シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


11433001-002 

△生命医科学概論-2
Introduction to Life and Medical Sciences-2
2単位/Unit  秋学期/Fall  京田辺/Kyotanabe  講義/Lecture

野口 範子 西川 喜代孝 舟本 聡 宮坂 知宏
市川 寛 小林 聡 齋藤 直人 髙橋 美帆
米井 嘉一 浦野 泰臣 池川 雅哉 斎藤 芳郎
祝迫 惠子 西川 恵三

<概要/Course Content Summary>

本講義は大学に入学後のファーストイヤーセミナーとして,生命医科学部の1年生が,将来生命医科学に携わる者として求められる,科学的真理の探求のみならず,社会の倫理評価を理解する能力の重要性を学ぶ科目として設置している。科目担当者には臨床医がおり,健康・病気とは何か,病気と人の関りと医学の歴史,医師患者関係の変遷とチーム医療,生殖医療の発達とジレンマ,死生観の変遷と終末期医療,インフォームドコンセント・自己決定と安楽死,移植医療と脳死問題,遺伝子診断と遺伝カウンセリング,先端医療技術と医療経済・健康保険制度,触法精神障害者と医・法曹関係などの問題に関して概説する。毎回学問修得に向けた動機付けとなる講義が行われるが,初回と2回目において,研究倫理を含む科学コミュニケーションの重要性の講義およびレポートや論文の書方など実践的な指導が行われる。また,その他講義においても,生命倫理や研究不正防止,個人情報保護や関連法規に関する講義を行う。本科目においては,障がいのある学生への配慮がなされている。

<到達目標/Goals,Aims>

科学的真理の探求のみならず,社会の倫理評価を理解し,論点を整理した上で自らの問題として提起し,その解決に向けて考察できるようになる。また,生命医科学部が取り扱う学問領域の概要・広がりを理解し,在学中の系統的な学習計画を立てられるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「酸化ストレスと生命医科学と研究倫理」 ヒトを含め,地球上の生物は酸素生命を維持することはできない。その一方で,酸化傷害による老化促進や病気などと戦わなくてはならない。進化の過程において生物が構築してきた酸素傷害に対する防御機構について紹介し,医学的観点から議論をすすめていく。講義の後半では研究倫理や科学コミュニケーションの重要性について講義を行う(野口範子)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ガンについて学ぶ。化学療法をはじめとするガン治療技術の進歩とそれによる生存率の変化ついて学習する。レポートや論文の書方,文献の調べ方など具体的な例を示しながら講義する(小林聡)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「ターミナルケアと人権」 癌の末期患者を例に挙げ,全人的医療の延長線上にあるターミナルケアの必要性を概略する。さらに尊厳死と安楽死の相違点,医学の場における,“死の臨床”や“医の倫理”をテーマにした教育の問題点等について述べる予定である。(市川寛)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 老化を促進する危険因子としての糖化ストレスについて学ぶ。糖化ストレスが発生する機序文は何か,どのような疾病のリスクとなるか,糖化ストレス対策として何があるのか,経済波及効果はどうか,について最新の情報を提供する。若年者の段階から糖化ストレス対策を実践することは重要である。(米井嘉一)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「体を作る元素と恒常性」我々の体は,様々な元素から構成されているが,中には全体の1%にも満たない元素が,全体の恒常性に大きな影響を及ぼす。セレンという必須微量元素の生理作用から,体に備わっている恒常性の維持機構について学び,その破綻と疾患について概説する。(斎藤芳郎)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「コレステロールと神経変性疾患」コレステロールは細胞の成長や生存に必須の成分であるが,過剰になると動脈硬化等の病気を引き起こしてしまう。本講義ではコレステロールの生理的役割から脂質異常症や神経変性疾患との関わりについて学び,基本的な物質から病気の発症の理解へとつながる導入的な基礎内容を学ぶ。(浦野泰臣)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」について 
再生医療を患者さんに提供しようとする場合,法に基づき厚生労働大臣に計画書を提出する必要があります。再生医療について,知っておくべき法律などを解説するとともに,臨床応用の動向を紹介します。(祝迫恵子) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 医療技術の発達等で,ヒトの平均寿命は延長し続けている。しかし, その一方で老年性の認知症が急速に増えて,社会問題化することが少なくない。本講義では,代表的な認知症としてアルツハイマー病に関して,病態や発症機 序,治療・予防の最前線について概説するとともに,認知症ケア等の社会福祉の考えを培う。(舟本聡)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「栄養と遺伝情報」大学生活を有益なものにするための実践的栄養学と遺伝的側面からの考察。栄養について:大学生活で勉学やスポーツに集中できるような健康・栄養状態を維持するためには,どのような食生活を実践すればいいのか,また,災害時の栄養・食糧問題についても考察する。遺伝情報について:近年,疾病起源を母体や父親の健康栄養情報にまでさかのぽって世代間で考察する考え方が提唱され,遺伝情報の後天的変化も一部遺伝することが報告されている。今後,急速に増大しているヒトゲノム情報と,個人の健康・栄養状況を今後どの様な方法で統合解析してゆくぺきか,その基本概念と方法論について学ぶ。また,個人情報の取り扱いついても言及する。 (池川雅哉)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」について理解し,遺伝子組換え生物に関する生命倫理を養うとともに,研究不正防止の考えを培う。(舟本聡)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 脳における情報処理は,様々な神経細胞の電気的活動から成り立っている。神経細胞間の通信は,接点であるシナプスと呼ばれる場で行われる(シナプス伝達)。「記憶」という現象は,シナプス伝達の長期的な変化(シナプス可塑性)が必要であると考えられている。シナプス可塑性の細胞分子メカニズムを概説する。その中で,シナプス伝達を理解する上で必要な基本知識に関して解説を加えることで,今後に関連分野の講義を受講した際の理解を助ける(齋藤直人)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 「骨の科学を学ぶ」(1)骨が解き明かす人類の進化,(2)生体の骨組織を作り上げる細胞とその働き,(3)骨の役割とその乱れに伴う疾患について学習する。(西川恵三)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 「毒素産生細菌とその感染症」高校生物未履修者にも理解できるような下記の項目に関する入門的な内容を解説する。1)病原細菌とは?2)細菌が作る毒素とは?3)日本国内および世界各地で話題となった細菌感染症の例に基づく各感染症の発症メカニズム,治療の現状等々。(高橋美帆)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 「寿命論」生きとし生けるものに普遍的と考えられる寿命。さまざまな研究成果をもとに物質,細胞.個体の視点から"寿命"とは何かを考える。また講義を通し,大学での学習に必須なデータの読み取り方について学ぶ。(宮坂知宏)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 医薬品は疾患の治療ならびに患者のQOL(Quality of Life)の向上など医療の現場で不可欠の役割を果たす。その一方で,薬害,医療費の拡大,希少疾病用医薬品への対応,等社会的に大きな問題を抱えている。医薬品の歴史から,社会的・経済的問題,特許・ジェネリック薬,将来の方向性等について概説する。(西川喜代孝)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習2時間 
復習2時間 

上記の計画は予定であり,変更がありうる。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等)  50%  出席と受講態度を評価する 
講義後レポート・論文  50%  生命医科学の様々な分野に関する理解度と将来展望について自己の考えをまとめる能力を評価する 

生命医科学の様々な分野に関する理解度と提起された問題について自己の考えをまとめる能力を評価する

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
134 27.6 35.1 14.2 10.4 12.7 0.0 2.5

<備考/Remarks>

連絡先)野口:nnoguchi@mail.doshisha.ac.jp 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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