シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△南北アメリカ地域の文化1 (北アメリカ文化の多様性)
Cultures of the Americas 1
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  和泉 真澄

<概要/Course Content Summary>

この講義では,アメリカ合衆国およびカナダの文化の多様性を,それぞれの国の社会形成との関連性のなかで概観する。アメリカ合衆国は,政治・軍事・経済面で世界の国々に大きな影響を与えるだけでなく,「民主主義」「自由市場」「機会均等」といった価値観を世界に向けて発信し,文化的にもグローバル世界に多大な影響力をもつ。合衆国の文化的影響は,他国の政府や社会のエリート層はもちろん,テレビ番組・映画・音楽・ファッション・スポーツなどを通じて,一般大衆にも深く浸透し,現在ではこれらの文化表象が,ある程度の普遍性さえ帯びつつある。一方,北の隣国カナダは,アメリカのアンチテーゼとして生まれ,文化・価値観の面でも「反革命」「モザイク」「多文化主義」「福祉国家」など,独自のコンセプトを発信してきた。この授業では,北アメリカ文化を人種・ジェンダー・階級・セクシュアリティなどの観点から再考察し,文化という鏡を通じて,アメリカ・カナダの社会や歴史からその多様性をより深く理解することを目指す。授業では,文化を分析するための理論を縦軸に,北アメリカの多様な文化実践の例とそれを生み出した社会的・歴史的構造との関連を横軸に,講義を行う。多様性の問題は,人種・民族のみならず,ジェンダー,セクシュアリティ,そして格差,思想など,個人の尊厳をめぐるあらゆる人権の問題と結びついており,最終的には社会正義の問題と直結する。授業を通じて,北アメリカの社会や歴史に関する知識を増やすと同時に,文化の批判的分析方法を身につけ,グローバル社会のなかで変化する日本の位置と自分の身の回りでおきている問題の関係性についても考えるヒントとしてもらいたい。

<到達目標/Goals,Aims>

現代北アメリカのさまざまな政治・文化現象についてより深いレベルから考察できるようになる。 
北アメリカ社会の政治・社会的構造と文化現象との関連性について歴史的に理解する。 
文化の研究・分析に関する理論的な基礎を身につける。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Introduction & Orientation,文化とは?   (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 新大陸と植民地:多文化・多言語社会の原点  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「自由」か「土地」か?:革命・反革命のレトリックと現実  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「黒人」の創造:人種化社会の仕組み  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習, 小テスト(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 大衆文化における人種/ジェンダー・イメージ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 人種的平等を求める戦いにおける多様な戦略  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) アイデンティティ・ポリティクス,中間試験  (授業時間外の学習/ Assignments) 中間試験のための復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「白人」の創造:ヨーロッパ系移民の人種化と労働  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 西部への拡張とアジア系移民:「黄禍」と西部の産業・労働  
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 国境と移民労働:ヒスパニック/ラティーノ/チカーノ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) アメリカの人種と音楽(1):人口移動と新しい文化の創造  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) アメリカの人種と音楽(2):社会運動と文化運動の関連性  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) アメリカの人種と音楽(3):エスニック文化とアイデンティティ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 文化のポリティクス(1):マルティカルチュラリズムとナショナリズム  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習(1時間) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 文化のポリティクス(2):グローバリゼーションとディアスポラ  (授業時間外の学習/ Assignments) 期末レポートの準備(1時間) 

受講者の関心,進度,その他の要因によって,講義スケジュールは変わることがある。講義中は私語厳禁を徹底する。完全静寂でなければ講義を行わないので,他の学生の学習環境の保全,および講義時間確保のために,私語は絶対に慎むこと。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

宿題・小レポート・小テスト  30%  小レポート,宿題,小テストなど,何らかの方法で毎回出席の確認を行う。 
中間試験  20%  前半の講義の内容を総括する試験を行う。詳細は授業時に指示する。 
期末レポート試験・論文  50%  各自トピックを選び,講義の内容と関連づけた分析を記述すること。詳細は授業時に指示する。 

小テストおよび中間試験には,講義内容の他,講義時に提示した課題も範囲に含まれる。中間試験は講義プリントならびに手書きのノートを持ち込み可とする。期末レポートでは,各自トピックを自由に選び,講義で習った文化分析の理論を用いて,アメリカ文化研究の視点から分析する。評価のポイントは,選択した文化現象をいかに北アメリカの歴史および社会構造と関連づけて分析できるかにある。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
57 36.8 42.1 10.5 7.0 3.5 0.0 3.0

<参考文献/Reference Book>

佐々木 隆監修,和泉 真澄・趙 無名編著  『アメリカ研究の理論と実践-多民族社会における文化のポリティクス-』(世界思想社、2007)アメリカ地域文化研究の変遷を説明する「理論編」と,具体的な研究例を掲載する「実践編」からなる,アメリカン・スタティーズの教科書。 
 

貴堂嘉之・兼子歩編  『「ヘイト」の時代のアメリカ史-人種・民族・国籍を考える-』(彩流社、2017)
 

木村和男  『カナダ史(新版世界各国史)』(山川出版、1999)
 

渡辺靖編,和泉真澄,ほか著  『現代アメリカ-日米比較のなかで読む-』(新曜社、2014)
 

日本カナダ学会編  『はじめて出会うカナダ』(有斐閣、2009)
 

亀井 俊介・鈴木 健次監修  『史料で読むアメリカ文化史(全五巻)』(東京大学出版会、2006)
 

<備考/Remarks>

担当教員への連絡は,基本的に授業直後の時間帯に行うこと。それ以外の場合はDUETのメッセージ機能やe-classから連絡を試みること。それでも連絡が取れない場合は教員の所属学部事務室にて相談すること。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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