シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


31630002 

△構造設計特論
Advanced Lectures in Structural Engineering
2単位/Unit  秋学期/Fall  京田辺/Kyotanabe  講義/Lecture

  大窪 和也

<概要/Course Content Summary>

 CAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれる技術が実用化されて,25年近くが経つ。当初CAEの主流はCADであり,主には設計図面をディジタルデータ化する事が主であった。しかしその後,幾つかの技術が取り込まれ,現在CAEは多くの技術場面で広く普及している。その中でもFEM(有限要素法)は高度な設計技術と多彩な生産技術を融合する構造解析ツールであり,機械工学を応用する研究開発の分野で欠く事のできない基礎技術である。コンピュータの能力が日々向上する現在,このFEMはブラックボックス化され,ある程度の操作知識を有する技術者ならば誰もが簡単に利用できる環境にある。しかしFEMの操作自体が簡単化されればされるほど,安易に利用する事による致命的な落とし穴は数多く存在し,これを利用する技術者には基礎理論の理解とその応用能力の所持が求められる。例えば,簡単な材料力学の公式を利用するだけでは,大きく変形する塑性材料やゴムなどの超弾性材料の変形量が求められない事からも,この事は理解できる。 
 本講義の目的は,高度な構造設計を行う際に利用されるFEMの理論を理解しながら,即応的な構造設計を行える知見と技術を修得する事とする。講義では,FEMが利用する仮定やその限界を理解し,構造設計の場で自らの力学知識を駆使しながら最も合理的な構造解析を実行できる能力を持つ事を目標とする。 
 なお本講義では,机上講義と併せて3次元CADシステムを利用した汎用の構造解析アプリケーションソフト(本学所有)を使用した演習を行う。3次元CAD(ソリッドモデラ)ならびに構造解析に関する知識を有して登録することが望ましい。

<到達目標/Goals,Aims>

 高度な構造設計を行う際に利用されるFEMの理論を理解しながら,即応的な構造設計技術を修得できる。また,FEMが利用する仮定やその限界を理解し,構造設計の場で自らの力学知識を駆使しながら最も合理的な構造解析を実行できる能力を獲得する事を目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 構造設計または構造解析に用いる3次元CAD(ソリッドモデラ)によるモデリング手法を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 最も簡単な手法による弾性線形3次元有限要素解析の手法を修得する。解析結果の力学的な意味を理解し,合理的な結果の提示を示す技術を修得する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) FEM結果の特定部の抽出方法や判読方法,Export手法,互換ファイルの利用方法などを理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) プリプロセスにおけるFEMモデルの調整方法や,その違いが及ぼす解析結果の違いの意味を理解する。弾性線形シェル要素をモデリングする2次元有限要素解析の手法を修得する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 幾何学的非線形解析および弾塑性解析の手法,およびそれらの意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 構造設計または構造解析のための,CAEの位置付けとFEMの利点,その応用分野,解析種別などの知識を得たうえで,有限要素分割による連続弾性体のモデル化の理論的意味を理解する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) FEMの中に占める全体連立方程式の組み立ての概念と,それに必要な力学的境界条件の意味を理解する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) FEMの構成要素である要素剛性行列の根拠の概念(仮想仕事の原理)の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 形状関数の違いを考え,構造体のモデル化(プリプロセス)の概念とその種別を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 非線形(多ステップ)解析の構成と,その計算精度の設定方法の種別とその意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 非線形(多ステップ)解析に用いる大変形ひずみ,および大変形場での応力の定義を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 非線形(多ステップ)解析に用いる大変形ひずみと,収束判別法,ラグランジェ手法の意味を理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 期末評価 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) CAE統合ツールの構造概念と,有限要素法解析を行う工程(作業)の流れ(有限要素法ツールの構成)の意味を振り返り,その全体構成を理解する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 総括  (授業時間外の学習/ Assignments) 関連事項の予習・復習  

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

小レポート  20%  ほぼ毎回,机上計算またはアプリケーションソフトを用いて作成するレポートの提出が求められる。講義内容を発展させ,構造設計上の問題を解析する工夫を机上で誘導する内容とする. 
期末レポート・論文  40%  第12回目頃に最終課題が提示され,指定する期日までにその提出が求められる。アプリケーションソフトを用いて構造設計に関する複雑問題に取り組む。 
期末評価  40%  最終講義回中に,講義の内容の理解度を問う評価を行う. 

本科目の目標到達レベル,すなわちFEMが利用する仮定やその限界を理解し,構造設計の場に応用できる能力を有したと示す成果を修めた場合には単位が認定される。ここで言う成果とは,講義期間中に適時に行う上記の小レポート(最終課題レポート),および中間レポート,期末レポート(最終レポート)であり,それらを総合して評価がなされる。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A+ A B+ B C+ C F
10 10.0 40.0 10.0 0.0 20.0 10.0 10.0 0.0 3.1

<テキスト/Textbook>

適時,プリントを配布する. 

 

<参考文献/Reference Book>

(社)日本材料学会  『初心者のための有限要素法』
 

(社)日本材料学会  『続・初心者のための有限要素法』
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
Copyright(C) 2020 Doshisha University All Rights Reserved. 無断転載を禁止します。