シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10702301-001 

△政策特殊講義Ⅰ-1 (公共性研究)
Advanced Policy Studies I-1 -Study on Publicness-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  今里 滋

<概要/Course Content Summary>

この科目では,「公共性」の次の側面について,論じていきます。 
(1)国家的公共性,とくに天皇制に由来する公共性について 
(2)「公共事業」にいう「公共」の意味とその現実態の批判的検討。 
(3)ユルゲン・ハーバーマスの「公共圏」概念を出発点に,現代における公共圏や公共空間の諸相の検討。 
(4)公共的価値としての「正義」,「公正」,「共通善」等についての検討。 
(5)公共財とサービスの供給における政府と民間の役割 

<到達目標/Goals,Aims>

①学生が,「公共性」の多面的性格について,認識し理解できるようになる。 
②公共事業の「公共」と5つの合理性の関連について,理解できるようになる。 
③「新しい公共」の概念とその現実態について,理解できるようになる。 
④正義論や公共哲学の基礎について,理解できるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 本講義の概要と進め方についての序論的説明。公共性論の類型についても言及する。  (授業時間外の学習/ Assignments) 下記参考文献のうち,齋藤『公共性』および稲葉『公共性論』に90分以上かけて目を通しておくこと。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 国家的公共性(1)天皇制の起源と発展  (授業時間外の学習/ Assignments) 事前に配布した資料を読んでおくとともに,下記参考文献の内,大川周明『二千六百年史』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 国家的公共性(2)明治国家と天皇制の復権  (授業時間外の学習/ Assignments) 白井聡『国体論』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 国家的公共性(3)国家的イデオロギーとしての「国体」  (授業時間外の学習/ Assignments) 立花隆『天皇と東大』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 国家的公共性(4)日本国憲法と新たな公共性としての「公共の福祉」  (授業時間外の学習/ Assignments) 笹田英司ほか『基本的人権の事件簿』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 国家的公共性(5)優生思想と障がい者の人権  (授業時間外の学習/ Assignments) ナチスの優生思想や日本の旧優生保護法について90分以上かけて調べておくこと。 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 公共事業論(1)蜂の巣城闘争の教訓  (授業時間外の学習/ Assignments) 松下竜一『砦に拠る』と東京新聞取材班『破綻国家の内幕』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 公共事業論(2)公共事業と政治  (授業時間外の学習/ Assignments) 広瀬『補助金と政権党』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 公共事業論(3)公共事業の合理性  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布する資料に目を通しておくこと。 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 公共事業論(4)市民的公共事業の可能性  (授業時間外の学習/ Assignments) 飯島博『市民型公共事業』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 公共空間の理論と動態論(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 橋場弦『丘のうえの民主政』やハーバーマスの著作に90分以上かけて目を通しておくこと。 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 公共空間の理論と動態論(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 星野英一『民法のすすめ』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 公共空間の理論と動態論(3)  (授業時間外の学習/ Assignments) 下記参考文献の内,吉田『インターネット空間の社会学』で,デジタル公共圏への理解を進め,いわゆるソーシャル・メディアによる公共圏構築の可能性について各自の見解を90分以上かけてまとめておくこと。 
 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 正義論と公共哲学(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 功利主義について調べた上で,その批判としてのロールズ『正義論』を90分以上かけて読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 正義論と公共哲学(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) サンデルとセンの著作に90分以上かけて目を通しておくこと。 

各回の授業内容は,必要に応じて,適宜変更することがある。なお,春学期に引き続き今学期も,コロナ禍未収束の状況に鑑み,当面ZOOMを使ったオンライン形式で授業を行うこととする。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

出席  40%  出席率60%以上を成績評価の条件とします。 
期末レポート試験・論文  60%  論述の構成力,論旨の明快さ,文献資料利用の適切性 

<参考文献/Reference Book>

稲葉振一郎  『「公共性」論-市民的公共性はユートピアか-』(NTT出版、2008)
 

ユルゲン・ハーバーマス  『公共性の構造転換-市民社会の一カテゴリーについての探究-』第2版 (未來社、1994)
 

マイケル・サンデル  『これからの「正義」の話をしよう-いまを生き延びるための哲学-』初版 (早川書房、2010)
 

アマルティア・セン  『合理的な愚か者-経済学=倫理学的探究-』(勁草書房、2006)
 

齋籐純一  『公共性』(岩波書店、2000)
 

手島 孝  『行政概念の省察』(学陽書房、1982)
 

松下竜一  『砦に拠る』(講談社、1982)
 

宇沢弘文  『「成田」とは何か-戦後日本の悲劇-』(岩波書店、1992)
 

ユルゲン・ハーバーマス  『コミュニケイション的行為の理論』(未來社、1985)
 

星野英一  『民法のすすめ』(岩波書店、1998)
 

吉田純  『インターネット空間の社会学-情報ネットワーク社会と公共圏-』(世界思想社、2000)
 

J・S・ミル 著 川名雄一郎&山本圭一郎 訳  『功利主義論』(京都大学学術出版会、2010)
 

ジョン・ロールズ 著 矢島鈞次 監訳  『正義論』(紀伊國屋書店、1979)
 

三島由紀夫  『文化防衛論』(筑摩書房、2006)
 

白井聡  『国体論-菊と星条旗-』(集英社、2018)
 

大川周明  『日本二千六百年史-昭和十四年作品-』(土曜社、2019)
 

立花隆  『天皇と東大Ⅰ~Ⅳ』(文藝春秋、2012)
 

笹田英司ほか  『基本的人権の事件簿』第5版 (有斐閣、2015)
 

東京新聞取材班  『破綻国家の内幕-公共事業,票とカネ,天下り利権の構造-』三版 (角川書店、2002)
 

広瀬道貞  『補助金と政権党』(朝日新聞社、1981)
 

飯島博  『市民型公共事業-霞ヶ浦アサザプロジェクト よみがえれアサザ咲く水辺 霞ヶ浦からの挑戦-』(総合出版、1999) ―― 
 

橋場弦  『丘のうえの民主政-古代アテネの実験-』(東京大学出版会、1997)
 

<備考/Remarks>

授業は弾力的に運用するので,実際の内容はシラバスと異なることがあります。 

 

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