シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


15020030-051 

△学習指導と学校図書館-51
Information Literacy and Reference Service-51
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義および実技/Lecture and Skills practice

  家城 清美

<概要/Course Content Summary>

学校図書館は,教育課程の展開に寄与し,児童・生徒が資料や情報を活用しながら問題を解決し,自主・自立した学習者となるよう支援する。また,授業を担当する教員を支援する。このような学校図書館と司書教諭の意義と役割を取り上げる。授業内容は,社会状況によって変わる学力観,学校図書館史,司書教諭の活動,その活動を支える理論と支援ツールの説明で構成されている。学校司書を目指す学生は,授業でどのように学校図書館が活用されるか,教師の授業の進め方や授業でのねらいを理解できるような授業内容にしている。さらに,授業内容の理解を深めるため,児童・生徒の立場で探究型学習に取り組み,かつ,司書教諭として探究型学習の効果的な支援方法を考えた発表をすることや学校司書として探究学習を支援する方法も授業に含まれている。 
担当者は,専任の司書・司書教諭として学校図書館での35年の経験を有している。在職中は,学校図書館の運用や調べ学習及び探究学習の支援と生徒の情報リテラシー育成に取り組んできた。また,支援については,アメリカの学校図書館基準の翻訳などを通じ,理論的補強を図ってきた。本授業の後半では,新学習指導要領で全教科に導入されるべきとするアクティブラーニングへの司書教諭の支援のあり方を実習を通して学ぶこととする。この実習は担当者の現場経験が生かされたものであるが,どのような理論に基づくものかは,前半の授業のうち,指導の理論の変遷の中で講義する。実習の課題については,入学試験の予想問題として公表されているものの中か,在職中に取り組んできた課題のいずれかがベースとなったものである。グループでの実習となるので,単に課題に取り組むだけでなく,グループ内での協調性のあり方,リーダーシップのあり方,課題を成し遂げる計画性とは何かなども体験を通じて学ぶことになる。よってこの授業は,理論の習得(資料の視聴や講義),理論に基づく方法等の習得のためのグループ実習(資料作成・発表・評価を含む)で構成されている。

<到達目標/Goals,Aims>

情報社会の今日,どのように情報を活用することが,探究型学習では重要か明確に理解できるようになる。教授型授業と探究型授業の違いが,理解できるようになる。探究型学習での情報活用のプロセスを知り,司書教諭として,学校図書館を活用しながら児童・生徒の学習と教員の支援ができるようになる。司書教諭のための図書館利用指導の理論,基礎知識および基礎的な技法を習得できる。学校司書を目指す学生は,授業や学校行事の関わり方や司書教諭とのコミュニケーションの取り方などを習得できる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回  (内容/ Contents) はじめに 
本授業のねらいとシラバスの説明  
グループ学習の準備 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次回の授業について,テキストの関連箇所を読んでおく。 
(実施回/ Week) 2回  (内容/ Contents) 戦後教育史を知る 1 
1945年~1980年代 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配布資料に書き込んだ事項について,テキストの関連箇所を読んでおく。 
(実施回/ Week) 3回  (内容/ Contents) 戦後教育史を知る 2 
1990年~現在 授業時間数の推移, 
学力観の変遷 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配布資料,テキストで戦後教育史の概要を理解しておく。各々の学習指導要領の主旨を理解しておく。 
(実施回/ Week) 4回  (内容/ Contents) 日本の学校図書館利用指導の定義の変遷 
海外の学校図書館利用指導理論の変遷 
探究型学習と情報活用のプロセス      
(授業時間外の学習/ Assignments) 配布資料とテキストで学習指導要領の内容を理解しておく。 
(実施回/ Week) 5回  (内容/ Contents) 学校図書館と司書教諭の役割の変化(海外の事例) 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキストの関連箇所を読み,利用指導の変遷を理解しておく。 
(実施回/ Week) 6回  (内容/ Contents) 学校図書館の支援方法を知る  
直接支援と間接支援 
パスファインダーの意義とその構成,ブックトークの方法, 
教科横断型学習の支援のあり方, 
探究型学習における様々な情報活用のプロセスを知る 
(授業時間外の学習/ Assignments) 講義内容から支援の種類や方法を理解しておく。各々の支援にどのような意義があるかを考えておく。各プロセスでどのような支援・支援ツールが効果的か考えておく。NDC(日本十進分類法)を理解しておく。 
(実施回/ Week) 7回  (内容/ Contents) 支援ツールの作成,支援計画の立案,グラフィック・オーガナイザーの種類と活用:MANDALA SHEET,WEBBING SHEET,課題に関して,グラフィックオーガナイザーを利用し,関連する分野の資料を探す 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) パスファインダーを完成しておく。課題についてグラフィック・オーガナイザーを使いながらブレイン・ストーミングをし,テーマを各自考えておく。 
(実施回/ Week) 8回  (内容/ Contents) 探究型学習に取り組む 1 
グループ学習 
探究型学習の計画の作成,ブレイン・ストーミング,課題設定から情報探索・検索・収集へ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 今までに取り上げた利用指導理論,情報活用のプロセスでの支援方法などを活用しながら,Rubricに沿って,課題設定・情報探索・検索・収集の作業計画を完成しておく。次回視聴する動画の和訳を読んで,動画の内容を理解しておく。 
(実施回/ Week) 9回  (内容/ Contents) 探究型学習に取り組む 2 
発表方法の事例を視聴 
(授業時間外の学習/ Assignments) 見学のための質問事項を考えておく。作品や提出物を完成しておく。質問表を完成し提出。 
(実施回/ Week) 10回  (内容/ Contents) 学校図書館見学:司書教諭の活動,探究学習の実際,学校図書館の資料・設備・備品などを見学  (授業時間外の学習/ Assignments) 見学レポートを完成しておく。 
(実施回/ Week) 11回  (内容/ Contents) 探究型学習の発表のための最終グループ討議 
探究型学習の評価法 Rubricを活用する 
(授業時間外の学習/ Assignments) 発表に際して,不十分な部分を補完しておく。 
(実施回/ Week) 12回  (内容/ Contents) 発表シートの完成 
グループでの提出物の最終確認 
(授業時間外の学習/ Assignments) グループのメンバーと提出物や発表内容の最終確認をしておく。 発表分担分の練習をしておく。 
(実施回/ Week) 13回  (内容/ Contents) 探究型学習の発表 1 
相互評価 
(授業時間外の学習/ Assignments) 評価表を完成しておく。 
(実施回/ Week) 14回  (内容/ Contents) 探究型学習の発表 2 
相互評価 
(授業時間外の学習/ Assignments) 評価表を完成しておく。 
提出物を完成しておく。 
 
