シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△自己組織化の科学
Lectures in Spatio-Temporal Self-Organization
2単位/Unit  秋学期/Fall  京田辺/Kyotanabe  演習/Seminar

  剣持 貴弘

<概要/Course Content Summary>

生命体は,自らの体を自律的に形成し,生命活動を維持している。一方,熱力学第二法則によると,秩序あるものは時間と共に,無秩序な状態に移行していく(エントロピー増大の法則)。生物の自己組織化の謎を解くカギは,生物が非平衡開放条件を活用していることにある。本講義では,簡単な微分方程式など,数理科学的な方法論を活用して,生物の自己組織化の基本に迫ることを目標としている。生物の自律的な情報処理のメカニズムが,現存するコンピュータの原理とは全くことなっていることなども,取り上げて議論する予定である。尚,本講義では,ゲストスピーカーとして,吉川研一博士をお招きし,ディスカッションを含めた双方向的な講義を行う。Covid19の状況にもよるが,当面は,web上でのリモート講義を行う.

<到達目標/Goals,Aims>

時間発展を記述するような数理科学的手法(大学の1,2年生レベルの数学)を活用して,自己組織化や情報処理の問題を定量的に扱えるようにすることを目標としたい。あわせて,身近な現象の中に,疑問を見出し,それを自らの力で解いていくといった能力を身につくことを目指す.

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 非線形は面白い,その1: 線形と非線形  (授業時間外の学習/ Assignments) 線形の微分方程式を復習しよう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 非線形は面白い,その2: 流体運動のリズム・生物リズム・化学反応のリズム  (授業時間外の学習/ Assignments) 現実の世界では,線形近似が一般的に崩れることを実感しよう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 化学反応は非線形,その1: 反応速度,反応の次数  (授業時間外の学習/ Assignments) 化学反応は分子同士の衝突が基本(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 化学反応は非線形,その2: 代謝反応のリズム  (授業時間外の学習/ Assignments) 化学反応の生み出すリズム現象を調べてみよう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 反応拡散系,その1: 反応と拡散の結合  (授業時間外の学習/ Assignments) 空間の広がりのある中での化学反応:反応拡散系(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 反応拡散系,その2: 時間発展するパターン  (授業時間外の学習/ Assignments) 化学反応が創り出す,同心円やラセンパターン(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 反応拡散系,その3: チューリングパターン  (授業時間外の学習/ Assignments) 生物の体の形づくりのモデル(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 神経興奮・情報処理,その1: 神経興奮のモデル  (授業時間外の学習/ Assignments) 神経の膜電位の変化のメカニズムを知ろう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 神経興奮・情報処理,その2: 興奮伝播のモデル  (授業時間外の学習/ Assignments) 膜電位パルスの空間伝播の様子(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 神経興奮・情報処理,その3: ニューラルネット  (授業時間外の学習/ Assignments) 神経細胞のネットワークの特性を考えてみよう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 神経興奮・情報処理,その4: チューリング・ノイマンの夢  (授業時間外の学習/ Assignments) 生物での計算のメカニズムは現在存在するコンピュータとは大きく異なることに留意しよう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 相転移・臨界現象,その1: 熱ゆらぎ・線形応答  (授業時間外の学習/ Assignments) 身の回りの相転移現象を調べてみよう(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 相転移・臨界現象,その2: 相転移の動力学(Ginzburg-Landau方程式)  (授業時間外の学習/ Assignments) 相転移が創り出す,空間パターン(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 相転移・臨界現象,その3: 高分子とフラクタル  (授業時間外の学習/ Assignments) 高分子の高次構造はフラクタル(予習・復習:4時間) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) まとめ: 総合討論,”時空間の自己組織化とは?”  (授業時間外の学習/ Assignments) 生命の自己組織化の謎に迫ろう(予習・復習:4時間) 

受講者が能動的に講義に参加し,疑問点を積極的に質問することを期待したい. 
受講者との双方向での講義を位置づけているので,講義の内容についても,当初の予定から変更する可能性もあることを留意していただきたい.

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  60%  受講生からの発問など,能動的・積極的な学習態度を評価する 
期末レポート試験・論文  40%  時空間の自己組織化について,具体的な問題を通して考察することのできるような能力を重視 

受講生の能動的・積極的な講義への参加が,評価としても重要なポイントとなる. 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
18 55.6 33.3 0.0 0.0 11.1 0.0 3.2

<参考文献/Reference Book>

吉川研一  『非平衡開放系の物理学』講談社基礎物理学シリーズ11 (講談社、2010)101-110 
 

北畑裕之,吉川研一  『リズム現象の世界』非線形非平衡現象の数理 (東京大学出版会、2005)1-37 
 

以下の文献も参考になります。 
作田,馬籠,吉川,「ナノの世界からマクロの世界を動かす:見えない分子から巨視的な動きへ」日本化学会,CSJ Current Review,26, 28-36 (2017). 
吉川,岩城,「細胞の自己組織化に物理の視点から迫る」 パリティ, 26, 13-21 (2011). 
吉川,「非平衡開放系の物理学」講談社基礎物理学シリーズ,”現代物理学の世界トップ研究者からのメッセージ””,3章,101-110(2010). 

<参照URL/URL>

講義資料 
生命物理科学研究室のホームページ 

<備考/Remarks>

担当教員E-mail 
剣持貴弘:tkenmots@mail.doshisha.ac.jp 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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