シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△南北アメリカ地域の課題8 (アメリカ合衆国とシティズンシップ)
Issues in the Americas 8
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  肥後本 芳男

<概要/Course Content Summary>

 本講義は,アメリカ合衆国においていくつかの重要な歴史的局面で引きなおされてきたシティズンシップの定義とその変遷,またシティズンシップを巡る議論が合衆国の政治文化に及ぼしてきた影響について考察する。革命から建国期にかけて新生アメリカ合衆国は,共和主義的なシビック・ヒューマニズムの強い影響のもとで「市民」と「他者(黒人奴隷)」,政体外に居住するとみなされた先住民部族を峻別した。歴史的に見れば,アメリカの市民資格の境界線は絶えず流動的であり,「人種」・エスニシティ・ジェンダーによってしばしば制限されてきたのである。 
 シティズンシップを巡る議論は,多民族国家アメリカを正しく理解する上できわめて重要なトピックの一つといえる。具体的には,そもそも「シティズンシップ」とは何なのか,ギリシアやローマ時代に起源をもつシティズンシップの概念は,西洋史の伝統の中でどのように変容してきたのか。アメリカ合衆国の政治や文化の形成にその議論がどのようにかかわってきたのか,さらに,今日の不透明な国際関係において「グローバル・シティズンシップ」の概念はどの程度有効なのかなど,について本講義を通じて考える機会にしてほしい。 
 授業は演習方式で進める。具体的に言えば,たんなる教員による講義ではなく受講生参加型の授業である。各授業では議論が一方通行にならないように,読書課題や論文を事前に読んできてもらい少人数のディスカッション方式で進めてゆく。現代の政治や思想状況に知的な関心をもつ学生向きの授業である。負荷の少ない気楽な授業ではない。ディスカッションに積極的に参加する意欲的な学生を歓迎したい。

<到達目標/Goals,Aims>

学生は,アメリカ合衆国のみならずグローバルな文脈でシティズンシップを巡る議論を理解できるようになる。 
学生は,シティズンシップの様々な問題について論理的にプレゼンできるようになる。 
学生は,資料や学術書を正確かつ批判的に読み取ることができるようになる。 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Introduction(序論): シティズンシップの思想と理論  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 自由主義的市民権の伝統(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 自由主義的市民権の伝統(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 市民共和主義的市民権の伝統(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 市民共和主義的市民権の伝統(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) アメリカ独立革命とシティズンシップの創造  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Review Session(中間討論)  (授業時間外の学習/ Assignments) 総復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 誰が市民なのか(1)法律上の市民の定義  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 誰が市民なのか(2)ジェンダーとシティズンシップ  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 誰が市民なのか(3)国籍と多重市民権  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 誰が市民なのか(4)EU 市民権の実験  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 現代アメリカにおけるシティズンシップの再編(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 現代アメリカにおけるシティズンシップの再編(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 現代アメリカにおけるシティズンシップの再編(3)  (授業時間外の学習/ Assignments) 読書課題:予習(1時間) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) Conclusion(総括): 21世紀における市民権の課題  (授業時間外の学習/ Assignments) 総復習(2時間) 

9月初旬の段階では,対面の通常授業を予定しているが,状況の変化によりクラス分割や変更もありうる。 
演習方式の授業なので,受講生の学習意欲などに応じて授業進度に若干の遅速が生じることもある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  20%  参加重視の授業なので出席をとる 
小レポート  30%  授業内容に関するレポート 
クラスで発表など  20%  積極的な授業参加を重視する 
提出物  30%  授業及び読書課題に関する最終エッセイ 

授業での学習態度,発表,レポートなどに基づいて客観的かつ厳正な評価を行う。欠席や遅刻の目立つ者は,最終評価の対象から除外する。読書課題は配布教材が主流になるので,授業をしばしば欠席する学生がいれば,大量の教材コピーが無駄になる。貴重な資源の無駄は回避したい。このテーマに知的関心がなければ,時間帯がよいなどの理由で安易に履修登録をしないでほしい。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
15 53.3 20.0 13.3 6.7 6.7 0.0 3.1 *

<テキスト/Textbook>

デレック・ヒーター(田中,関根訳)  『市民権とは何か』 (岩波書店、2012年) 現在増版待ちの状態であるが,中古本で入手可能。当面,授業で適宜プリントを配布予定。 

 

<参考文献/Reference Book>

有賀 貞  『ヒストリカル・ガイド アメリカ』(山川出版、2012年) アメリカ史の知識に乏しい学生向けのハンディな通史。 
 

宮島 喬  『ヨーロッパ市民の誕生-開かれたシティズンシップへ-』(岩波新書、2004年) 今日のヨーロッパ市民権に関する好著。自学自習用にぜひ一読をお勧めする。 
 

ジョン・トーピー(藤川監訳)  『パスポートの発明-監視・シティズンシップ・国家-』(法政大学出版局、2008年) 国家による移民の近代的な管理システムとシティズンシップを論じる有益な書物。 
 

<備考/Remarks>

担当教員への連絡は,基本的に授業終了後に行うこと。それ以外の場合はDUETのメッセージ機能やe-classから連絡を試みること。緊急の連絡等は教員の所属学部事務室にて相談すること。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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