シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


61200244-002 

△租税法総合演習-2
Comprehensive Tax Law Seminar-2
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  占部 裕典

<概要/Course Content Summary>

 租税実体法,租税手続法,租税争訟法の交錯する総合事例問題を取り扱い,総合的な紛争解決能力を養っていきます。授業では,事例問題を通じて,(1)国税通則法及び国税徴収法を中心に租税手続(滞納処分を含む)・租税争訟の基本的問題,(2)国税通則法及び国税徴収法の重要判例,(3)所得税・法人税・消費税・相続税・地方税にかかる租税実体法と租税手続法等に関する問題点と重要判例等を検討する,こととなります。 
 租税法総合演習では,主として所得税法,法人税法の実体法にかかわる総合事例問題を検討しますが,それ以外の消費税法,相続税法,地方税法等にかかる税目も事例に取り込み,それらの税目の基礎的知識もあわせて提供するように努めます。 
 また,租税法Ⅰ・Ⅱで取り上げなかった論点についても,租税法総合演習の事例のなかで取り上げて,所得税法や法人税法のより高度な知識の習得を図ります。 
 なお,租税法関連科目の履修にあたっての相互関連性については,租税法Ⅰの概要を参照してください。租税法Ⅰ,租税法Ⅱは,租税法についての基礎的知識を,所得税法や法人税法を通じて提供するものであり,租税法総合演習を含む租税法関連科目(国際租税法等)を履修するにあたって基本となる科目であり,先に履修しておくことが有益です。

<到達目標/Goals,Aims>

 本科目は,受講生に下記のような能力や知識を習得させることを目的としています。 
(1)租税債務の確定手続,附帯税(特に加算税)の賦課,税務調査,推計課税等についての基礎的知識の習得 
(2)税務紛争に応じた税務争訟方法の選択と審理の進め方,具体的な税務争訟での主張・立証のあり方についての理解 
(3)所得税法・法人税法・相続税法・地方税法等の解釈を通して租税法規の法解釈能力の習得 
(4)所得税法・法人税法・相続税法・地方税法等の課税要件の争点についての理解

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents)  第1回では租税法Ⅰ・Ⅱで取り上げなかった重要な税目である地方税と相続税・贈与税を取り上げる。 
地方税法(事業税,法人住民税等の企業税法中心)及び相続税法(相続税・贈与税)を概観するとともに,最近の重要判例等を通じてその問題点を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 毎回のレジュメの冒頭に予習内容を指示している。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents)  納税義務の成立・承継・消滅(時効を含む)の概説と関係判例の検討。特に過少申告加算税,重加算税の賦課要件については詳細に検討する。 
附帯税,還付金等の種類と法的問題の概説と関係判例等の検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 毎回のレジュメの冒頭に予習内容を指示している。 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents)  租税債務の確定等(納税申告と更正の請求,税務調査と決定・更正)についての概説(改正国税通則法を中心に),関係判例等の検討を行う。  (授業時間外の学習/ Assignments) 毎回のレジュメの冒頭に予習内容を指示している。 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents)  通常の更正の請求・特別の更正の請求の要件,更正の除斥期間,徴収権の消滅時効,修正申告にかかる重要判例等の検討を行う。青色申告制度,青色申告の承認の取消,税務調査(質問検査件),推計課税の要件・方法等にかかる重要判例等の検討を行う。  (授業時間外の学習/ Assignments) 毎回のレジュメの冒頭に予習内容指示している。 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents)  滞納手続を概観したうえで,租税相互間の調整,私債権との調整,租税その他公課と私債権の競合の調整,滞納処分と他の強制換価手続との関係等について,具体的な事例を通じて理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 毎回のレジュメの冒頭に予習内容を指示している。 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents)  租税争訟制度の枠組み(不服審査前置主義手続・税務訴訟類型)を概観した上で,租税不服申立て,租税訴訟の事例問題も検討する。租税争訟の法的問題にかかる事例の検討を行う。特に,訴えの利益(更正と再更正との関係,申告と更正の関係),争点主義と総額主義,理由附記制度,文書提出命令,立証責任等について,重要判例等もあわせて検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 毎回のレジュメの冒頭に予習内容を指示している。 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents)  所得税法,地方税法,相続税法及び国税通則法に関する事例を通じて,課税所得と非課税所得,私法と税法の関係,損害賠償金等と課税,時効と課税,更正の請求と修正申告等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法,相続税法及び国税通則法に関する事例を通じて,所得分類,人的帰属,権利の確定,債務の確定,前期損益修正と課税関係の遡及,過誤納金と還付金請求権等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法,地方税法及び国税通則法に関する事例を通じて,給与所得,退職所得(みなし退職金を含む),配当所得,雑所得,役員給与(多様なインセンティブ報酬を含む)と課税,附帯税(特に重加算税と過少申告加算税,不納付加算税),源泉徴収制度,更正の除斥期間の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法及び国税通則法に関する事例を通じて,利子所得,みなし配当,資本等取引,自己株式と課税,第三者割当増資と課税,DES取引と課税,源泉徴収制度,修正申告,更正等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法及び消費税法に関する事例を通じて,事業所得と雑所得(消費税法の事業性判断も含む),必要経費の要件,減価償却費(少額減価償却資産を含む)の算定,評価損,繰延資産,資本的支出と修繕費等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法,消費税法,相続税法及び国税通則法に関する事例を通じて,事業所得と不動産所得(事業的規模等の判断),譲渡所得(みなし譲渡を含む),雑所得,資産損失,損失の繰越控除,損益通算,相続税と所得税の二重課税等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法,相続税法及び国税通則法に関する事例を通じて,必要経費(売上原価,減価償却費を含む),家事費,家事関連費,交際費,雑損控除,医療費控除,還付金と還付加算金,修正申告,滞納処分,租税債務の承継,連帯納税義務等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法,消費税法,地方税法及び国税通則法に関する事例を通じて,譲渡所得,リ-ス取引,法人税法22条4項と企業会計原則等の関係,寄附金,貸倒引当金(貸倒損失を含む),消費税の簡易課税,推計課税,更正の請求等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents)  所得税法・法人税法及び国税通則法に関する事例を通じて,同族会社の行為計算,経済的利益と所得分類,法人への譲渡・法人からの譲渡(みなし相続を含む),権利金の認定課税,グル-プ法人間の資産譲渡等の問題を検討する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付した事例についての検討 

予習の内容 
 毎回の予習として,事前に配付されるレジュメの該当箇所を熟読するとともに,「事例問題」についての検討(数回のレポ-ト提出)が求められます。 
標準的な予習時間 
 2時間程度/週

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  20%  授業での質疑応答,レポ-ト(各自少なくとも3回提出),欠席状況 
期末試験  80%   

 試験問題は,2題の事例(横断的な事例)による。

<テキスト/Textbook>

金子宏  『租税法』最新版  (弘文堂) ほぼ毎年版が改まるので最新版のものを購入。テキストについては,第1回の授業で説明をしますので,それまで購入の必要はありません。 

 

中里実ほか  『租税判例百選』第6版  (有斐閣、2016)

 

配付物 
「租税法総合演習教材(問題集)」を配付予定。15回分を事前に配付する予定。 
国税通則法・国税徴収法については,必要に応じて資料等を配布します。 
 

<参考文献/Reference Book>

三木義一・関根稔・山名隆男・占部裕典 編著  『実務家のための税務相談』第2版 (有斐閣、2006)
 

<備考/Remarks>

各回に予定されている論点を含む事例問題に変更が生ずることがあります。変更については,15回分の事例問題を一括配付することによって,事前に修正します。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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