<概要/Course Content Summary>
本講義は,民法講義Ⅰ(総則),民法講義Ⅲ(契約法Ⅰ),民法講義Ⅴ(不法行為法)で修得した知識を前提として,契約や不法行為等を発生原因として生ずる債権に関する共通の規律,債権の満足を確保するための責任財産保全制度,債権の担保力を強化する機能をもつ不可分債務・連帯債務,人的担保制度としての保証,担保的機能からみた相殺,弁済をめぐる諸問題,債権譲渡の諸問題などにつき,現代社会における意義・役割並びに問題点に留意しつつ概説する。 公刊されている教科書・体系書との対応で言うならば,「債権総論」に相当する内容を取り扱うことになる。大学の法学部での講義時間数に比べるとはるかに少ない時間数で広範な領域を学習することになるので,受講者においても講義で取りあげる事柄については,十分な予習をするとともに,講義で取り上げることのできない領域・事項についても,自らの主体的学習により埋め合わせてゆくように心がけてほしい。 講義の準備(予習)と講義の理解を助けるために,講義レジュメを事前に配付する予定である。講義は,このレジュメをもとに,可能な限り具体的な例をあげながら,質疑応答も行いつつ進めていく。なお,民法改正との関係で,改正前民法を前提として,改正民法における改正点及び及びその内容について解説するが,できるだけわかりやすく体系的位置づけに留意して説明するつもりである。受講者は必ず講義に出席すること。
<到達目標/Goals,Aims>
基本的な概念・制度を理解し,法の解釈・適用能力を修得する。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(実施回/ Week)
第1回
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(内容/ Contents)
債権の意義及び性質 物権法と債権法,債権の意義,物権と債権との法的差異,債権と請求権,債権総則(債権総論)と債権各則(債権各論)との関係 債権の目的 民法典はパンデクテン体系にしたがって編纂されているため,債権総則にあたる部分は極めて抽象的な規律から成っている。講義では,できるだけ債権各論,とりわけ契約法,契約の諸類型との関連に留意したい。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第2回
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(内容/ Contents)
債権の効力概説(1) 任意履行(弁済),強制履行(現実的履行の強制),損害賠償,解除 債務が履行されなかった場合における,債権者のとりうる法的方法について概略し,強制履行について説明する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第3回
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(内容/ Contents)
債権の効力概説(2) 債務不履行の諸類型と債権者の保護手段(1)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第4回
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(内容/ Contents)
債権の効力概説(3) 債務不履行の諸類型と債権者の保護手段(2) 債務不履行と不法行為(請求権の競合問題)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第5回
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(内容/ Contents)
安全配慮義務・損害賠償の範囲(1) 安全配慮義務の意義・内容
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第6回
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(内容/ Contents)
安全配慮義務・損害賠償の範囲(2) 損害概念,通常損害,特別損害
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第7回
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(内容/ Contents)
責任財産の保全制度(1) 1.債権者代位権 民法423条の債権者代位権の目的(存在理由)と問題点,代位権の要件(本来型と拡張型),本来型における代位権行使の効果,拡張型(転用事例とも呼ばれる)の諸事例
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第8回
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(内容/ Contents)
責任財産の保全制度(2) 2.詐害行為取消権(1) 民事保全法上の責任財産保全制度(仮差押え・仮処分),破産制度及び破産法上の否認権と民法上の詐害行為取消権制度との関係,詐害行為取消権の意義及び要件:詐害行為取消権における利害の対立と調整,法的性質,法的構成
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第9回
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(内容/ Contents)
2.詐害行為取消権(2) 詐害行為取消権の行使方法,取消しの範囲及び内容,取消しの効果
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第10回
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(内容/ Contents)
多数当事者の債権関係ー連帯債務 多数当事者の債権関係の概説 連帯債務の意義及び性質,連帯債務者の一人について生じた事由の効力,連帯債務者相互間の求償関係,不真正連帯債務について,連帯債権
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第11回
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(内容/ Contents)
保証制度 保証制度の概説,民法上の保証債務の成立のための保証契約,保証債務の内容,保証債務における債権者と保証人との法律関係,保証人の求償権,連帯保証,共同保証,個人根保証契約,「事業に係る債務」についての保証契約の特則
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第12回
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(内容/ Contents)
債権の消滅に関する諸問題(1) 1.弁済 弁済の意義,第三者弁済,表見受領権者への弁済,弁済の充当,弁済の提供,弁済による代位
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第13回
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(内容/ Contents)
債権の消滅に関する諸問題(2) 2.相殺 相殺の意義,相殺の要件,相殺の禁止,差押えと相殺
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第14回
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(内容/ Contents)
債権譲渡(1) 物権の譲渡と債権の譲渡との比較,債権譲渡の原因,譲渡 制限特約の効力,将来債権の譲渡
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第15回
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(内容/ Contents)
債権譲渡(2) 債務者に対する対抗要件,債務者以外の第三者に対する対抗要件,債務者の抗弁,債権の多重譲渡
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
第7~9回のいずれかで小テストを実施する予定である。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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予習の内容 予め配付してあるレジュメを参照にしながら,参考文献等を読み,基本的な部分の理解に努める。その際,必ず,関連する条項を六法で確認すること。 標準的な予習時間 3.5時間/週
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点
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10%
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講義の際の質疑応答を通じて,基本的概念・制度の理解ができているかを評価する。欠席状況も考慮する。小テストの結果については,考慮する場合もある。
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期末試験
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90%
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基本的概念・制度の理解とともに,法の解釈,適用能力が修得されているかについて判断する。
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学期末に論述試験を行うが,共通到達度確認試験の結果も加味する。具体的には,期末試験の満点90点のうち,共通到達度確認試験の満点を6点に換算し,論述式試験の満点を84点として成績評価を行う。
<成績評価結果/Results of assessment>
成績評価の見方について/Notes for assessment
登録者数 |
成績評価(%) |
評点 平均値 |
備考
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A+ |
A |
B+ |
B |
C+ |
C |
F |
他 |
12 |
0.0 |
16.7 |
8.3 |
8.3 |
41.7 |
8.3 |
16.7 |
0.0 |
2.4 |
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<テキスト/Textbook>
特定の教科書を指定することはしない。レジュメを事前に配付する。受講者には,レジュメを手がかりにして予習しておくことを求める。 配付物 1週間前までに,レジュメを配付する。
<参考文献/Reference Book>
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