである。能楽に現れた日本人の感性を理解すると共に,日本の文化との関係を示しつつ,伝統について考えて欲しい。 
 担当者は能楽の実演家(能楽師観世流シテ方)で,国の重要無形文化財能楽総合認定保持者である。三歳の初舞台以来,日々舞台に立ち実演を行っている。また文化庁の文化交流使として海外との文化交流の経験も豊富に持つ。海外の大学での能の理論説明やプロの演劇人への実技指導なども多い。実演経験からの能の真髄理解と共に,異文化の中での日本文化の客観視の経験を元に,この授業は進められる。

能 井筒 撮影金の星渡辺写真場

<到達目標/Goals,Aims>

教室での講義,鑑賞,史跡巡りを通して,日本の文化の中で能に関する基本的な知識を身につけ,日本文化と伝統を考える態度を養うようにする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1 9月28日(月)  (内容/ Contents) 能楽の概要 パワーポイント,ビデオを用いて能の概要を示し,今後の方針を知らせる。  (授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献等により,能とは何かを把握しておく。 
(実施回/ Week) 2 10月5日(月)  (内容/ Contents) 能楽の空間。実際の能舞台を見学し,空間と表現の関係を学ぶ。また能舞台の種々の工夫を知る。 
※この日は河村能舞台で授業を行う。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献等により,能をはじめとした演劇の舞台の構造を調べておく。 
(実施回/ Week) 3 10月12日(月)  (内容/ Contents) 能楽の歴史1 古代よりの日本の芸能史を講義する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 日本史の基礎を予習しておく。 
(実施回/ Week) 4 10月19日(月)  (内容/ Contents) 能楽の歴史2 世阿弥を中心とした,能の歴史を講義する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 日本史の基礎を予習しておく。 
(実施回/ Week) 5 10月26日(日)  (内容/ Contents) 能楽の歴史3 世阿弥以後の歴史を講義する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 日本史の基礎を予習しておく。 
(実施回/ Week) 6 11月1日(日)  (内容/ Contents) 史跡の見学 奈良の史跡見学を行い,能楽の歴史と文化の関連を知る。見学箇所は興福寺(南大門跡・国宝館),春日大社(一の鳥居・影向の松・御旅所),奈良春日野国際フォーラム甍~I・RA・KA~(旧奈良県新公会堂-能舞台-),手向山八幡宮・東大寺(三月堂・二月堂・南大門),氷室神社等。 
午前10時,興福寺南大門跡集合,午後5時頃奈良国立博物館前で解散予定。詳細は授業時に示す。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 見学箇所の概要を,歴史的,文化的,美術的視点から調べておく。 
(実施回/ Week) 7 11月2日(月)  (内容/ Contents) 能楽のさまざま 二百番を越える能は,神,男,女,狂,鬼の五つに分類される。これはまた能の精神性をも表す分類であり,能の様々を講義する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 謡曲集などで,授業で取り上げた能以外についても見ておく。 
(実施回/ Week) 8 11月9日(日)  (内容/ Contents) 能楽の芸術論 世阿弥の芸術論を紹介し,初心,幽玄などの言葉と共に世阿弥の目指した世界を紹介する。 
※11月16日は奈良史跡見学の振替で授業無し。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 文学や美術における美的感覚を調べておく。 
(実施回/ Week) 9 11月23日(月)  (内容/ Contents) オンラインによる舞台鑑賞。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 鑑賞内容について,下記参考文献により下調べしておく。 
 
 
(実施回/ Week) 10 11月30 
日(月) 
(内容/ Contents) 能楽の表現1 所作 基本的な能の所作(構え,運び)を体験し,表現法を学ぶ。 
※この日は河村能舞台で授業を行う 
 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 所作を復習し,身体表現について体感する。 
(実施回/ Week) 11 12月7日(月)  (内容/ Contents) 能楽の表現2 音楽 歌と楽器について講義する。西洋音楽では割り切れぬリズム,メロディーについて,実際に謡い,拍子を取る体験をしつつ学ぶ。  (授業時間外の学習/ Assignments) 謡,囃子を復習し,音楽感を体感する。 
(実施回/ Week) 12 12月14日(月)  (内容/ Contents) 能面,能装束 実物を見学し,その美術的価値を知ると共に,そのうちにある作品の力を体感する。 
※この日は河村能舞台で授業を行う。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 仮面彫刻,染織について,一般知識を得ておく。 
(実施回/ Week) 13 12月21日(月)  (内容/ Contents) 伝統と文化 歴史の中で育まれた文化の継承と変化について考察を加え,現代における伝統の問題を講義する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 伝統がいかなるものか,各自で考えてもらう。 
(実施回/ Week) 14 1月10日(日)  (内容/ Contents) 京都観世会館での舞台鑑賞。 
感染症予防の劇場の対応状況によって,1月10日の舞台鑑賞は取りやめ,1月18日(月)通常の授業時の映像による舞台鑑賞に変更することもある。 
※1月10日に舞台鑑賞を実施した場合は,振替で1月18日(月)の授業は行わない。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 鑑賞内容について,下記参考文献により下調べしておく。 
 
