シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10952386 

△独書講読Ⅱ(2)
Readings in German II (2)
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  吉門 昌宏

<概要/Course Content Summary>

この講読では,ドイツにおける「社会教育 Sozialpädagogik」に焦点を当ててみたいと思います。若者は,様々な生活上の困難に直面します。それは家庭問題や友人関係,それに起因した悪癖への誘惑,さらに自身の学業や職業選択など社会生活のあらゆる場面に係わります。ドイツにあってはそうした自身を取り巻く社会状況への対応として,個人の自立と責任感の自覚を促し,各人が社会生活および公的生活に参加できるようにその諸能力の促進を図り,様々な生活上の困難に対処しうるような態度を養うことが,社会教育において強調されます。これは,ドイツの伝統的な教育論,人格形成を図ることを第一に考える人間形成論とは趣の異なるものですが,相応に長い歴史をもった教育観念となっています。 
 若者が直面する典型的な諸問題に加え,20世紀末以降,グローバル化の進展や新自由主義的な諸政策により,社会生活の不安定化,生活の個人化の昂進といったことが盛んに指摘され,若者はますます困難になりつつある社会状況に晒されるようになっています。この授業では,ドイツでの社会教育の基本的な考え方とその歴史的な変遷を辿り,今日,教育学が直面している問題がどこにあるのかということについても検討してゆけたらと思います。

<到達目標/Goals,Aims>

・ドイツ語の語学的能力を高めることで,教育にとどまらず,文化や歴史,社会についての知識と理解を深め,それを通して異文化を理解できる能力を養う。 
・授業で得た知識・理解を基に,自身の関心に従って文献を検索して情報を収集し,それをたしかな文章で表現できるようになること。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1  (内容/ Contents) ガイダンス - 今日のドイツ/ヨーロッパにおける教育の潮流と課題  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:初回時に配布した文献リストを参考にし,教育学の近時の潮流について確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) 2  (内容/ Contents) ドイツの教育学における用語の問題に関して - "Bildung"  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:初回時に配布したドイツ語のコピーを訳読し,ドイツにおける「教養」の捉え方について確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) 3  (内容/ Contents) ドイツの教育学における用語の問題に関して - "Erziehung"  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:授業で訳読したプリントを参考にして,「教養」と「教育」の別について確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) 4  (内容/ Contents) ドイツにおける教育史的展開  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:ドイツの教育史の概略を確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) 5  (内容/ Contents) 時代背景 - 20世紀末の社会的変容 - 新自由主義とグローバル化の進展  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:戦後ドイツの歴史の概略を確認してみること 
(実施回/ Week) 6  (内容/ Contents) テキストの訳読・・教育をめぐる新たな状況 - 生活の個人化  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:指示した段落を訳読し,単語を確認しておくこと(2時間)(以下,最終回まで同様) 
(実施回/ Week) 7  (内容/ Contents) テキストの訳読・・社会教育とソーシャルワーク  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 8  (内容/ Contents) テキストの訳読・・19世紀における社会教育の起こり  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 9  (内容/ Contents) テキストの訳読・・社会教育の歴史的変遷  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) テキストの訳読・・ペスタロッチの方法論  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) テキストの訳読・・ペスタロッチの人間学  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) テキストの訳読・・資本主義社会における労働と搾取に抗して  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) テキストの訳読・・福祉国家における自助原理  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) テキストの訳読・・社会政策としての社会教育  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) おわりに-21世紀の社会と教育  (授業時間外の学習/ Assignments)  

テキストの重要な個所については全訳し,それ以外のところは要約しつつ読み進めてゆくことにします。一回に読み進める分量は,それほど多くありません。初歩的な文法の確認も行いつつ授業を行います。なお,受講生の要望や語学力に応じて,テキスト,テーマの変更があり得ます。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

期末レポート試験・論文  50%  テキストの既読・未読個所の和訳文の作成。外国語の読解力と教育学への専門的理解の程度を評価する。 
授業内評価  50%  訳読の回数とその出来具合で評価する。 

<テキスト/Textbook>

Bönisch, Lothar(et al.)  『Sozialpädagogisches Denken-Wege zu einer Neubestimmun-』 (2005)

 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
Copyright(C) 2020 Doshisha University All Rights Reserved. 無断転載を禁止します。