シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


61202052-001 

△民事訴訟実務の基礎-1
Fundamental Civil Procedure & Practice-1
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  深谷 格 小河 好美

<概要/Course Content Summary>

 民事裁判を通じての民事紛争の解決は,訴訟当事者によって提起された訴訟上の請求(訴訟物)が法律上の争訟適格性を具えているか,請求を法的に基礎づける事実が主張されているか,その事実の存否につき当事者間に争いがあるならば,その存在あるいは不存在について立証されているか,の判断が裁判官によってなされることにより実現される仕組みとなっている。 
 このような仕組みの中で法曹に求められるのは,当該紛争の解決のためにはどのような請求をすればよいのか(法律構成,訴訟物の決定),それを法的に基礎づけ又は排斥するのに必要な事実は何か(要件事実),その事実の存否はいかにして確定されるのか(事実認定)などについての正確な知識と的確な判断力である。また,こうした適正な解決を迅速に行うための民事訴訟手続のあり方についても理解をしておく必要がある。 
 本科目は,民事訴訟実務の基礎知識を修得し,実体法及び手続法の知識と理論が民事訴訟実務においてどのように活用されるかを具体的に学ぶことにより,法曹として実務に携わるための基礎を培うことを目的とするものである。 
 また,法科大学院修了後の新しい司法修習制度においては,従来の司法修習制度のもとで行われてきた要件事実に関する教育の多くの部分を法科大学院の教育の中で行うことが求められている。本科目はこの要請を満たすこともその趣旨の一つとしている。

<到達目標/Goals,Aims>

 民事実体法の知識を前提に,要件事実を踏まえて当事者の主張を整理して,攻撃防御方法における位置づけができるとともに,事実認定の基本的な枠組みを理解できるようにする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 要件事実の基礎 
 民事訴訟法で学んだ訴訟物,弁論主義,立証責任等の内容を確認しながら,訴訟の対象である訴訟物の意義・特定,訴訟物を基礎づけ又は排斥するための要件事実(請求原因,抗弁,再抗弁等)とそれに対する認否の意義・機能,要件事実を決定するための立証責任の分配の考え方等について,総論的な講義をする。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 事前配付の予習レジュメに沿った予習(以下,全ての回について同様) 
(実施回/ Week) 第2~8回  (内容/ Contents) 要件事実 
 売買代金請求,貸金返還請求,所有権に基づく明渡・引渡請求,所有権に基づく登記請求,動産の引渡請求等の典型的事例について,雑多な当事者の言い分を,訴訟物,請求原因,抗弁及び再抗弁の形で整理することにより,要件事実の考え方,民事訴訟の審理の基本構造を理解する。内容的には,教科書である「新問題研究要件事実」をマスターすることに加え,「改訂 紛争類型別の要件事実」の要所をマスターすることを目指す。 
 授業は,事前配付した予習レジュメに添って解説する形で,適宜質疑を行う形で行う。 
 なお,要件事実の組立ては,ほとんどすべてが民法の条文や理論や解釈に基づいている。そのため,要件事実を学習する際には,要件事実関係の参考書を参照するだけで済ますのでなく,必ず民法の条文や理論や解釈を民法の教科書で確認した上で,それらから要件事実の導出に至るまでの思考過程に注意するようにして欲しい。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 中間テスト  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 中間テスト解説  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 民事第一審手続 
 実際の民事訴訟手続がどのように進行されていくかを検討し,各手続の条文上の根拠,手続の流れの中での要件事実の働き,当事者の主張立証のあり方,裁判所の求釈明のあり方,争点整理・集中証拠調べの意義,和解の役割,判決のあり方などを理解する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 事実認定の基礎 
 民事訴訟法で学んだ証拠法の内容を確認しながら,事実認定の基本的な知識を講義する。内容的には,事実認定の基本的な方法のほか,書証については成立の真正の意義,二段の推定の法理,処分証書と報告文書の相違等が,人証については証言・供述の信用性の検討方法等が含まれる。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第13~15回  (内容/ Contents) 事実認定の演習及びまとめ 
 模擬事件記録に基づき,当該事案で争点となっている要件事実(例えば金銭の貸付けの有無)について,記録に顕れた証拠及び弁論の全趣旨から認定することができるか否かを検討することにより,民事訴訟事件における事実認定が実際にどのように行われるかを理解する。 
 授業は,事前に配布する模擬事件記録に基づき,討論や質疑応答を交えながら解説する方法で行う。事例の検討のために,適宜事前のレポートの提出を求める。 
 なお,以上の授業計画については,進捗状況や理解度に応じて若干変更することがある。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) ※レポートについては,1回程度の提出を予定している。  (授業時間外の学習/ Assignments)  

予習の内容 
 講義はあらかじめ配付した予習レジュメに添って行うので,予習レジュメの質問事項を検討しておくことが必須である。また,要件事実は,民事実体法の理解を前提とするので,予習レジュメで取り上げる範囲について,民法の基本書に目を通しておくことが望ましい。 
標準的な予習時間 
 4~6時間/週

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  10%  発言を含む授業への参加状況,授業の欠席状況等を評価する。 
レポート  10%  提出の有無のほか,課題に真摯に取り組んでいるかを内容を含めて評価する。 
中間テスト  20%  授業で取り上げた基本的な問題についての理解を評価する。 
期末試験  60%  授業の内容が修得できているか,また授業で取り上げた考え方を用いて応用的な問題を考えることができるかを評価する。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A+ A B+ B C+ C F
16 6.3 25.0 37.5 25.0 0.0 6.3 0.0 0.0 3.5

<テキスト/Textbook>

司法研修所 編  『新問題研究 要件事実』 (法曹会、2011)

 

司法研修所 編  『紛争類型別の要件事実』改訂版  (法曹会、2006)

 

司法研修所 監修  『民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて-』4訂  (法曹会、2001)

 

配付物 
 授業の1週間前に当該講義用の予習レジュメを配付する。

<参考文献/Reference Book>

司法研修所 編  『民事判決起案の手引』10訂 (法曹会、2006.9)
 

大島眞一  『完全講義 民事裁判実務の基礎(入門編)-要件事実・事実認定・法曹倫理・保全執行-』新版第2版 (民事法研究会、2018)
 

大島眞一  『完全講義 民事裁判実務の基礎(発展編)-要件事実・事実認定・法曹倫理-』新版 (民事法研究会、2016)
 

村田渉, 山野目章夫編著  『要件事実論30講』第4版 (弘文堂、2018.3)
 

司法研修所 編  『事例で考える民事事実認定』(法曹会、2014)
 

土屋文昭・林道晴 編  『ステップアップ民事事実認定』第2版 (有斐閣、2019.12)
 

  
  
  

 

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