シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10702211 

△観光政策
Tourism Policy
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  井口 貢

<概要/Course Content Summary>

「観光政策」と一言で言ってもいろいろな視座や視点が存在する。その理由の一つは,「観光学」という学問自体が学問として一つの確固たる体系があるわけではなく,また学問としての窓口への参入障壁が低いことに起因しているからであろう。そこで本講義では,「地域の文化資源(とりわけ,所与で常在の)を活用して,地域の福祉水準と幸福度を増進させるための公共政策」である「文化政策」の視座に軸足を置きながら,地域観光の在り方を考察していく。ただ,大教室での講義となるため,当然フィールドでの授業はできない故に,文献読解が中心である。まちへ出るためには,先ず書を読むことの大切さをと念じている。

<到達目標/Goals,Aims>

2003年1月の小泉首相(当時)による,いわゆる「観光立国宣言」以降,わが国では観光振興が一つのブームとなっている観がある。とりわけ,観光による経済効果に注目が集まり,自治体から国に至るまで,集客戦略が大きな目標に掲げられている現状は否定できない。しかし,観光の本義には経済効果のみではなく,地域の文化に対する波及効果としての,矜持をもった地域文化の再発見や新たな創造への期待などを内包していることを忘却してはならない。 
また,即興的に単なる経済効果のみを重視した地域観光は,早晩瓦解する。「直ぐに役に立つことは,直ぐに役に立たなくなる」という現実をしっかりと見極め,くらしのなかにしっかりと息づき,そして根付いてきた地域文化観光を見詰めて行きたい。 
以上上記したように,「文化政策」の立場から「観光政策」を考察することによって,学生のみなさんがそのことに気づき,将来場合によっては,地域社会のなかでその視点を忘れずに活躍できるようになって欲しい。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1  (内容/ Contents) オリエンテーション  (授業時間外の学習/ Assignments) テキスト事前読解(2時間程度) 
(実施回/ Week) 2  (内容/ Contents) 観光の本義とは  (授業時間外の学習/ Assignments) 第2講の復習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 3  (内容/ Contents) 文化政策としての観光政策  (授業時間外の学習/ Assignments) 第3講に関しての予習考察(2時間程度) 
(実施回/ Week) 4  (内容/ Contents) 柳田國男の地域観光論  (授業時間外の学習/ Assignments) 柳田の思想に関しての予習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 5  (内容/ Contents) 宮本常一の観光文化論(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 第4講の復習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 6  (内容/ Contents) 宮本常一の観光文化論(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 宮本の思想に関しての予習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 7  (内容/ Contents) 宮本常一の観光文化論(3)  (授業時間外の学習/ Assignments) 宮本観光文化論についての予習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 8  (内容/ Contents) オールタナティブ・ツーリズムという考え方  (授業時間外の学習/ Assignments) 柳田と宮本に関してのまとめと復習(3時間程度) 
(実施回/ Week) 9  (内容/ Contents) 司馬遼太郎『街道を行く』から読み解く地域観光論(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 司馬の街道論に関しての予習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 司馬遼太郎『街道を行く』から読み解く地域観光論(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 司馬の街道と観光に関わる論考についての予習と復習(3時間程度) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 司馬遼太郎『街道を行く』から読み解く地域観光論(3)  (授業時間外の学習/ Assignments) 司馬の観光論と具体的な地域についての自主的考察(2時間程度) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 白洲正子と観光文化の楽屋論  (授業時間外の学習/ Assignments) 白洲の近江文化論についての予習(2時間程度) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) ゲストスピーカーの講義(日程等の変更はあり得る)  (授業時間外の学習/ Assignments) 特別講義に関わるレポート作成(3時間程度) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) まとめのレポート  (授業時間外の学習/ Assignments) まとめのレポート作成予習(3時間程度) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 前回の解題  (授業時間外の学習/ Assignments) 全体のまとめ学習(3時間程度) 

中間レポートの日程の変更はあり得る。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  15%  私語等は厳しく対応する。 
小レポート  15%  積極的に考えまとめているか否か。 
提出物  10%  自主レポート 
期末試験  60%  創造的答案が作成できているか否か。 

期末テストにおいては,創造性ある答案を大きく評価する。自主レポートは,意欲を評価する任意のものである。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
378 67.2 11.4 6.1 9.5 5.8 0.0 3.2

<テキスト/Textbook>

井口貢  『反・観光学』 (ナカニシヤ出版、2018年) 生協書籍部 

 

<参考文献/Reference Book>

井口貢編著  『観光学事始め』(法律文化社、2015年)追ってその他随時指示する。 
 

その他,井口『まちづくり・観光と地域文化の創造』(学文社,2005年) 
井口『観光文化と地元学』(古今書院,2011年)

<備考/Remarks>

中間およびまとめのレポートにおいて,上記のテキストと配布プリント,自筆ノートの持ち込みを認める。 
なお,中間レポートの日程については,その変更がある場合講義中に指示する。 
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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