(実施回/ Week) 15回  (内容/ Contents) 探究型学習の発表 3 
相互評価と自己評価  
まとめ 
発表の講評,司書教諭の役割と学校図書館の機能 
発表時の作品などの提出 
(授業時間外の学習/ Assignments) 評価表を完成しておく。 
テキスト,配布資料で授業内容を振り返っておく。 

あくまでも授業の予定である。授業の進捗状況によって授業内容が変更されることがある。学校図書館の見学も,見学先の状況によって変更されることがある。7回以降の授業では,グループ作業が主になるので,配布される授業予定表をよく読んでおくこと。テキストを補完するために,資料を配布する。資料はかなりの枚数になるので,40ポケットのクリアファイルを1冊用意し,授業に携行すること。本科目は,学校図書館の司書教諭になるための科目であり,前提として教員免許状取得を目指していて,既に「学校経営と学校図書館」の科目を履修していることが望ましい。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(授業態度,クラス参加,グループ作業の成果等)  20%  出席状況,グループ活動での積極性・協調性重視 
期末試験  40%   
クラスで発表など  20%  課題についての発表内容・態度と司書教諭がおこなう支援への理解度重視。相互評価・自己評価も反映される 
提出物  20%  ワークシートに反映される授業内容の理解度を重視,提出状況 

授業内容を理解することがまず大切である。さらに,グループ発表でその理解がどのように活かされているか,グループで取り組む探究型学習での活動の始終,グループ内での協調性や発言なども評価の対象となる。初回の授業に出席し,授業内容をよく理解し納得した上で履修すること。本科目は,法に定められた資格付与に関わる授業であり,提出物を求めることも多く,安易な履修態度では単位取得はできない。グループ学習が多いこの授業では,同じグループの学生の活動に支障をきたす無断欠席・遅刻などの授業態度を評価の対象として重視する。発表時の相互評価,個人評価なども評価に含まれる。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
26 3.8 57.7 34.6 0.0 3.8 0.0 2.6 *

<テキスト/Textbook>

堀川照代 塩谷京子 編著  『改訂新版 学習指導と学校図書館』1刷  (放送大学教育振興会、2016) 305  ISBN:978-4-595-31650-0  日本放送出版協会(発売) 

 

利用指導理論の変遷など探究学習の支援に役立つ内容が掲載されている。

<参考文献/Reference Book>

今井 福司  『日本占領期の学校図書館-アメリカ学校図書館導入の歴史-』初版 (勉誠出版、2016)329 ISBN:978-4-585-20046-8 本授業でも取り上げるアメリカの学校図書館がどのように日本に取り入れられたかの理解を深められる 
 

<参照URL/URL>

文部科学省/学習指導要領 
新旧の学習指導要領の内容を見ることができる。 
 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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