2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

生物物理学は生命現象を物理的な基盤をもとに理解することを目指す学問分野である。この授業では，担当教員は脳神経科学と関連する生物物理学の重要項目について解説する。大学院専門科目としてかなりの学習量が要求され，基礎的な物理学，数学に関してはある程度の基礎知識を前提とする。　
　
（オムニバス方式／全15回）　
　
　
（坂場武史／5回）神経細胞内，神経細胞間の電気信号のやりとりに関しての英文の文献を読む。具体的には，細胞内レベルで樹状突起，細胞体，軸索において電気信号がどのように統合されているか，あるいはシナプス機能の電気生理学的解析，イメージングによる解析がどのようにおこなわれてきたかに関する文献を受講者の興味を考慮しながら取り上げる。高校理系程度の物理，数学が理解できることが望ましく，必要な場合は学生が自学することが望ましい。　
　
（櫻井芳雄／5回）神経細胞は電気信号を発生することで他の神経細胞に信号を伝達する。そして神経回路内で生じる電気信号のパターンにより，特定の情報を符号化し表現している。この授業では，そのような神経情報を測定し解析する方法について，基本的な技術も含め，わかりやすく解説する。またその方法を活用した具体的な研究例，特に記憶などの高次な神経情報を解析した研究や，神経情報で外部の機器を直接操作するブレイン－マシン・インタフェース（BMI）の研究についても解説する。　
　
　
（髙橋晋／5回）　複数の神経細胞が発する電気信号を集団として計測すると，リズムを持った脳波を観察することができ，特定の脳波リズムと認知・行動に深い関連が見出されている。この授業では，そのような脳波リズムを測定・解析する方法や，脳波リズムに介入し操作する方法について，文献を読みながら解説する。更に，①脳波リズムと神経細胞活動の関係性，②脳波リズムと認知・行動との相関関係，③脳波リズムと神経変性疾患との因果関係についても解説する。　
　
Biophysics is the scientific approach / research area to address biological questions in the framework of physics. Mechanistic insights can be obtained from this approach. In this lecture series, 3 biophysical topics in the neuroscience field will be presented. The first part deals with biophysical analysis of synaptic transmission. The second one deals with measurements and analysis of neural information processing in a single cell level and neural ensembles in relation to neural coding, with particular focus on higher brain function and brain machine interface. The third one deals with electroencephalography, with particular attention to correlation between neural activity and electroencephalography, its relation to cognition and behavior as well as its relationship to neurological diseases. One needs basic knowledge of mathematics and physics and substantial amounts of work will be required.

＜到達目標/Goals,Aims＞

受講学生が生物物理学の基礎，古典的な項目について理解すること，基礎知識を組み合わせて生物現象を理解する態度，思考力を身につけることができるようになる。　
　
Participants at least understand biophysics at the basic level and can solve biological problems in the framework of biophysical thinking.

＜授業計画/Schedule＞

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞

毎回の授業における学生の発表を評価の中心とするが，受講者の理解度に応じてレポート，試験を課す場合がある。　
One has to attend classes activily. Reports and exams may be introduced if required.

＜参考文献/Reference Book＞

＜備考/Remarks＞

上記計画は予定であり，変更することがある。