シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10700101-032 

△演習Ⅰ-32 (環境問題をめぐる法と政策)
Seminar I-32 -Environmental Law and Policy-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  小谷 真理

<概要/Course Content Summary>

 この演習は,特に環境政策の分野を中心に,日常生活の中で行政がどのように機能しているのかという視点から,行政を規律する法システムの構造について学び,その実践の場にも目を向けて,よりよい環境法政策のありようとは何かを問うことを目的としています。  
 法はそもそも問題解決のための手立ての一つですが,私が専門とする行政法の世界では,交通事故や食中毒といった困った事態が生じる事を防ぐために,行政が事前にチェックをする仕組みとして法律に基づき免許や許可といったシステムが作られています。それは,環境の分野においても,大気汚染や地球温暖化といったことから景観問題に至るまで,人間の活動によって環境に負荷がかかり問題が発生していれば,それを解決し,またその発生を予防するシステムとして法政策が機能しています。 
 具体的には,できるだけ身近な社会問題にアプローチするため,私たちの生活環境にかかわる問題を中心に研究を進めることを予定しています。たとえば,私たちは誰でも毎日ごみを出して生活をしています。このごみ処理が,今大きな問題となっています。大量生産・大量消費・大量廃棄社会の結果,急激なごみ排出量の増加に対応した処理施設の確保が難しくなっています。特に,プラスチックごみに関しては世界的にも海洋汚染の原因として注目を集めています。このままいけば,2050年には,海にいる魚すべての重量よりプラスチックの方が重くなるとも言われる現状に対して,行政による規制の動きや,プラスチック製品を製造あるいは利用する企業が脱プラスチックに取り組み始めています。私たちも消費者の立場から,何ができるのか,考える必要がありそうです。ごみ問題対策として,リサイクルを進めることがよく言われますが,ごみ問題はもはや再資源化だけでは対処しきらない状況にあります。また,リサイクルはその過程で環境負荷をもたらしてしまいます。根本的な解決のためには,Reduce(発生抑制)やReuse(再利用)の観点を意識することが重要です。2Rを推進するには,販売方法の工夫とそれを選択する消費者の行動変化がカギとなります。行政,企業,市民それぞれにアプローチした政策に目配りした研究を進められればと思います。 
 他にも,景観保護,町家や歴史的建造物の保存・活用方法,路上喫煙の禁止,動物の福祉向上問題,防災政策など,ゼミメンバーの関心に合わせて様々な問題を取りあげてきました。もちろん行政法の問題として生活保護や薬害問題などを研究対象とすることもあります。時には,教室を出て法政策の現場に足を運び,政策内容と現状がマッチしたものになっているのか,実見による調査を行うことで,議論を深めています。夏休みには海外に赴き,1週間程度の期間,その時々のホットイシューについて,専門家やアクティビストにレクチャーを受けたり,フィールドワークを実施するなどしています。

<到達目標/Goals,Aims>

学生が以下の目標を達成できるようになることを目指します。 
・報告,レポート課題等の作業に必要な情報検索の技術を習得する。 
・環境問題の基礎知識を習得する。 
・身の回りで起きている問題を法学的に捉える視点を意識する。 
・私たちの権利や利益を保護するために環境法システムがどのように機能しているのかを知る。 
・行政が誤った場合に私たちがこれを是正するためにとりうる手だてを理解する。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ガイダンス  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の通読 
(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 情報検索方法  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習 
(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 身近な環境問題と解決のための行政政策に関する情報収集・テーマ選定  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習 
(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 環境法政策概論  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習 
(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 社会の法律問題に関する情報収集・テーマ選定  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習 
(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) グループ報告(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は報告準備(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) グループ報告(2)  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は報告準備(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) グループ報告(3)  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は報告準備(1~2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) フィールドワーク:京都市におけるごみ政策の現状  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,FW報告レポート作成(1~2時間) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 講演:循環型社会とサーキュラーエコノミー  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,事後レポート作成(1~2時間) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) グループ報告(4)  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は報告準備(1~2時間) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) グループ報告(5)  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は報告準備(1~2時間) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) グループ報告(6)  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は報告準備(1~2時間) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) フィールドワーク:地域住民によるまちづくりの現場視察・インタビュー  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習,担当者は計画策定(1~2時間) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示課題等の準備の予習,復習(1~2時間) 

基本的にゼミの運営は,グループ単位での報告を中心として取り組んでもらいます。グループ報告のテーマはゼミ生の皆さんと相談の上で決定します。 
グループ単位での報告を学期中2~3回程度,求めます。報告準備に際しては必要に応じて,フィールドワークやインタビューの実施などが含まれます。適宜,ゼミ全体でフィールドワークを授業時間外に行うこともあります。 
限られた講義回数の中で深い学習をするためには,ゼミ生各員の意欲的な取組みが前提となりますので,その点をよく理解してください。また,充実したゼミを行うためにも,親睦行事への積極的な参加を望みます。 
上記は予定であり,変更となることがあります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

ゼミに対する貢献度  50%  出席,主体的な参加,報告準備における積極性,チームワーク等 
報告内容  50%  報告の体系性・論理性と資料データの充実度 

評価方法の詳細については,初回時に具体的な説明を行いますが,授業への出席は大前提です。ゼミの各人が単純に割り当てられたトピックをこなすだけではなく,意欲を持って積極的に研究活動に取り組むことを求めます。

<テキスト/Textbook>

適宜,必要に応じて授業中に指示します。

<備考/Remarks>

この演習を履修する以前に身につけておくことが望ましいスキル: 
■ 読解能力(日本語) 
□ 読解能力(英語) 
□ 作文能力(日本語) 
□ 作文能力(英語) 
■ プレゼンテーション能力(日本語) 
□ プレゼンテーション能力(英語) 
■ 調査能力 
□ 統計分析能力 
□ 政策(企画)立案能力 
□(        担当者自由記述欄) 
 
 

 

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