シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10952805-051 

△児童サービス論-51
Library Services for Children-51
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  井上 靖代

<概要/Course Content Summary>

(1)図書館サービス対象者である子どもやヤングアダルト(YA)について知る,(2)図書館資料としての子どもやYA向け資料について知る,(3)図書館サービスとして子どもやYAと資料とを結びつける活動の企画や実施,評価方法について知る,(4)地域や学校などとの協働活動について知る,ことを学習する。 
 担当者は,堺市立図書館やアーリントン図書館(米国)で司書として勤務した経験を有し,その経験を活かして子どもやYAなどにわたる児童サービスに関する解説を幅広く行う。

<到達目標/Goals,Aims>

子どもやYAと称せられる10代の図書館利用者(潜在的利用者)に対する戦略的で効果をあげうるべき図書館プログラムを企画・実施し,評価に耐えうる内容を考えられる専門職としての児童・YA担当司書を養成することを目的とする。さらに幅広く,多くの児童書やYA向け資料を読み,評価し,子どもたちに伝えられるようになることを目標とする。 
 なお,当科目は図書館司書資格取得のための必修科目であるが,同時に学校図書館司書として勤務するために必要な知識・技術を学習する科目ともなっている。小学校から高校の教師に求められる児童生徒の読解力養成指導のための基礎知識ともなり,また,出版社や児童文学作家や絵本画家をめざす者にとっても基礎的な知識を得る内容となる。したがって,司書資格取得を目的としていない学生の受講を認めるが,この科目は基本的に図書館司書・学校司書養成科目であることを認識しておいてほしい。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (1)(1)図書館の意義と使命。民主主義社会・地域社会と図書館の役割。図書館サービスとは何か。  (内容/ Contents) 図書館概論と同じく図書館の意義と目的・使命について確認したうえ,児童サービスの位置づけについて確認する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 「図書館法第3条」「図書館の設置及び運営上の望ましい基準(文部科学省)」を読んでおくこと。 
Unit0,1~6 
 
(実施回/ Week) (2)子どもの発達と読書。読書と「読・書」  (内容/ Contents) サービス対象者の把握。公共図書館での児童・YAサービスとは何か,について理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 子どもと子どもをとりまく社会環境についての部分を読んでおく。 
 Unit1~6 
(実施回/ Week) (3)図書館資料;資料選択のポイント(フィクション) 絵本  (内容/ Contents) 乳児から学齢期児童向けの絵本と高校生以上大人向けのアート絵本との違いについて把握。  (授業時間外の学習/ Assignments) く読まれている絵本やあなた好きな絵本が,乳幼児の発達段階に則したものかどうかを批判的に読み直してください。Unit7~8,15~17 
(実施回/ Week) (4)図書館資料;資料選択のポイント(フィクション) 児童書からYA本まで   (内容/ Contents)  学齢期から中高生向けの読み物を図書館でどう選択していくか。  (授業時間外の学習/ Assignments) 学齢期から10代の発達段階や社会環境などを考えたテーマの読み物は何かを考えてリストを作成しておいてください。演習でブックトークしてもらいます。 
 Unit9~14,15~17 
 
(実施回/ Week) (5)図書館資料;資料選択のポイント(ノンフィクション,知識の本,学習資料,など。  (内容/ Contents)  学齢期から中高生では学校の課題で調査研究が求められる。議論するためには裏付けとなるデータや事例が必要となる。どのような資料を選び提供するのか。図書館としての選択ポイントを把握する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小学校から高校までの教科書を読んで,現状での学習単元を確認しておく。また,新聞雑誌記事DBで何が話題になっているかも確認しておく。 
Unit 11~13,15~17,19~20,43~45 
 
(実施回/ Week) (6)小学校高学年から中高生を対象としての資料紹介(1) <口頭発表→課題④>  (内容/ Contents) ブックトークの実践ー図書館員として何を選ぶのか?  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業中に各自ひとりずつ紹介してもらうので,紹介する本(最初の1冊)を準備しておく。 
 Unit 32,18~22 
 
(実施回/ Week) (7)小学校高学年から中高生を対象としての資料紹介(2) <口頭発表→課題⑤>  (内容/ Contents) ブックトークの実践ー図書館員として何を選ぶのか?  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業中に各自ひとりずつ紹介してもらうので,紹介する本を準備しておく。 
 Unit 32,18~22 
 
(実施回/ Week) (8)児童・YAサービスの業務  (内容/ Contents) 公共図書館での児童向け・10代向け・障害児向け・外国人児童向け・不登校児や施設収容児などへの図書館サービスを把握する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 公共図書館HPを検索して,現場でどのような児童YAサービスをおこなっているか調査しておく。 
 Unit23~29,34~36,37~39,40~42 
 
(実施回/ Week) (9)学校・学校図書館への支援-学習支援,情報提供・資料提供,探究学習や課題解決型学習の支援  (内容/ Contents) パスファインダーや資料リスト等を準備して学校支援をおこなう手段について,把握し,実践できること。  (授業時間外の学習/ Assignments) 公共図書館での学校・学校図書館支援の実態を調べておく。あなたの出身校(小・中・高)は公共図書館の支援を受けていましたか? 
「学校図書館法」「学校図書館法施行規則」 
Unit43~45,32,OptionF 
 
(実施回/ Week) (10)アウトリーチ・サービス(特別支援の必要な子どもたちへのサービス,地域との連携など)  (内容/ Contents) 特別な配慮が必要な子どもやYAを対象にしたサービスの現状と課題について理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 公共図書館HPを検索して,特別な配慮を必要としている子どもたちにどのような活動を実施しているか確認しておく。 
“読書バリアフリー法”(覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(2019)) 
 Unit40~42,OptionU 
 
