シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


12201024 

△グローバル・イシュー4 (異文化理解と紛争の抑止)
Global Issues 4
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  森山 央朗

<概要/Course Content Summary>

 昨今のニュースの国際欄には,イスラームを掲げる過激な武装勢力が引き起こした(とされる)事件がしばしば掲載されます。近年の顕著な事例としては,シリア内戦(2011年−)とイラクの不安定の中で急速に勢力を伸ばし,アメリカやロシアの「テロとの戦い」によって鎮圧されつつある(とされる)「イスラーム国(IS)」があげられます。 
 「イスラーム過激派」の「テロ」が報道されるたびに,「イスラーム=テロ」という偏見が助長され,その一方で,そうした偏見を戒め,「イスラームは,本来,平和的な宗教」との解説もなされてきました。確かに,イスラームの教義には平和と秩序を強調する部分もあり,過激な暴力の行使に賛同するムスリムは至極少数です。それなのになぜ,イスラームを掲げて過激な暴力を行使する集団が,ムスリムが住民の多数派を占める中東・アフリカ地域を中心に,世界の各地で活動を繰り広げているのでしょうか。 
 この講義では,イスラームの名の下に過激な武装闘争や「近代的価値」に反する極端な行為を正当化し,「人道主義」と「国際秩序」を脅かす「テロリスト」と見なされながらも,中東・アフリカ地域を中心に世界の各地で活動してきた「過激イスラーム主義」武装集団の中から代表的な組織を選択して,それらの概要を整理・紹介します。同時に,「過激イスラーム主義」武装集団相互の連関と対立,思想的系譜,成立背景と活動目標の相違などを解説し,「過激イスラーム主義」や「テロリスト」というレッテルの下に一括りにされがちな諸集団・諸勢力の多様性を明らかにします。これらの作業を通して,「過激イスラーム主義」武装諸勢力を産み出し,それらを支えている政治的・社会的構造とその矛盾を考察していきます。

<到達目標/Goals,Aims>

 「過激イスラーム主義」勢力が引き起こす暴力事件の概要と背景に関する正確な知識を身につけ,「イスラーム=テロ」という偏見を払拭するとともに,イスラームを掲げた武装闘争が広がっている理由と,そのことが現代社会に投げかける問題について,主体的に考える態度を身につける。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回目  (内容/ Contents) 「過激イスラーム主義」武装勢力の概況:「テロ」と「抵抗」  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 2回目  (内容/ Contents) 「過激イスラーム主義」武装勢力の系譜  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 3回目  (内容/ Contents) 「イスラーム国」とイラク  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 4回目  (内容/ Contents) 「イスラーム国」とシリア  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 5回目  (内容/ Contents) 「過激イスラーム主義」の二大ブランド:「イスラーム国」と「アル=カーイダ」  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 6回目  (内容/ Contents) 9.11の衝撃と「テロとの戦い」  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 7回目  (内容/ Contents) 南アジアのイスラーム主義運動とターリバーン  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 8回目  (内容/ Contents) 「ワッハーブ派」とサウジアラビア  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 9回目  (内容/ Contents) サイイド・クトゥブとジハード団:元祖「過激イスラーム主義」武装集団  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 10回目  (内容/ Contents) アフガニスタン:内戦と「ジハード(聖戦)」  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 11回目  (内容/ Contents) イラン・イスラーム革命:親米王国から反米イスラーム共和国へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 12回目  (内容/ Contents) ヒズブ・アッラー(ヒズボラ):宗派主義と対イスラエル武装抵抗運動  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 13回目  (内容/ Contents) ハマース:非対称紛争と「イスラーム的抵抗運動」  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 14回目  (内容/ Contents) 「過激イスラーム主義」武装勢力と「国際社会」  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習(1時間) 
(実施回/ Week) 15回目  (内容/ Contents) 総括:「過激イスラーム主義」武装勢力が突きつける問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の整理と復習,および全体のまとめ(3時間) 

 事態の進展や受講生の理解度に応じて,開講後,受講生と相談の上で授業計画を変更する可能性があります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  50%  遅刻をせずにきちんと出席してきたか。授業内容に対するコメントや質問を評価する。 
小テスト  50%  授業の内容を正確に理解できたか。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
31 16.1 32.3 38.7 3.2 9.7 0.0 2.4 *

<参考文献/Reference Book>

保坂修司  『ジハード主義-アルカイダからイスラーム国へ-』(岩波書店、2017)ISBN:978-4-00-029206-1 
 

末近浩太  『イスラーム主義-もう一つの近代を構想する-』(岩波書店、2018)ISBN:978-4004316985 
 

保坂修司  『新版 オサマ・ビンラディンの生涯と聖戦』(朝日新聞社、2011)ISBN:978-4-02-259980-3 
 

青山弘之編  『「アラブの心臓」に何がおきているのか-現代中東の実像-』(岩波書店、2014)ISBN:978-4-00-022084-2 
 

<備考/Remarks>

担当教員への連絡は,基本的に授業直後の時間帯に行うこと。それ以外の場合はDUETのメッセージ機能やe-classから連絡を試みること。それでも連絡が取れない場合は教員の所属学部事務室にて相談すること。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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