シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


61200603 

△会社法特講Ⅱ
Fundamentals of Corporate Law II
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  木下 孝治

<概要/Course Content Summary>

 この講義は,商法総合演習を既に受講した者を主な対象として,事例問題の起案実習および復習講義の組み合わせを通じて,企業法務に従事する法律専門家に必要とされる問題点の的確な発見,的確な起案のスキルを鍛えることを目的とする。 
 教材の一部には,商法総合演習の教材のうち,教材スリム化のために使用しなかった問題,教材に用いた事例を基にして作成した派生問題,発展問題を用いる。また,授業回数の制限があるために商法演習,商法総合演習を通じて学修の機会がなかった法律問題についても補足的な解説講義を行い,必要に応じて問題演習を行う。 
 以上の次第で,商法総合演習との連続性を意識して組み立てた授業となるが,商法総合演習を受講しなかった者の履修に支障がないように配慮することはもちろんであり,幅広い受講を歓迎する。但し,商法総合演習の受講を忌避する手段に利用されることを防ぐため,同演習の非受講者については,同演習を受講した場合と同等のレポート提出を義務づける。

<到達目標/Goals,Aims>

 事例問題を解く実習を通じて,商事実体法の要件効果思考の安定的な理解を定着させ,実体法と手続法を総合的に駆使し,法曹としての商事紛争処理能力を涵養する。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 会社法に基づく取引保護 
 会社が当事者となる対外取引の有効要件,効果帰属要件が問題となる事案を検討する。受講者の起案を題材として,適切な適用法条が選択されているか,要件に対応する事実が的確に指摘されて適切な評価がなされているか,等の注意点を解説する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 復習起案の提出。提出された起案についての個別面談指導 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 役員の任務懈怠責任―監査,内部統制と監視義務 
 役員または会社の使用人がなした行為につき,役員が任務懈怠責任を問われる事案を検討する。行為者自身の責任と,損害発生の回避に向けられるべき注意義務の違反のそれぞれについて,起案作成上の注意点を解説する(解説の力点については,以下の授業につき同じ)。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 公開会社の株主総会 
 公開会社の株主総会における情報開示,議事運営,採決に関する論点の検討を経て,役員報酬決議の瑕疵が争われる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 非公開会社の株主総会(1) 
 非公開会社において,適法な総会招集手続がなされていない場合,株式譲渡または株式相続により株主が変動する場合に,株主総会決議の瑕疵が問われる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 非公開会社の株主総会(2) 
 非公開会社において,株主毎に属人的な定めをなす定款変更決議の効力,一部の株主に対して株式の売渡を求める決議の効力などが問われる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 監査等委員会設置会社と社外取締役の利用 
 社外取締役の選任,社外取締役の責任制限,監査等委員の報酬と監査権限など,監査等委員及び社外取締役に関する事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 公開会社の募集株式発行 
 公開会社が株式の有利発行,特定引受人に対する株式発行などを行う場合に,株主に与えられる救済が問われる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 非公開会社の募集株式発行 
 非公開会社において募集株式が発行された場合に,株式発行の効力,株式発行を行った取締役の責任などが問われる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 非金銭報酬としての新株予約権の利用 
 いわゆるストックオプションとして新株予約権が発行されるための手続,対価の払込,手続に瑕疵がある場合に株主に与えられる救済などが問題となる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 合併の手続と株主の救済 
 吸収合併が簡易合併に該当するか否かの検討を経て,合併の手続に瑕疵がある場合に株主に与えられる救済が問われる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 株式交換と株主代表訴訟の帰趨 
 株主が取締役の責任を追及する代表訴訟を提起するとき,相前後して株主交換が行われたことによる代表訴訟の帰趨を検討する。また,株式交換により株主が不利益を被る場合に,株主に与えられる救済を問う事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 会社分割と会社債権者の保護 
 会社分割により取引債権が吸収分割承継会社に承継される債権者,承継されない残存債権者が,会社分割の効力を争うことができるか,それぞれの取引債権の支払を誰に対して求めることができるかを問う事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 取締役の第三者に対する責任 
 会社が経営危機に瀕する状況において,取引先が会社の取締役に対して責任を追及することができるかを問う事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 自己株式の取得と株式併合 
 少数派株主を締め出す目的で自己株式が取得され,または株式併合がなされる場合に,株主に与えられる救済を問う事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 最新判例の検討と総まとめ 
 注目すべき最新判例を選び出し,そこで示された判例法理が問題となる事案を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  

起案指導の方法,添削指導の頻度などは,受講者数と受講者の負担を見ながら適宜調整したい。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  10%  授業への参加状況,欠席状況 
小レポート  20%  起案の提出状況 
期末試験  70%  授業内容の定着度,答案の論理性,説得性 

受講者数が少ないときは,期末の筆記試験に代えてレポート試験を行う。

<テキスト/Textbook>

西岡清一郎・大門匡 編  『商事関係訴訟』改訂版  (青林書院、2013)

 

 

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