(実施回/ Week) (11)子どもたちの知的自由と図書館活動をめぐる諸問題(1)<授業内演習>  (内容/ Contents) 子どもにとって「よくない」とされて,検閲されたり,図書館にクレームがくることは多い。その実例と課題について理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 「図書館の自由に関する宣言」 
クレームがつけられた子ども・UA向け図書を読み,議論点を整理しておく。新聞雑誌記事などを参考にする。 
(実施回/ Week) (12)子どもたちの知的自由と図書館活動をめぐる諸問題(2)<授業内演習 →課題⑨>  (内容/ Contents) 子どもにとって「よくない」とされて,検閲されたり,図書館にクレームがきたりすることは多い。その実例と課題について理解する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布した資料リストのなかで,議論になった本を読んで検討する。 
(実施回/ Week) (13)児童YAサービス業務計画の策定と実施  (内容/ Contents) 資料を子どもたちの手に伝えるために現場の図書館ではどのような活動を計画化しているかを把握する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 図書館法以外に法政策として,児童YA向けの読書振興や情報検索など,何があるかを調査しておく。 
Unit24 
 
(実施回/ Week) (14)児童YAサービス業務計画の評価 
 
(内容/ Contents) 資料を子どもたちの手に伝えるために現場の図書館ではどのような活動を計画化しているかを把握する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 図書館法以外に法政策として,児童YA向けの読書振興や情報検索など,何があるかを調査しておく。 
Unit24 
 
(実施回/ Week) (15)まとめ 
最終課題作成・提出 
 
(内容/ Contents) 児童YAサービスに関して,資料・利用者・担当者・場所などについて再確認する。  (授業時間外の学習/ Assignments)  

授業内容進度によっては授業計画を変更する可能性がある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

課題(1)  60%  複数の全課題提出が評価対象。内容による。提出のみでは可としない。 
課題(2)授業内演習  40%  「ブックトーク」は対象学年向けに適切に選んでいるかどうか,具体的に中高生が読む気になる,あるいは意外性のあるテーマにそった選択であったかどうか,プレゼンは魅力的であったかどうか,などが評価ポイントとなる。受講生相互評価を中心とする。 
授業内試験     
 

課題や演習課題をすべて提出し,テストを受けていることを評価対象とします。ただし,すべて参加したからといって可になるわけではないのはいうまでもありません。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
35 22.9 42.9 25.7 2.9 5.7 0.0 2.7 *

<テキスト/Textbook>

堀川照代編著  『児童サービス論 新訂版-JLA図書館情報学テキストシリーズ III 6-』 (日本図書館協会、2020年3月) ISBN:978-4-8204-1315-8 

 

<参考文献/Reference Book>

杉岡和弘著  『子ども図書館をつくる』(勁草書房、2005)ISBN:9784326098309 
 

日本図書館協会児童青少年委員会児童図書館サービス編集委員会編  『児童図書館サービス 1 運営・サービス論-JLA図書館実践シリーズ 18-』(日本図書館協会、2011)ISBN:978-4-8204-1106-2 
 

日本図書館協会児童青少年委員会児童図書館サービス編集委員会編  『児童図書館サービス 2 児童資料・資料組織論-JLA図書館実践シリーズ 19-』(日本図書館協会、2011)ISBN:978-4-8204-1107-9 
 

児童図書館研究会編  『年報こどもの図書館 2012-2016:2017年版』(日本図書館協会、2018)ISBN:978-4-8204-1713-2 2012年から5年間の児童図書館の動き,児童サービスの進展,子ども読書活動,児童図書出版の動向などをまとめた一冊。今回は特に東日本大震災被災地からのこの5年の報告,図書館利用に障がいのある子どもへのサービスを取り上げています。 
 

汐崎順子著  『児童サービスの歴史:戦後日本の公立図書館における児童サービスの発展』(創元社、2007)ISBN:9784422120362 
 

リリアン・スミス編  『児童文学論』(岩波書店、1979)ISBN:9784006022822 岩波文庫版で復刊。英米の児童図書館員や児童文学研究入門者にとっての基本的研究書。少なくともこの本で例としてあげられている児童文学はすべて実際に読んでおくことがのぞましいと言われる。 
 

鳥越信編  『はじめて学ぶ日本児童文学史』(ミネルヴァ書房、2001)ISBN:9784623032525 
 

鳥越信編  『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅰ絵入本から画帖・絵ばなしまで』(ミネルヴァ書房、2001)ISBN:9784623033157 
 

鳥越信編  『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅱ15年戦争下の絵本』(ミネルヴァ書房、2002)ISBN:9784623033164 
 

鳥越信編  『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅲ戦後絵本の歩みと展望』(ミネルヴァ書房、2002)ISBN:9784623033171 
 

日本図書館協会図書館の自由に関する調査委員会編  『子どもの権利と読む自由-図書館と自由第13集-』(日本図書館協会、1994)ISBN:9784820494010 
 

 

 

 

 

<参照URL/URL>

日本図書館協会児童・青少年委員会 
 
全国学校図書館協議会 
 
図書館の設置及び運営上の望ましい基準(文部科学省) 
 
学校図書館(文部科学省サイト 
 
 「図書館の自由に関する宣言」 
 
子どもの読書活動の推進に関する法律 
 
文字・活字文化振興法
 
青少年健全育成(文部科学省) 
 
国立青少年教育振興機構
 
子どもの権利条約(ユニセフ) 
 
児童の権利に関する条約(文部科学省) 
 
児童憲章(昭和26(1951)年制定)
 
東京都青少年の健全な育成に関する条例
 
 

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