シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


11502062 

△環境生理学
Environmental Physiology
2単位/Unit  秋学期/Fall  京田辺/Kyotanabe  講義/Lecture

  福岡 義之

<概要/Course Content Summary>

環境生理学は,環境特異的あるいは運動特異的な生理反応や身体トレーニングに対する生体の適応過程に関する事柄に焦点を絞って体系的にまとめられた学問である。本講義は,酸素濃度の変化(低酸素・高酸素),環境温の変化(高温・低温),圧力の変化(無重力・高加速度),生体内リズム(サ―カディアン),人類の進化と身体トレーニングに対する生理的適応(physiological adaptation)の知識を習得し,環境生理学的知見を体系的に学習し,トレーニング科学への実践につなげていく。生理学では安静状態を基準にしているが,環境生理学では生体への種々なストレスによって隠されていた生理機能をクローズアップさせ,その応用として高地トレーニングや疾患者のリハビリテーションへと展開する。

<到達目標/Goals,Aims>

環境生理学は,生理学を基盤として発展した応用的学問である。種々の環境や運動ストレスに対する一過性な生理的応答,それらに対する生体の適応過程に関する事柄に焦点を絞って体系的にまとめられた学問として位置づけられている。主にヒトを対象とした学問であり,様々な観点から「ヒトを知る」ことが重要である。環境生理学では,人体の構造の働き―生命現象―を学び,これらのストレスに対して生体の恒常性(ホメオスタシス)を保つための身体諸器官の「はたらき」や「しくみ」を理解することで,生命体としてのヒトの理解を深めることが出来るようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1  (内容/ Contents) 体温調節の生理(熱の放散と産生)  (授業時間外の学習/ Assignments) 体温調節の熱平衡について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 2  (内容/ Contents) 体温調節の内分泌性・神経性機序  (授業時間外の学習/ Assignments) 体温調節の中枢神経性調節について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 3  (内容/ Contents) 高温環境の生理と栄養(発汗,動静脈吻合,暑熱適応,体液調節)  (授業時間外の学習/ Assignments) 高温環境での体液調節についてレニン-アンキオテンシン-アルデステロン系について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 4  (内容/ Contents) 低温環境の生理と栄養(脱共役蛋白質,熱産生,褐色脂肪細胞)  (授業時間外の学習/ Assignments) UCPを中心にした熱産生について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 5  (内容/ Contents) 身体トレーニングと暑熱環境適応(体温調節,熱中症,順化)  (授業時間外の学習/ Assignments) 暑熱環境下での順化適応について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 6  (内容/ Contents) 低気圧環境の生理と栄養(低酸素,酸素解離曲線,高地トレーニング)  (授業時間外の学習/ Assignments) 高地住人が5000mでも滞在できる仕組みを考える。予習2時間,復習2時間 
(実施回/ Week) 7  (内容/ Contents) 高地順化と運動機能(血球の増殖とパフォーマンス向上)  (授業時間外の学習/ Assignments) 高地での血液性状の変化と運動能力との間になぜ関連性があるのか予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 8  (内容/ Contents) 高圧(潜水)環境の生理と栄養(潜水性徐脈,窒素酔,酸素中毒,二酸化炭素中毒,飽和潜水)  (授業時間外の学習/ Assignments) 潜水時の障害について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 9  (内容/ Contents) 身体トレーニングと圧環境適応(低圧低酸素,高圧(潜水),順化)  (授業時間外の学習/ Assignments) 圧環境とトレーニングとの間の関係について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 宇宙環境の生理的影響とその対策と栄養(微小重力,体液,圧反射,平衡機能)  (授業時間外の学習/ Assignments) 無重力での体液,骨代謝,感覚系について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 高加速度の生理(G耐性,ブラックアウト)  (授業時間外の学習/ Assignments) 高加速に伴う半器官の失調と自律神経系とのかかわりについて予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) ストレスと免疫機能と栄養(NK細胞,ACTH,コルチゾール,ノルアドレナリン,セロトニン)  (授業時間外の学習/ Assignments) 免疫系からみたストレス耐性について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 生体のサーカディアンリズム(クロック遺伝子(BMAL),インシュリン,体温,消化酵素)  (授業時間外の学習/ Assignments) サーカディアンリズムのクロックについて熱産生や代謝レベルの変化について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 身体トレーニングの実際(乳酸系パワー,非乳酸系パワー,有酸素系パワー)  (授業時間外の学習/ Assignments) エネルギー代謝供給系と種目特異性について予習2時間,復習2時間する。 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 障害者の神経機能とリハビリテーション(ゲストスピーカー)  (授業時間外の学習/ Assignments) ニューロリハビリテーションの最新知見について予習2時間,復習2時間する。 

受講生の人数によって受講内容を変更することがある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  15%   
小レポート  75%  3~4回のレポート提出 
期末レポート試験・論文  10%   

<テキスト/Textbook>

彼末一之 他  『やさしい生理学』7版  (南江堂、2017) 環境生理学に特化した分かりやすいテキストがないため,1学年使用時の生理学テキストを使用する。 

 

新たなテキストが見つかり次第紹介する。

<参考文献/Reference Book>

本間研一 彼末一之   『環境生理学』(北海道大学出版会、2007)環境生理学全般のテキスト 
 

入来正射  『体温調節のしくみ』(文光堂、1995)温熱生理学を抜粋した体温調節のテキスト 
 

Stephen S. Cheung   『Advanced Environmental Exercise Physiology』(Human Kinetics、2009)環境生理学を中心にした応用生理学全般 
 

二宮石能 他   『スタンダード生理学』(文光堂、2007)医学部学生を対象にした生理学全般 
 

 

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