(実施回/ Week) 15 1月25日(月)  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) これまでの授業を復習し,日本の伝統文化に対する理解を深める。 

学外実習の詳細について,また予定変更がある時は,授業時の案内と共にDUETのメーセージに記載する。 
DUETを常に確認すること。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  40%  出席態度を重視する。毎回その日の授業に関する文章を書いてもらい授業に対する取り組みをはかる。 
史跡見学レポート  10%  現地,実物に触れての感想を中心まとめてもらう。 
舞台鑑賞レポート 1回  20%  実演に接して,感じたことを中心にまとめてもらう。 
期末レポート試験  30%  授業の内容を踏まえてのレポートを書いてもらう。 

各自の視点に立って,日本の伝統を理解して欲しい。従って出席して受講した内容,史跡で見学した実物,能の実演にふれた体験を元に,どれだけ自分なりの考えをまとめることができるかが評価のポイントとなる。

<テキスト/Textbook>

教科書を用いないので,教科書の書籍代は不要である。

<参考文献/Reference Book>

表 章(おもて あきら)  『別冊太陽 能』(平凡社、1978)「別冊太陽 能」は版元絶版。能を理解するために手ごろな本なので,図書館等での閲覧を勧める。 
 

天野文雄 他  『別冊太陽 世阿弥』(平凡社、2010)「別冊太陽 能」と共に,手ごろな本。 
 

Royall Tyler , JAPANESE NO DRAMAS .   (PENGUIN BOOKS, 1991) .  能の翻訳と解説。手軽で優れた解説。 

 

伊藤 正義  『新潮日本古典集成-謡曲集 上・中・下-』(新潮社、1983)能の本文と注釈。特に各能の解説が詳しい。 
 

小山 弘志・佐藤 喜久雄・佐藤 健一郎  『日本古典文学全集-謡曲集 一・二-』(小学館、1973)能の本文と注釈。このシリーズには現代語訳がついている。 
 

西野 春雄  『新日本古典文学大系-謡曲百番-』(岩波書店、1998)能の本文と注釈。最新の成果が盛り込まれている。 
 

横道 萬里雄・表 章  『日本古典文学大系-謡曲集 上・下-』(岩波書店、1960)能の本文と注釈。版元絶版であるが,古書店では簡単に手に入る。能の本文を小段に分けて分析した画期的な本で,能研究の基本となる。 
 

表 章・加藤 周一  『日本思想体系-世阿弥・禅竹-』(岩波書店、1974)世阿弥の全ての芸論を読むことができる基本図書。 
 

すべて図書館に所蔵。舞台鑑賞の前には,必ずこれらの参考文献により鑑賞する曲について調べること。

<備考/Remarks>

実演の鑑賞,実物の提示,ビデオ,パワーポイントを多用する。舞,謡の体験も行う。京都の中で,その文化と伝統に触れることを経験して欲しいので,出席を重視する。 
 
実際に能に触れるために,大学近隣の河村能舞台(寒梅館の北側,烏丸上立売上ル西側)でも授業を行う。 
 
史跡の見学に奈良(11月1日),能の鑑賞に京都観世会館(左京区岡崎円勝寺町)(1月10日)に出向く。これらに出席してレポートを制作することが単位取得の必須条件である。これらは日曜の授業となるため,出席できるよう,シラバスに従い日程調整をすること。 
 
史跡見学の拝観・入場料金,入場券代は,それぞれ自己負担となる。負担額は4千円以内の予定。 
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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