シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△企業倫理・社会的責任特別研究
Special Research in Corporate Ethics and Social Responsibility
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  松岡 秀紀

<概要/Course Content Summary>

 グローバル化の進む中,企業倫理やCSR(企業の社会的責任)は企業にとって必須の課題となっている。またそれは,たんに企業だけに関係する課題ではなく,国際社会から地域社会,市民の消費生活に至るまで幅広い問題領域をカバーする課題となっている。すぐれた政策論の課題でもある。 
 CSRは単に社会や環境に「よいこと」をすることではない。いわゆる企業不祥事への対応のことでもない。気候変動や貧困・格差の問題をはじめ,この世界のさまざまな課題と深く関わりながら,CSRは企業の,あるいは政府,NPO/NGO,大学などを含め,あらゆる組織のあり方の問題である。 
 本講義では,誤解されがちで,ともすれば分かりにくい「CSR」を正確にトータルに理解し,自身の研究にも資することをめざす。その際,単に机上の知識としてだけでなく,企業やその他の組織が実際にどう取り組んでいるか,どのような課題に直面しているか,という視点から,インターネット上のさまざまな情報も参照・活用しながら,また現実の問題を取り上げた新聞記事なども参照しながら,さらにはさまざまな一次資料も参照するなどして,できる限り「生の」情報や素材を通して考える。数名のゲストスピーカーも招く予定である。 
 自身で「考える」とともに,講師と受講者,また受講者同士のコミュニケーションの中で知見の質を高めることを目指すため,授業は対話やディスカッション,ワークショップも取り入れながら講義形式で進める。過度の負担にならない程度の事前準備も必要となる。 
 なお,授業の進行の中で,さまざまな具体的資料を配布したり,ネット上の情報や動画を参照,視聴する機会が少なくなく,またディスカッションやワークショップの機会もあるが,障がいのある学生への合理的配慮が必要となった場合には,大学とも協議しながら適切な対応に努める。

<到達目標/Goals,Aims>

企業倫理やCSRをめぐるさまざまな現実と錯綜した議論の中で,自分なりにトータルな理解ができ,受講者それぞれの現在と未来の現場での実践に生かせるようになることを目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 「授業の概要と到達目標の共有」 
・今日の企業経営に強く求められる企業倫理と企業の社会的責任(CSR)に言及しながら,本講義の概要を説明する。 
・対話やディスカッション,発表,ワークショップなどを取り入れた進め方を説明し,本講座の内容と受講者の到達目標との共有を図る。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 研究課題を含む自己紹介の準備 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 「CSRと企業倫理」 
・CSRと企業倫理を概観し,CSRの基本を理解するとともに,企業倫理・コンプライアンスとの関係性を考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 「企業経営とは何か」 
・経営のよりどころとなる企業理念や経営哲学の重要性と必要性について,企業の事例を交えて考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 「企業倫理と組織ガバナンス」 
・企業倫理が問題となる企業不祥事に関連して,組織ガバナンスやコンプライアンスの問題について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 「CSRとSDGs」 
・国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を理解し,企業経営との関連性について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 「ISO26000とグローバルコンパクト」 
・代表的なCSR基準であるISO26000とグローバル・コンパクトを概観し,世界標準のCSRの共通言語について理解を深める。 
(授業時間外の学習/ Assignments) CSRレポート(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 「GRIとCSRレポーティング」 
・GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)の発行するサステナビリティ・レポーティング・ガイドラインについて理解を深め,CSRレポートの諸問題について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 「演習:CSRレポートを読み解く」 
・企業が発行するCSRレポートをポイントを押さえて読み解く方法を体得し,後半の授業への導入を図る。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 「グローバリゼーションとCSR」 
・サプライチェーンマネジメントなど,グローバリゼーションの中で企業に求められているCSR課題について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 「サプライチェーン上の諸問題」 
・資源や素材などの供給先(サプライチェーン)が地球規模に広がっているが,そこに発生している労働や環境などさまざまな問題について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 「ビジネスと人権」 
・CSRではかつてなく人権の取り組みが重要課題となっているが,具体的にどのようなことが課題となっており,企業はどう取り組もうとしているかを学ぶ。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 「演習:CSR課題の特定」 
・CSRの重要な要素である「デューディリジェンス」の第一歩であるCSR課題の「特定」を,ワークショップを通して体得する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 「NPO/NGO,政府組織等とCSR」 
・企業セクター以外にも重要な課題となりつつあるCSR(SR)について,NPO/NGO,政府組織,大学などに関連させて考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 「ソーシャルビジネスとCSV」 
・CSRに関連する流れとして,ソーシャルビジネスやCSV(Creating Shared Value)について考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) テキスト等の関連部分(授業の中で指示する)の通読など(1時間程度) 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 「総論」 
・CSRとは何か,持続可能性と企業価値の創造を目指す企業経営はいかにあるべきかについて総括的に考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 当初に設定した到達目標に対する自己評価を含め,受講を総括するレポートを作成(レポート執筆の準備にはかなりの時間を要する) 

受講者のバックグラウンドや到達目標,授業の進捗等により,大枠を超えない範囲で授業計画を変更することがある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  40%  ・授業での発言頻度と内容 
・ディスカッションの積極性と内容 
・事前準備の有無と内容 
期末レポート  60%  ・課題に対しての内容:40% 
・論理性:30% 
・独自性:30% 

<テキスト/Textbook>

菱山隆二  『倫理・コンプライアンスとCSR(第三版)』 ((株)経済法令研究会、2015年)

 

一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター  『人を大切に―人権から考えるCSRガイドブック(第三版)』 (一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター、2016年) ※市販されていないため,購入については授業の中で指示する。 

 

<参考文献/Reference Book>

必要に応じて授業の中で紹介する。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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