シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△漢文古文講読ⅡB(1)
Readings in Chinese and Japanese Classics IIB (1)
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  光川 康雄

<概要/Course Content Summary>

春学期の「漢文古文講読1」受講をふまえて,漢文にも慣れてもらおうという史料講読です。 
日本の教育やアジア(中国・韓国)の教育に興味がある人向けの初歩的な漢文・古文(主に漢文)の史料講読を主とした教育文化史(日本および東洋)の基礎的な史料による演習です。 
前近代(古代~近世)の日本の教育について考察することを主に,ほぼ時代順に,それに関係する日本(東洋「古代中国」)教育史関係の史料を読みすすめるとともに,史料読解演習を通して受講生諸君と一緒に日本人の教育活動や“学び”という概念を深く探求していきたいと考えています。そのためにも,こちらも真剣な講義への準備をおこないますが,学生諸君も知的好奇心を持って積極的に講義へ参加していただき,お互いに実りの多い対話ができることを期待しています。 
具体的には,授業計画に掲げたテーマなどで,近世の代表的な教育思想家などの著作(『自然真営道』・『統道真伝』),さらに中世の『梁塵秘抄』や「お伽草子」・往来物,宣教師の本国への報告書,古代の「憲法十七条」・『学令』や『論語』・『孟子』までの史料の中からそのエッセンスをとりあげる予定です。これらの史料を読解することを通して,各時代における教育の理念についての考察を深めていきます。特に,古代(儒教思想の受容,聖徳太子信仰の変遷などの仏教思想など)から中世・近世(子育てと幼児教育観,キリシタンの学校,さらに儒学の貝原益軒や特異な思想家の安藤昌益などに見られる学問の方法やあり方)にいたる前近代の日本の学問("学び")の特質を顕著に表明していると考えられる史料についての理解は,日本教育史の特徴をつかむうえでも有益です。最後に,仏教・儒教を主とする東アジア世界の一部としての“日本”の位置づけを確認したいと考えています。それぞれの史料についての内容理解度(日本教育史上の位置づけ,時代背景や思想の内容など)を相互にさらに深く把握・吟味していくためにメンバー全員の質疑応答が不可欠です。史料講読・演習形式の講義は学生諸君で決まる部分が大きいのです。一緒に頑張りましょう! 
資料提示型になります。教科書を熟読してください。

<到達目標/Goals,Aims>

教育文化学(日本教育史)の重要史料(漢文・古文)のエッセンスを読解できるようになる。 
その時代背景や思想などを論理的に把握していけるような方法論と技術の一端をつかめるようになる。 
史料をどう活用して仮説を立証するのかといった技能を身につけられるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) イントロダクション-教育文化学科の漢文・古文講読を 
学ぶにあたって,自己紹介 
(授業時間外の学習/ Assignments) 日本の教育の歴史を『本』などで復習しておいてくださ 
い。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本教育文化史の時代区分  (授業時間外の学習/ Assignments) 日本教育の大きな流れと各時代の主な特徴を理解して 
ください。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 聖徳太子(憲法十七条など)および太子信仰と古代教育 
文化史 DVD 鑑賞など 
(授業時間外の学習/ Assignments) 仏教の受容とそれに伴う教育文化について考察を深め 
ていきましょう。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 古代の教育文化史に関する史料講読(一例としては聖徳 
太子の文化・宗教関係など)−演習 
(授業時間外の学習/ Assignments) 聖徳太子や渡来人らの学びについて考えてみましょう。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 古代の教育文化史に関する史料講読(一例としては学 
令)−演習 
(授業時間外の学習/ Assignments) 大学寮などの古代貴族らの教育について,考察を深めて 
いきましょう。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中国(・朝鮮)の教育文化史に関する史料講読(『論語』・ 
『孟子』など)−演習 
(授業時間外の学習/ Assignments) 中国儒教や朝鮮儒教と日本における受容などと,それら 
に共通する漢字文化について考察を加えましょう。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 『論語』・『孟子』などの四書五経と古代~中・近世の 
教育文化史 ゲストスピーカーによる中国語による『論 
語』音読など 
(授業時間外の学習/ Assignments) 中国儒教文献を中心に,武士の受容と中世前後の日本の 
教育文化について考えてみましょう。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 『論語』・『孟子』などの中国の古典と,日本の中世教 
育文化への影響 DVD 鑑賞など 
(授業時間外の学習/ Assignments) 中国の古典などを中心に,公家と武士の融合による中世 
教育文化について考えましょう。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世の教育文化史に関する史料講読(往来物,御伽草 
子,世阿弥の著作などClassics)−演習 
(授業時間外の学習/ Assignments) 教育内容を軸に子ども時代からの随年教法に考察を加 
える。 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 中世の教育文化史に関する史料講読(ルイス・フロイス 
ら宣教師の日本報告書などに見えるキリシタンの学校 
教育などClassics)−演習 
(授業時間外の学習/ Assignments) 広範な階層への教育文化の広がりについて,さまざまな 
『本』を読みましょう。 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 近世の教育思想家らの「著作」および武家家訓などの読 
み方と近世教育文化史(貝原益軒『和俗童子訓』など) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 為政者(エリート)としての武士の学びについて,近世 
教育文化史から何かを把握していこう。 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 『論語』など四書五経の解釈と,近世の教育文化史に関 
する史料講読−演習(儒学者の『論語』注釈書など) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 儒学(漢学)などを中心に江戸前期の教育文化につい 
て,その特徴を考えていこう。 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 近世の教育文化史に関する史料講読(安藤昌益『自然真 
営道』・『統道真伝』など−演習 
(授業時間外の学習/ Assignments) さまざまな学問・思想を軸に江戸後期の教育文化につい 
て,その特徴を把握できるように努めて欲しい。 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 半期間の講義・史料講読の方法論の整理とそれらの講評  (授業時間外の学習/ Assignments) 各時代の教育文化の特徴を理解すると共に,自分の興味・関心があるテーマの『本』を読みましょう。 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 総括討論・質疑応答  (授業時間外の学習/ Assignments) 期末筆記試験対策の準備 

