シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


61201505-001 

△応用ゼミ(基礎法・隣接)-1 (国際法の視点からみた東アジア情勢)
Practicum (Basic and Related Laws)-1 -East Asian security from the internat ional law perspec tive -
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  村上 政俊

<概要/Course Content Summary>

 国際法の視点から,東アジア地域の安全保障の課題を整理分析する。我が国は,東アジアにおける最初の立憲主義国家であり,第二次世界大戦後は,国際社会において国際法に基づく秩序形成を一貫して先導してきた。しかし,近年,力による現状変更を志向する勢力が急速に台頭し,我が国を含めた多くの民主主義諸国の安全保障に重大な脅威を与えている。とりわけ中国は,国際法の独自解釈に基づく主張を展開し,南シナ海,東シナ海における海洋進出を活発化させ,従来の伝統的な国際法秩序に対して挑戦する姿勢を鮮明にしている。  
 我が国としては,前提として,同盟国米国や準同盟国豪州,インド等と協力しながら,軍事面での勢力均衡を維持することが急務である。同時に,安全保障環境を安定させるため,「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づき,「航行の自由」といった人類普遍の原則が東アジア地域において妥当し続けるように,国際法理論をこれまで以上に重視し,国際社会に対して説得的な論理の構築と発信に一層の努力を傾けなければならない。この点において,法曹実務家が果たすべき役割は今後,益々拡大していくといえるだろう。  
 本講義では,国際法の伝統的な理解を踏まえながら,地域情勢のホットイシューにつき具体的に分析する。我が国が当事者である領土問題(北方領土,竹島)や直接的な脅威(尖閣諸島に対する中国の領有権主張,北朝鮮の拉致核ミサイル問題)及び我が国の安全保障政策の根幹をなす日米安全保障条約体制は当然に講義範囲に含まれる。また,現在の国際政治の焦点である南シナ海問題も取り上げ,海洋国家日本にとって重要である国連海洋法条約を中心とした海洋の国際法秩序について理解を深める。トランプ政権の外交安全保障政策及び米国大統領選挙の我が国への影響についても随時言及する予定である。

<到達目標/Goals,Aims>

 法曹実務家として必要な国際法の知識を身に付け,国際情勢を正確かつ大局的に理解する視座を養成する。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回   (内容/ Contents) トランプ政権の外交安全保障政策  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 南シナ海①(問題の経緯と現状)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 南シナ海②(国連海洋法条約)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 東シナ海①(尖閣)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 東シナ海②(ガス田開発)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 日中関係①(台湾)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 日中関係②(歴史認識)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 日米安保条約①(世界の中の日米同盟)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 日米安保条約②(平和安全法制)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 北朝鮮(拉致核ミサイル)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第11回   (内容/ Contents) 韓国①(竹島)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 韓国②(日韓基本条約)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) ロシア(北方領土,平和条約交渉)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 今後の日本外交の課題と国際法  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で指示 

国際情勢や政治外交史に幅広く関心を持つよう心掛けて欲しい。 
 
予習の内容 
 次回授業に関係する参考文献及び参考URLに目を通した上で,教室に来ることを勧めたい。 
 
標準的な予習時間 
 平均して約30分程度の予習を期待したい。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

期末試験  60%  授業内容の理解の正確性。答案構成の論理性。 
平常点(欠席状況)  30%  学習意欲の継続性 
授業内評価  10%  授業に対する積極性 

<参考文献/Reference Book>

久保文明・阿川尚之・梅川健 編  『アメリカ大統領の権限とその限界-トランプ大統領はどこまでできるか-』(日本評論社、2018)ISBN:9784535523012 「第11章 大統領権限と制裁――対東アジア(中国,北朝鮮)を中心に」を参照予定。 
 

村上政俊・石平  『最後は孤立して自壊する中国-2017年 習近平の中国-』(ワック、2016)ISBN:9784898317358 講師の中国問題(経済,社会,政治,外交)に関する著書。外交問題に関する部分を参照予定。 
 

<参照URL/URL>

国際情報サイト「フォーサイト」 
新潮社のウェブマガジンでの講師の連載。関連する原稿を講義で参照する。 
首相官邸 
 
外務省 
 
防衛省 
 

<備考/Remarks>

 講師の実務経験(外交官,衆議院議員)を基に,外交現場の雰囲気を織り交ぜながら,法曹実務家として必要な広い視野の養成に努めたい。現在の政府の公式見解に沿いながら講義を進めるので,受講生には,首相官邸,外務省,防衛省等のHPの参照を奨励したい。また,受講生と年齢的に近いことを活かし,希望があれば,進路相談等にも積極的に対応したい。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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