シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


31180205 

△コミュニティデザイン論研究
Study on Community-Design
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

山口 洋典 髙田 光雄 渥美 公秀 弘本 由香里
川中 大輔 新川 達郎

<概要/Course Content Summary>

 人口減少・少子高齢化や,グローバリゼーションの進行とともに,貧困や格差の拡大,社会的排除をはじめ,地域にさまざまな軋みが生じている。大都市圏でも地方都市や町村部でも,地域の活力を回復していくために,かつて高度経済成長期を支えた地域・社会デザインの見直しが喫緊の課題となり,コンパクトシティ化やITCの活用,住民自治組織の再編,地域の課題解決に向けた雇用開発・定住促進など,地方創生を謳う取り組みも全国各地で試みられている。こうした文脈のなかで,近年「コミュニティ・デザイン」というキーワードが盛んに用いられている。 
一方,2011年に発生した東日本大震災と福島原発事故では,被災者・被災地域が直面する住生活の再建とふるさとの再生の二つの大きな課題の狭間で,改めてコミュニティの持続可能性やレジリエンスとは何かが強く問われている。他の災害被災地はもちろんのこと,現代社会に通底する問題として向き合っていく必要がある。 
本講義では,社会・経済・政治状況の変化のなかで,近年顕著に見られるコミュニティ・デザインへの期待の膨張と批判の両面に対して,まず背景にある構造的な問題を,社会の軋みを切り口に横断的な視座で捉え直し,これらの問題に向き合う最前線の研究・実践に触れ,論点を共有する。政策科学,社会学,減災・人間科学,建築・都市計画学等の知見の交流によって,コミュニティの多義的な性格を前提に,これからのコミュニティ・デザインに求められる役割や,目を背けてはならない要素について認識を新たにし,地域・社会に関わるアクティブな知を獲得することを目的とする。 
この場を通して,受講生と多分野の実践者・研究者が批判的かつ建設的な議論を交え,実践と理論をつなぐ講義形式とすることで,社会の構造的問題に対してローカルなコミュニティ・デザインがいかにアプローチしていくかを講究する。そのことによって,コミュニティ・デザインをめぐる知が多分野・多地域での研究・実践と地域・社会の発展に貢献していくことを目指す。

<到達目標/Goals,Aims>

本講義では,社会・経済・政治状況の変化のなかで,近年顕著に見られるコミュニティ・デザインへの期待の膨張と批判の両面に対して,まず背景にある構造的な問題を,社会の軋みを切り口に,歴史的・横断的な視座で捉え直す。そのうえで,受講生は,コミュニティの多義的な性格を前提に,論点を共有し,さまざまな政策や制度との関係も念頭に議論を重ねる。政策科学,社会学,減災・人間科学,建築・都市計画学等の知見の交流によって,これからのコミュニティ・デザインに求められる役割や,目を背けてはならない要素について認識を新たにし,地域・社会に関わるアクティブな知を獲得することを目的とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) オープニングセッション(コースオリエンテーション) 
(授業の趣旨,組み立てと進め方の説明及び全教員からの発題,受講生の関心の提示) 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストを読み込んでおくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) リファレンシャルレクチャー:まちづくり研究の視点からコミュニティ・デザインを考える軸を示す  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストの該当箇所を読み込んでおくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) アプローチ ① 潜在的難民の視点から,コミュニティ・デザインを問いなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:災害被災者の救援について調べておくこと(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) アプローチ ② グループ・ダイナミックスと災害の視点から,コミュニティ・デザインを問いなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストを読みこんでおくこと,論点整理を各自しておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) アプローチ ③ 断絶を越える表現の力から,コミュニティ・デザインを描きなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:世代間,都市農村間,貧富などの社会的亀裂について調べておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) アプローチ ④ 個人と社会の中間的領域の視点から,コミュニティ・デザインを描きなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストを読みこんでおくこと,論点整理を各自して課題発表準備(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) アプローチ ⑤ ウェルビーイングと生活文化の視点から,コミュニティ・デザインを描きなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストを読みこんでおくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) アプローチ ⑥ 教育格差是正と多文化共生の地域づくりの最前線から,コミュニティ・デザインを考えなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:多文化共生や教育格差について論点整理を各自準備(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) アプローチ ⑦ エンパシーとシティズンシップ教育の視点から,コミュニティ・デザインを考えなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:シチズンシップ教育の現状について調べておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) アプローチ ⑧ 地域再生と関係人口進化の最前線から,コミュニティ・デザインを考えなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:観光と交流人口・関係人口論について調べておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) アプローチ ⑨ 関係性づくりの協働的実践・活動理論から,コミュニティ・デザインを捉えなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストを読み込んでおくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) アプローチ ⑩ 市場と福祉がせめぎ合う特区の最前線からコミュニティ・デザインを捉えなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:釜ヶ崎の現状や課題について調べておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) アプローチ ⑪ ミクロとマクロの課題を結ぶ都市社会学の視点から,コミュニティ・デザインを捉えなおす  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:日本の貧困問題について調べておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) クロッシングレクチャー 
  政策科学とガバナンスの視点からコミュニティ・デザインを築きなおす 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:これまでの授業の復習をしておくこと(2時間程度) 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) クロージングセッション 
 受講生によるレポートのコンセプト発表と,ゲストコメンテーター及び講師によるコメント&ディスカッション 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:これまでの学修に基づいて課題レポートの準備をし,その口頭発表の準備をしておくこと(2時間程度) 

各講師が担当するテーマについて,それぞれの専門性をいかした論点解説と参考文献の提示等を行うとともに,各テーマごとに受講生代表1人から10分程度の問題提起や関連情報の提供などを求める。論点を共有したうえで,最前線で研究・実践に取り組むゲスト講師のレクチャーとディスカッションを通し,社会の構造的問題に対してコミュニティ・デザインがいかにアプローチしていくかを講究する。なお,第9講,第10講は全講師によるディスカッション形式とする。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  40%  授業時の討論への積極的参加を評価する 
期末レポート試験・論文  30%  コミュニティ・デザインを主体的にどのように構築していくかという視点がレポート作成の基本的視点となる。 
クラスで発表など  30%  ゲストスピーカ-の講義から,その主題を適切に把握し,それを踏まえたコミュニティ・デザインの論点を提示する必要がある。 

授業への参加,特に討論の活発化への貢献を重視する。

<テキスト/Textbook>

コミュニティ・デザイン論研究会編  『「コミュニティ・デザイン論研究」読本』初版  (大阪ガスエネルギー文化研究所、2016)

 

テキストは事前に配布する

<参考文献/Reference Book>

上町台地から地域づくりを考える会編  『「地域を活かすつながりのデザイン」-大阪・上町台地の現場から-』初版 (創元社、2009)
 

各講師が担当するテーマについて,追加して関連する文献の提示等を行う。

<備考/Remarks>

本講義は,同志社大学大学院総合政策科学研究科と大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所が教育研究協力協定を結んで開設しているものである。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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