受講生諸君の要望によっては,1 つのテーマを2~3 回にまたがって取り扱ったり,他の類似の人物や「著作」・事項などをテーマに加えていくと共に,それをとりあげる用意がある。また,中国大陸や朝鮮半島と日本(倭)との文化交流に広く目を向けて考えてゆきたいと考えている。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  30%  授業に出席するのは当然であるが,その中で質問や応答,発表や討論への積極的な発言をもとめ,総合的に評価する。 
期末筆記試験  70%  講読した史料講読に関する予習復習を確認・評価するための解釈(白文などの訓読)・論述形式などの筆記試験。 
クラスを明るく楽しい雰囲気に盛り上げる発言や行動は大歓迎。演習への積極的な姿勢の取り組みを高く評価する。単に座ってだけいるのではなく,演習の一員であることを忘れないで欲しい。遅刻は欠席に準じて扱うし,無断欠席はできるだけ避けて欲しい。 
取り扱う史料や時代やテーマなどは,受講生の希望に応じて変更する用意がある。 

<テキスト/Textbook>

  担当講師が作成し準備する配布プリント(資 
料類など),VTR・カセットテープなどによる。 

 

光川 康雄・中川 吉晴・井上 智義  『教育の原理-歴史・哲学・心理からのアプローチ-』 (樹村房、2016)

 

配布資料類は,原則として再配布しないので必ず全出席をめざしてください。万一の場合は,受講生(教育文化学科)の中にやさしい友人を見つけて確保してもらいましょう。

<参考文献/Reference Book>

狩谷 液斎編・東野治之校訂  『上宮聖徳法王帝説』(岩波書店)
 

安藤昌益  『統伝真伝』(岩波書店)その他,日本近世の教育・思想関係文献 
 

金谷 治編  『論語』(岩波書店)その他,中国古代の古典。岩波文庫のほか,講談社学術文庫や角川ソフィア文庫などの原典・古典類。 
 

安藤昌益  『自然真営道』(岩波書店)
 

笠井 昌昭ら編  『日本思想史辞典』(山川出版社、2009)沖田先生・光川らが執筆 
 

横田健一先生古稀記念会編  『日本書紀研究 第16冊』(塙書房、1987)光川らが執筆 
 

三保忠夫・三保サト子編  『雲州往来-享禄本研究と総索引 本文研究編-』(和泉書院)
 

桑田 忠親  『武士の家訓』(講談社)
 

山田 恵吾編著  『日本の教育文化史を学ぶ-時代・生活・学校-』(ミネルヴァ書房、2015)宮坂先生が執筆 
 

沖田 行司  『日本国民をつくった教育』(ミネルヴァ書房、2017)
 

鈴木 博雄編  『原典・解説 日本教育史』(図書文化)
 

沖田 行司・辻本 雅史編著  『教育社会史-新体系日本史16-』(山川出版社、2002)その他,高校(中学)時代に使っていた漢和辞典と古語辞典・国語辞典,このほか,講義を進めていくなかで随時掲示していきます。 
 

ルイス・フロイス  『ヨーロッパ文化と日本文化』(岩波書店)
 

舎人親王編舎人親王編・井上光貞ら校訂  『日本書紀(1)~(6)』(岩波書店)特に(4)(5) 
 

貝原益軒  『養生訓・和俗童子訓』(岩波書店)
 

1 冊でも多く参考書や古典を読みましょう。

<備考/Remarks>

講義(レクチャー)数回だけでなく,受講者の発表(オリエンテーション)や質問,さらに討論(ディスカッション)などを数多くおこなうことによってゼミナール形式の授業を構成する予定。なお,登録人数の多少によって,グループか個人かの発表形式は変動する。ただ,受講生諸君の全員にできる範囲で授業に参加して欲しいものである。 
講義時間の前後,週末などを利用して,以下の文化施設見学や民俗行事などの鑑賞なども予定している。京都市学校歴史博物館,京都国立博物館,平等院鳳凰堂,京都文化博物館,桂離宮,京都御苑,広隆寺,六角堂(頂法寺),藤樹書院,適塾,大阪市立博物館,大阪城,奈良国立博物館,東大寺,法隆寺,薬師寺,唐招提寺などの中から一つくらいを考えている。 

 

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