シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△情報サービス研究Ⅲ (児童サービス論)
Study on Information Services III -Library Services for Children-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  井上 靖代

<概要/Course Content Summary>

 このクラスでは,公共図書館・学校図書館に関連して未成年を対象とする図書館活動及び関連する社会活動での多様な課題をとりあげ,議論していく。特に学齢期児童生徒や10代若者の知的自由に関する議論を中心として考えていきたい。事例研究を中心として授業をすすめていく。日本での事例が中心になるが,英語圏特に米国の図書館での事例を比較として含めていくので,英語文献読解も必要となる。

<到達目標/Goals,Aims>

 受講者が図書館という「場」と子どもとをキーワードにして,地域社会における課題を認識し,自分の考えを具体的な事例や数値を活用しながら,他者にわかりやすくプレゼンテーションができるようになること。 
 特に,図書館員や図書館に関わる法政策担当者(行政や議員など),地域住民(保護者など),団体組織(児童・10代の若者への図書館サービスにクレームをつける団体組織など)に積極的に対応できる知識とプレゼン力を可能にする力を獲得できるようになること。 
 受講生がそれぞれ児童・YAサービス分野で課題を設定し,公表できるレベルの論文を作成できることを最終的な到達目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 「読書指導と読書支援 読解力とは何か」 
-公共図書館・学校図書館での児童サービスを概観すると同時に,受講者の認識をはかる。議論点の提示。 
-「読書」とは何か。図書館での子ども向け活動の意義と目的・使命などについて考える。 
-児童・YA図書館活動形成に必要なこととその意義・目的を整理して確認する。 
-読書指導と読書支援の違いはあるのか,その目的や目標等を検討する。 
※具体的な方向性は受講者との話し合いで決定する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献;※『図書館ハンドブック第6 版』p 2~32 
CA1638 - 研究文献レビュー:子どもへの読書支援と図書館サービス カレントアウェアネスNo.293 2007年9月20日 http://current.ndl.go.jp/ca1638 
 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 「児童司書の専門性 海外との比較で考える」 
-図書館における児童向けサービス活動の担当者である司書に求められる専門性について考える。 
 調査研究手法を検討する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) -IFLA Guidelines for Library Services to Children aged 0-18 / revised version 2018 
https://www.ifla.org/publications/node/67343?og=51 
-ALA/Association For Library Service to Children http://www.ala.org/alsc/ 
-Professional Tools for Librarians Serving Youth 
http://www.ala.org/alsc/publications-resources/professional-tools 
-ALA/American Association of School Librarians http://www.ala.org/aasl/ 
-National School Library Standard https://standards.aasl.org/ 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 「歴史研究手法」 
子どもの読書環境を考える。図書館における児童YA活動/担当者の史的検討。 
(授業時間外の学習/ Assignments) ・汐崎順子著 『児童サービスの歴史:戦後日本の公立図書館における児童サービスの発展』(創元社,2009) 
・『児童図書館のあゆみ:児童図書館研究会50年史』教育史料出版会,2004 
・松岡享子『子どもと本』岩波書店(岩波新書),2015 
(実施回/ Week) 第4回 
 
(内容/ Contents) 「歴史研究手法-児童図書館史(1)」 
子どもの図書館でのサービス活動/担当者の史的検討。小河内芳子,アン・キャロリン・ムーア,メイベル・ウィリアムなど。ほかにどのような図書館司書が過去に活躍していたのか? 
(授業時間外の学習/ Assignments) Who's Who in library sceinceや人名事典などで確認しておく。 
 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 「歴史研究手法-児童図書館史(2)」 
子ども向け資料出版と図書館資料選択。乳幼児向け図書館資料提供とサービス,10代向け図書館資料提供とサービス,などの展開。近代以降の日本における児童図書館発達史を概観する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) ・汐崎順子著 『児童サービスの歴史:戦後日本の公立図書館における児童サービスの発展』(創元社,2009) 
・『児童図書館のあゆみ:児童図書館研究会50年史』教育史料出版会,2004 
・松岡享子『子どもと本』岩波書店(岩波新書),2015 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 「歴史研究手法-児童図書館史(3)」 
英語圏での未成年者向け図書館活動の歴史的変遷 
 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) HathiTrustで公開されている 
Who's Whoなどで確認する。 
(実施回/ Week) 第7回 
 
