シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


61200126-005 

△刑事訴訟法演習Ⅰ-5
Criminal Procedure Seminar I-5
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  古江 賴隆

<概要/Course Content Summary>

 本演習は,刑事訴訟法の基礎的な学力を習得した者の応用力を磨き,さらに将来の刑事司法実務に対応できる能力の養成をめざす。 
 刑事訴訟の実務においては,具体的な刑事手続の中で発生する実際の問題の処理こそが重要である。そこで,本演習においては,刑事訴訟法の重要な論点について,判例・裁判例などを素材とした事例の中から,論点をあげて検討するケース・スタディを演習形式で行う。このような手法を通して,刑事訴訟法の論点について実践的な問題解決を行うことのできる実力の養成を図る。 
 受講生は,各授業において積極的に発言することが求められ,また,事前に指定回の事例問題についてのレポート提出(少なくとも3回)を求められる。 
 

<到達目標/Goals,Aims>

 学生は,刑事訴訟法上の重要な論点について,具体的な事例の検討を通じて,問題点の所在,主要な判例・学説の状況を正確に理解したうえ,説得的な論理を構築して,適切な問題解決を図ることができるようになることを目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 強制捜査と任意捜査に関する諸問題 
⑴ 強制処分の意義 
⑵ 強制処分法定主義と令状主義 
⑶ 任意処分の適法性 
⑷ 写真・ビデオ撮影の適法性 
⑸ 任意取調べの適法性 
(授業時間外の学習/ Assignments) 指定の参考判例・文献を熟読し,課題となる 
事例問題の検討をしておく。 
 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 行政警察活動に関する諸問題 
⑴ 職務質問(停止のための有形力行使) 
⑵ 所持品検査 
⑶ 任意同行 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 逮捕・勾留に関する諸問題 1 
⑴ 現行犯逮捕の適法性 
⑵ 逮捕前置主義の趣旨 
⑶ 違法逮捕と勾留 
⑷ 一罪一逮捕・一勾留の原則(再逮捕・再勾留) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 逮捕・勾留に関する諸問題2 
⑴ 別件逮捕・勾留 
⑵ 余罪と取調べに対する規律 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 令状による捜索・差押えに関する諸問題 
⑴ 捜索差押許可状の発付 
⑵ 捜索差押許可状の執行方法 
 ① 必要な処分 
 ② 捜索場所に居合わせあせた者の身体に対する捜索の可否 
⑶ 電磁的記録の差押え 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 逮捕に伴う捜索・差押えに関する諸問題 
⑴ 無令状で行うことのできる実質的根拠 
⑵ 時間的・場所的限界 
⑶ 差押えの対象の範囲 
⑷ 最寄りの場所に移動したうえでの捜索・差押えの可否 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 接見交通に関する諸問題 
⑴ 被疑者と弁護人等との接見交通権 
⑵ 接見指定の可否及び適否 
⑶ 余罪と接見指定 
⑷ 被疑者と弁護人等以外の者との接見 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 訴因に関する諸問題 1 
⑴ 訴因の機能 
⑵ 訴因の特定(日時・場所・方法等の概括的記載など) 
⑶ 一罪の一部起訴 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 訴因に関する諸問題2 
⑴ 訴因変更の要否 
⑵ 縮小認定 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 訴因に関する諸問題3 
⑴ 訴因変更の可否 
⑵ 公訴事実の同一性(狭義) 
⑶ 公訴事実の単一性 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 証拠法に関する諸問題1 
⑴ 厳格な証明と自由な証明 
⑵ 挙証責任と推定 
⑶ 証拠の関連性,性格・類似事実証拠排除法則 
⑷ 科学的証拠の証拠能力(DNA型鑑定,臭気選別) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 証拠法に関する諸問題2 
⑴ 自白法則 
⑵ 取調べの違法と自白の証拠能力 
⑶ 派生証拠の証拠能力 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 証拠法に関する諸問題3 
⑴ 伝聞法則 
⑵ 伝聞と非伝聞 
 (精神状態の供述,犯行計画メモなどの証拠能力) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 証拠法に関する諸問題4 
⑴ 伝聞例外 
⑵ 犯行再現実況見分調書の証拠能力 
⑶ 再伝聞 
⑷ 弾劾証拠 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 証拠法に関する諸問題5 
⑴ 違法収集証拠排除法則 
⑵ 違法性の承継論 
⑶ 毒樹の果実論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上 

予習の内容 
 参考判例・文献等の資料を熟読したうえ,課題とされる事例問題を十分に検討するとともに,指定した回にレポートを作成・提出するなど,双方向・多方向の授業に対応できるように準備する。 
 なお,授業後は復習を十全に行うことが期待される。 
標準的な予習時間 
 3~5時間/週

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  20%  授業での発言状況,レポートの提出の有無,提出されたレポートの内容,欠席状況等を考慮する。 
期末試験  80%   期末試験においては,刑事訴訟法の重要な論点が含まれた事案を素材とした事例問題により,具体的な事例に対する問題処理能力を試す。解釈能力及び適用能力の双方ともに重視する。試験範囲は,刑訴法の全体に及ぶ。 

<テキスト/Textbook>

三井誠 編  『判例教材 刑事訴訟法』第5版  (東京大学出版会、2015)   
 授業で用いるものであるので,必ず用意しておくこと。 

 

井上正仁・大澤裕・川出敏裕 編  『刑事訴訟法判例百選』第10版  (有斐閣、2017)

 

<参考文献/Reference Book>

井上正仁・酒巻匡 編  『刑事訴訟法の争点』(有斐閣、2013)
 

酒巻匡  『刑事訴訟法』(有斐閣、2015)
 

宇藤崇・松田岳士・堀江慎司  『LEGAL QUEST 刑事訴訟法』第2版 (有斐閣、2018)
 

古江賴隆  『事例演習刑事訴訟法』第2版 (有斐閣、2015)
 

 

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