シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


61200175-002 

△商法演習-2
Commercial Law Seminar-2
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  木下 孝治

<概要/Course Content Summary>

 本演習では,会社法上の重要問題を検討する。会社法の基礎知識の習得に配慮しつつ,基本的な論点について考察する。授業中の発言を重視した討論形式と講義を併用する。 
 本演習は,京都大学法科大学院との協定に基づく単位互換科目である。京都大学法科大学院において開講される「商法総合Ⅰ」と共通の教材として,前田雅弘・洲崎博史・北村雅史『会社法事例演習教材』第3版の第Ⅰ部「紛争解決編」を取り上げる。 
 設問の一部については,演習時にはとりあげないか,簡潔に済ませることがある。開講時に指示する。 
 なお,コアカリキュラムの全てについて検討する時間的余裕はないが,採り上げる法的問題との関連におけるコアカリキュラムの内容についても,適宜,講義する。本演習において取り上げることができない商法全般の基礎事項についても,計画的な自学自習がなされるよう,適宜,学習の指示,助言を行う。

<到達目標/Goals,Aims>

 会社法の体系,立法を支える原理原則,規定の配置,重要条文につき存在する解釈上の対立点を理解することが基本的な到達目標となる。 
 さらに,具体的事例を前提に,会社法の重要条文の要件構造を踏まえて,当該事案の妥当な解決に資する柔軟な解釈論を展開する能力を習得することが,第二の到達目標となる。 
 本演習と並行して,会社法全般にわたり,コアカリキュラム上の基礎知識を修得することが期待される。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 株式の譲渡[Ⅰ-1] 
 株主名簿制度を概説した後,名義書換未了株主の地位,株式譲渡制限制度について検討する。振替株式制度及び種類株式制度について全般的に講義する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習として,テキストの該当する問題文を検討し,個々のQへの解答を用意し,関係条文,判例を理解しておくこと。授業後には,事例問題に対する解答を各自作成することが望ましい。クラス毎に週ごとに担当者を決めて復習レポートの提出を求める。以下,第12回ないし第13回まで同じ。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 株主総会・取締役会の決議[Ⅰ-2] 
 株主総会および取締役会の決議に瑕疵があった場合の法律問題を取り扱う。株主総会の手続について理解されているかを確認しつつ,特に,株主総会の決議取消しに関して,提訴権者,訴えの利益,決議の取消しの効果について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 代表行為と取引の安全[Ⅰ-3] 
 代表取締役による専断的行為,株主総会の承認を欠く事業譲渡,代表権のない取締役の会社代表行為を素材に,それぞれの取引の効力について検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 競業取引・利益相反取引[Ⅰ-4] 
 競業取引規制および利益相反取引規制を取り上げ,規制の趣旨と適用範囲,「自己または第三者のために」の意味,手続の内容,利益相反取引の効力,取締役の責任について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 取締役の報酬[Ⅰ-5] 
 取締役の報酬の決定手続,株主総会決議を経ずに支払われた報酬,取締役報酬の減額,退職慰労金の不支給といった問題を取り上げる。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 取締役の会社に対する責任[Ⅰ-6] 
 取締役の会社に対する責任について検討する。法令違反の任務懈怠,経営判断原則による任務懈怠の判断枠組,政治献金が任務懈怠となる場合,利益相反取引といった論点に関する取締役の責任問題を考察する。 
 株主の権利行使に関する利益供与,内部統制システムについては第8回において検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 取締役の第三者に対する責任[Ⅰ-7] 
 取締役の会社債権者等(第三者)に対する責任の要件について検討する。直接損害・間接損害の意義及びこれと因果関係のある任務懈怠,429条2項の責任,「第三者」の範囲などを取り上げる。 
 登記簿上の取締役,退任登記未了取締役の責任については,第8回において検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 積み残した問題の検討 
 Ⅰ-6,Ⅰ-7に収められた教材のうち,株主の権利の行使に関する利益供与,内部統制システム,登記簿上の取締役・退任登記未了取締役の責任,その他積み残した問題を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 株主代表訴訟[Ⅰ-10] 
 株主代表訴訟に関する諸問題を検討する。代表訴訟により追及できる責任の範囲,提訴請求手続,担保提供,代表訴訟の和解の効力,濫訴防止策などについて考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 募集株式の発行[Ⅰ-8] 
 募集株式の発行手続を確認した後,公開会社において募集株式,募集新株予約権の有利発行または不公正発行がなされた後の差止,株式発行無効の訴えによる救済について検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 募集株式の発行[Ⅰ-8](継続) 
 公開会社において支配株主の変動を伴う株式発行がなされる場合に生じる問題,募集株式発行時における役員の責任問題を取り上げる。 
 非公開会社における募集株式発行無効事由,株式発行不存在事由,出資の払込の仮装についても検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 設立[Ⅰ-9] 
 発起人の権限,財産引受など変態設立事項の効力,会社設立時の出資の履行と払込の仮装,設立無効など,会社の設立に関する論点を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 監査役・会計監査人・計算[Ⅰ-11] 
 監査役・会計監査人の意義を確認した後,これらの者の会社経営者からの独立性の維持のために会社法が定める規制を検討する。違法配当がなされた場合の責任についても検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 会社法総則の諸問題[Ⅰ-12] 
 支配人,表見支配人その他の商業使用人制度,名板貸責任,商業登記の効力,事業譲渡における取引相手方保護等の問題を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 手形法の諸問題 
 手形の基本的特質及びその決済システムを概説した後,手形の振出,裏書,支払等に関する重要問題を検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  

予習の内容 
 指定された体系書の該当箇所を理解した上で,テキストに掲載された課題を検討すること。テキストにおいて参照が指示された裁判例に目を通すこと(具体的な予習方法は開講時に説明する)。 
 毎回の授業後に,担当者を定めて,授業内容を反映させた復習レポートの提出を求める。 
標準的な予習時間 
 1週あたり4時間

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  20%  課題資料の準備(読解・分析)状況,発言の論理性・説得力。復習レポートの内容,提出状況も勘案する。欠席は配点全体からの減点事由とする。 
期末試験  80%  事案の整理・分析,適用法条の発見,適用法条の要件の指摘,規範の事実への当てはめ,法律効果の発生不発生,文章表現力,議論の論理性・説得力 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A+ A B+ B C+ C F
12 8.3 0.0 8.3 33.3 16.7 16.7 16.7 0.0 2.4 *

<テキスト/Textbook>

前田雅弘・洲崎博史・北村雅史  『会社法事例演習教材』第3版  (有斐閣、2016)

 

<参考文献/Reference Book>

岩原紳作・神作裕之・藤田友敬 編  『会社法判例百選』第3版 (有斐閣、2016)
 

山下友信・神田秀樹 編  『商法判例集』第8版 (有斐閣、2020)
 

江頭憲治郎  『株式会社法』第7版 (有斐閣、2017)
 

神田秀樹  『会社法』第21版 (弘文堂、2019)
 

伊藤靖史・大杉謙一・松井秀征・田中亘  『LEGAL QUEST-会社法-』第4版 (有斐閣、2018)
 

田中亘  『会社法』第2版 (東京大学出版会、2018)
 

川村正幸・仮屋広郷・酒井太郎  『詳説会社法』(中央経済社、2016)
 

 その他,適宜,講義中に提示する。

<備考/Remarks>

 本科目の履修に代えて,京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻との単位互換プログラムにより,京都大学において開講される「商法総合1」を受講することによって,成績評価を受け,単位を取得することができる。詳しくは,別冊子を参照すること。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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