(内容/ Contents) 「歴史研究手法-児童図書館史(4)」 
受講生による資料を読んでの発表・議論。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は児童YA図書館サービス関連の人物あるいはテーマをとりあげて発表する準備をしておく。 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 「歴史研究手法-児童図書館史(5)」 
受講生による資料を読んでの発表・議論。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は児童YA図書館サービス関連の人物あるいはテーマをとりあげて発表する準備をしておく。 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 「統計数値分析手法(1)」 
不読者と読解力低下の関係性について検討。ゲームやスマホの拡大が不読者層の増加になるのか,電子書籍等が読者拡大になるのか,などを検討するために,基礎的な数値を確認する。仮定として何が考えられるか。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各種読書調査(10月末あたりに各新聞社などでとりあげられる)やPISA調査の結果を調べておく。そのほか未成年者の社会行動等についての統計調査を調べておく。 
(実施回/ Week) 第10回 
 
(内容/ Contents) 「統計数値分析手法(2)」 
図書館と読書活動と関わりについて数値的に確認していく。仮定を設定する。未成年者層に対する図書館の目的と実務の実効性を数値として立証できるか? 
(授業時間外の学習/ Assignments) 国立青少年教育振興機構http://www.niye.go.jp/youth/book/document/ 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 「統計数値分析手法(3)」 
図書館と読書活動と関わりについて数値的に確認していく。特にAlternative School(フリースクールや少年院など)での図書館の貢献やUnderservedと呼ばれる,非日本語を母語とする子どもたちや図書館利用に障害のある子どもたち,LGBTQの子どもたちなどについて検討する。実態を把握するために統計数値から検討する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は各種統計調査を検索し,把握しておくほか,事例を新聞や雑誌記事等から見つけて確認しておく。 
(実施回/ Week) 第12回 
 
(内容/ Contents) 「統計数値分析手法(4)」 
図書館と読書活動と関わりについて数値的に確認していく。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は各自で調べた統計調査結果を元に議論する準備をしておく。 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 「統計数値分析手法(5)」 
図書館と読書活動と関わりについて数値的に確認していく。各受講生の調査をもとに議論する。既存の調査統計以外にどのような調査が必要か。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は各自で調べた統計調査結果を元に議論する準備をしておく。 
 
 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 「歴史研究手法と統計数値分析手法」 
それぞれの研究手法の利点と欠点をふまえたうえで,各自のテーマによる調査研究の実際を検討する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は意見・考えをまとめ報告してもらうので,準備をしておく。 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 「まとめ」児童サービス担当司書と子ども向け資料についての意義と目的,目標そして評価等について確認し,政策提言できることは何かを考える。 
➜各受講生によるまとめを報告し議論する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各受講生は意見・考えをまとめ報告してもらうので,準備をしておく。 

図書館司書としての基礎知識があるかどうかによって,授業内容について理解できるかどうかのレベルが異なるので,受講者と相談の結果,授業計画を変更する可能性がある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  15%  出席は基本となる。1/3以上の欠席は科目放棄とみなす。 
期末レポート試験・論文  35%  論文作成ルール(Chicago Manualの日本語版など)に従った形式のレポートを基本的に評価対象とする。 
クラスで発表など  25%  積極的に事例を調査し論点を整理し,報告できているかどうか。 
クラスへの貢献度  25%  受講生間での事例についての議論に積極的に発言し,意見を述べられているかどうか。 

各受講生が積極的に授業活動に参加したか否かを重要とする。

<参考文献/Reference Book>

  『図書館ハンドブック第6版補訂2版』第6班補訂2版 (日本図書館協会、2016)
 

松岡享子  『子どもと本』(岩波書店(岩波新書)、2015)
 

鳥越信編  『はじめて学ぶ日本児童文学史』(ミネルヴァ書房、2001)
 

汐崎順子  『児童サービスの歴史:戦後日本の公立図書館における児童サービスの発展』(創元社、2009)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業の2回目で参考文献リストを配布する

<参照URL/URL>

日本図書館協会図書館の自由委員会 
 
文部科学省「子どもの読書活動推進に関するページ」 
 
国際図書館連盟(IFLA)情報への自由なアクセスと表現の自由に関する委員会(FAIFE) 
英語 
CA1638 - 研究文献レビュー:子どもへの読書支援と図書館サービス カレントアウェアネスNo.293 2007年9月20日 
 
IFLA Guidelines for Library Services to Children aged 0-18 / revised version 2018 
英語のみ 
Association For Library Service to Children/Professional Tools for Librarians Serving Youth  
英語のみ 
American Association of School Librarians/National School Library Standard 
英語のみ 
学校図書館(文部科学省サイト) 
 
国立青少年教育振興機構 
 
文部科学省 子ども読書の情報館 
 
子どもの読書活動推進ホームページ 
 

<備考/Remarks>

授業計画の変更にともなって必読・参考資料文献が変わる可能性がある。2回目の授業で詳しい参考資料を配布する。 

 

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