シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


11433104 

△特別講義A
Special Lecture A
2単位/Unit  秋学期/Fall  京田辺/Kyotanabe  講義/Lecture

  宮澤 淳夫

<概要/Course Content Summary>

「電子顕微鏡法による構造生理学研究」 
生命とは水と脂質で区分けされた「環境」において,タンパク質によって駆動される化学反応の連続であると考えることができる。このような生命の基本的なしくみを理解するための1つのアプローチとして,タンパク質の詳細な立体構造と生理的な機能を関連付けて研究する構造生理学がある。本講義では,X線結晶構造解析,核磁気共鳴(NMR),中性子線結晶構造解析とならび,タンパク質の構造解析手法の1つであるクライオ電子顕微鏡法を中心に学習する。これまで電子顕微鏡法は,細胞・組織の二次元的な微細構造の観察から大きく発展し,タンパク質などの生体分子から組織レベルの三次元的な構造解析が可能となり,生体構造に基づいた生理学的な機能を解明できるようになってきた。私たちの「いのち」のみなもとである水と,生体を構成するタンパク質,脂質,核酸などについての理解を深めると共に,電子顕微鏡法の医療・創薬を含めた生命科学や,金属・ソフトマテリアルなどの材料科学など,様々な分野への展開について考えを深めていきたい。

クライオ透過型電子顕微鏡

<到達目標/Goals,Aims>

1.電子顕微鏡法による分子解析手法について理解できるようになる。 
2.生理機能の解明を目指したタンパク質の構造解析について理解できるようになる。 
3.生命構造科学が果たす社会的意義について正しい知識に基づいた議論ができるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 今後の授業計画と基本的な知識の確認  (授業時間外の学習/ Assignments) 構造学と生理学ついての予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 生体の形と大きさについての基礎知識  (授業時間外の学習/ Assignments) 生体の形と大きさについての予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 生体分子の様々な構造解析手法  (授業時間外の学習/ Assignments) 様々な構造解析手法についての予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 電子顕微鏡観察のための試料調製法  (授業時間外の学習/ Assignments) 試料調製法についての予習(2時間),復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) クライオ電子顕微鏡法による分子構造解析 
アミノ酸の基礎知識(1) 
(授業時間外の学習/ Assignments) クライオ電子顕微鏡法についての予習(2時間),アミノ酸の基礎知識(1)の復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 原子レベルのタンパク質解析 
アミノ酸の基礎知識(2) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 原子レベルのタンパク質解析の予習(2時間),アミノ酸の基礎知識(2)の復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 組織・細胞レベルの解析 
アミノ酸の基礎知識(3) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 組織・細胞レベルの解析の予習(2時間),アミノ酸の基礎知識(3)の復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 試料調製法:化学固定 
アミノ酸の基礎知識(4) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 化学固定についての予習(2時間),アミノ酸の基礎知識(4)の復習(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 試料調製法:電子染色 
アミノ酸の基礎知識(5) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 電子染色についての予習(2時間),アミノ酸の基礎知識(5)の復習(2時間) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 水の性質と役割 
授業内評価:アミノ酸の基礎知識 
(授業時間外の学習/ Assignments) 水の性質の予習(2時間),アミノ酸について正しい知識の確認(2時間) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 生命を支える分子:タンパク質の基本構造 
アミノ酸の基礎知識についてのフィードバック 
(授業時間外の学習/ Assignments) タンパク質の基本構造の予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) タンパク質の構造と機能:酵素タンパク質,モータータンパク質  (授業時間外の学習/ Assignments) 酵素タンパク質,モータータンパク質の予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) タンパク質の構造と機能:膜タンパク質(受容体,イオンチャネル,ポンプ,トランスポーター)  (授業時間外の学習/ Assignments) 膜タンパク質の予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) タンパク質の構造と機能:構造タンパク質(アクチン,中間径フィラメント,微小管)  (授業時間外の学習/ Assignments) 構造タンパク質について予習(2時間)・復習(2時間) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 電子顕微鏡法と生体分子解析についてのまとめ 
授業内評価:クライオ電子顕微鏡法による分子解析に関する基礎知識 
(授業時間外の学習/ Assignments) 電子顕微鏡法による分子解析の予習(2時間),基礎的なちしきの確認と復習(2時間) 

一人ひとりの生命への興味をもとに,自発的に学習する姿勢を大事にしたいと考えている。そこで,受講者の生命科学や電子顕微鏡法に対する知識や理解度を図り,受講者と対話しながら講義を進めるが,受講者のレベルに適応するため場合によっては授業内容を変更するなど,受講者が自らすすんで参加できるように弾力的な授業展開を考えていきたい。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

授業内評価:アミノ酸の基礎知識  30%  タンパク質を構成する20種のアミノ酸についての知識を記述試験にて評価する。翌週以降の講義にて,知識の確認のためのフィードバックを行う。 
授業内評価:電子顕微鏡法による分子解析の基礎知識  70%  クライオ電子顕微鏡法による分子解析に関する理解度を記述試験にて判定する。授業講評にてフィードバックを行う。 

我々の身体を構成する生体高分子(水,タンパク質,脂質,核酸など)の構造と機能,ならびにクライオ電子顕微鏡法による分子解析に関する基礎的事項の習熟度が,評価のポイントとなる。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
63 31.7 28.6 27.0 11.1 1.6 0.0 2.8

<参考文献/Reference Book>

藤本豊士,山本章嗣  『電子顕微鏡で読み解く生命のなぞ-ナノワールドに迫るパワフル技術入門-』第1版 (秀潤社、2008)ISBN:978-4879623751 電子顕微鏡法による生体分子,生体構造の解析についての総説集 
 

藤 博幸  『タンパク質の立体構造入門-基礎から構造バイオインフォマティクスへ-』(講談社、2010)ISBN:978-4-06-153881-8 タンパク質の構造について,情報学,理論,計算の視点から解析している教科書 
 

日本顕微鏡学会  『電顕入門ガイドブック』改訂版 (国際文献印刷社、2011)ISBN:978-4-902590-16-6 電子顕微鏡法の入門書として,全領域をコンパクトにまとめたテキスト 
 

E.J.Wood,C.A.Smith, W.R.Pickering 著林 利彦,水野一乘 訳  『生命の化学と分子生物学』第1版 (東京化学同人、1999)ISBN:978-4-8079-0510-2 高分子,膜,代謝,情報を統合的に記述し,生命の統一性の理解に向けた良書 
 

生命について学ぶには,生命機能を担うタンパク質,ならびにタンパク質を構成するアミノ酸についての知識が基礎となる。これに加えて,タンパク質の構造解析に必要な物理的・化学的な研究開発技術が要求される。

<備考/Remarks>

授業内容に関連する様々な事項を,スライドを見て,講義を聞いて,覚える授業を行う。 
連絡先メールアドレス:atsuo@sci.u-hyogo.ac.jp(兵庫県立大学大学院生命理学研究科) 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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