シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


31630038 

△破壊力学
Fracture Mechanics
2単位/Unit  秋学期/Fall  京田辺/Kyotanabe  講義/Lecture

  大窪 和也

<概要/Course Content Summary>

 破壊力学は,材料中に「き裂(欠陥)」があることを想定し,その進展を支配する力学パラメータを用いて材料が破壊する条件を評価する学問である。すなわち,材料中でのき裂(欠陥)の存在を仮定し,たとえそのき裂(欠陥)があっても,き裂が進展または成長しない設計指標を得る学問である。 
 ここ今,き裂先端での応力場を考える.これを連続体弾性力学に基いて解析すると,特異,すなわちいずれの応力も無限大となる。これでは一旦き裂が生じた構造物の(残存)強度を,(応力の大きさを材料の破壊の指標と考える)材料力学や機械設計学で評価することはできない。そこで破壊力学では,応力とは異なる特有の「破壊力学パラメータ」を導入する事により,材料の破壊現象を考える。これにより,もしもの破壊に対して構造物に信頼性を与える設計手法を実現する考え方が破壊力学である。構造物の安全設計や信頼設計を行うには,従来の構造設計法に加え,破壊力学的手法を用いたこのような構造の信頼性設計手法が欠かせない。 
 本講義では破壊力学の理論の習得を目指すと共に,実際問題への応用について実例を示しながら解説する。また簡単な実験も併せて行い,破壊力学の理解を深める。

<到達目標/Goals,Aims>

 破壊力学の知見を駆使しながら,き裂や欠陥の存在を前提として,構造物や部材の設計を行える技術を修得できる能力を習得する事を目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 破壊力学と材料力学の違い:“破壊”とは何か,信頼性を想定した構造設計に対する基本的な考え方,き裂のある材料の応力状態の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 線形破壊力学の基礎としての弾性力学(1):応力分布のある場での応力の釣り合い条件,ひずみの適合方程式の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 線形破壊力学の基礎としての弾性力学(2):応力関数と境界値問題の解法を習得する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 応力拡大係数を指標とした材料強度設計,き裂を取り巻くの変形様式の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) エネルギ解放率:ひずみエネルギの変化とき裂の仮想進展の原理を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) き裂先端近傍の応力場の変化と応力拡大係数:エネルギ解放率と応力拡大係数との関係の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) エネルギ解放率の定式化(一定反力下,一定変位下,ポテンシャル変化の場合)の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) エネルギ解放率の実用的な測定方法:DCB試験およびコンプライアンス法の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) き裂の進展力と抵抗力:Griffithの理論(2次元および3次元モデル)の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 実験:破壊じん性値(臨界応力拡大係数および臨界エネルギ解放率)の測定.  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 非線形破壊力学の基礎(1):小規模降伏,J積分の理論を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 非線形破壊力学の基礎(2):J積分の経路(径路)不変性,簡単なJ積分の応用,き裂開口変位(COD)の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 疲労破壊と環境破壊:き裂伝播とき裂伝播速度:疲労き裂進展速度―応力拡大係数関係から,材料の耐久寿命の導出手法を習得する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 期末評価  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 総括  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

小レポート  20%  授業の理解を助ける目的で,各回の内容に関するレポートをほぼ毎回課す。 
中間レポート  20%  各自が行う破壊力学に関する小実験のレポート 
期末評価  60%  破壊力学特有の概念やそれらの物理的意味の理解を問う評価を行う。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A+ A B+ B C+ C F
10 20.0 20.0 20.0 20.0 0.0 0.0 20.0 0.0 3.0

<テキスト/Textbook>

小林英男  『破壊力学』 (共立出版、1993) 共立出版  ISBN:4-320-08100-5 

 

<参考文献/Reference Book>

鈴木秀人  『よくわかる破壊力学』(オーム社、2000)ISBN:4-274-13201-3 プリント配布 
 

 

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