シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△原価計算論
Cost Accounting
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  頼 誠

<概要/Course Content Summary>

 原価計算では,製品一単位あたりに,かかったものを計算し(価値の消費を金額的に表わし),主として計算のメカニズムについて学ぶ。換言すれば,財務諸表作成のための製造原価情報について学ぶ。これに対して,この授業では,原価計算制度に限定しない。制度上は使用されない原価概念や,より広いコスト情報の利用の仕方について知ってもらうことを目的とする。新しいトピックスとしては,戦略的コスト・マネジメントがある。 
管理会計は経営活動のさまざまな局面で戦略プロセスとかかわってきた。伝統的な管理会計でも業務的意思決定や投資意思決定において,管理会計は代替案の経済性評価のために貢献してきた。しかし,本講義ではむしろ,戦略立案・実行のために役立つ管理会計に興味の中心がある。したがって,難しい原価計算などはあつかわず,むしろ考え方や学び方を中心に講義したい。 
 
 受講者数が少ない場合,受講者の希望を配慮しながら,授業内容を決めたい。原価計算を全く学んだ事のない学生諸君にも理解できるようにコストマネジメントの基本から学んでいく。ほとんどの学生諸君は,会計学専攻ではないと考えているので,授業も学部レベルから入りたい。 
 授業の進め方としては,専門書の輪読という形が望ましいが,受講者が少ない場合,留学生が多い場合は,なかなか難しいので,私が講義するのと,演習方式を併用したいと思っている。これについても相談したいと思う。したがって,テキストの選択も受講者の顔ぶれをみてからということで,一応文献を下記にあげておくが,最終的には,講義が始まってから決めたい。 
  

<到達目標/Goals,Aims>

 本授業の到達目標は,基礎概念と主要なツール,企業における原価情報の利用の仕方がある程度わかり,より上級の専門書が自分で読めるようになることである。 
 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回  (内容/ Contents) 原価の一般概念(原価とは何か。原価の本質,分類,諸概念など)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 2回  (内容/ Contents) 原価計算目的・機能, 
個別原価計算 
(授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 3回  (内容/ Contents) 総合原価計算(進捗度,仕損・減損の意味など)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 4回  (内容/ Contents) 標準原価計算と原価管理 
(原価維持・原価改善・原価企画) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 5回  (内容/ Contents) 戦略的コスト・マネジメント  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 6回  (内容/ Contents) 品質原価計算(品質概念,品質管理との関係) 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 7回  (内容/ Contents) ライフサイクル・コスティング  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 8回  (内容/ Contents) ABC(活動基準原価計算)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 9回  (内容/ Contents) ABM(活動基準原価管理)  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 10回  (内容/ Contents) 原価企画(1)①原価企画の構成要素,②QFDの数値例, ③製品開発活動との関わり,  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 11回  (内容/ Contents) 原価企画(2)④VE/VA,⑤LCCとの共通点,リエンジニアリングと管理会計  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 12回  (内容/ Contents) 原価企画(3)⑥日本的サプライヤー関係,⑦クロス・ファンクショナル・チーム  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 13回  (内容/ Contents) 設備投資の収益性分析(1)①投資分析の枠組み,②IRR法とNPV法の分析,③キャッシュフローの見積り  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 14回  (内容/ Contents) 設備投資の収益性分析(2)④NPVとIRRのさらなる検討,⑤資本コストと管理会計,⑥資本配分と投資案評価  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 
(実施回/ Week) 15回  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内容の復習 

上記のシラバスはとりあえずのものです。授業の進度に応じて,参考文献を使用したり,順序を入れ替えたり,内容を差し替えたりすることがあります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加等)  40%  出席,質疑応答など 
小レポート  30%  授業内容の理解 
クラスで発表など  30%  分担箇所の報告 
特記事項    受講者が一人の場合,相談の上,内容を変えることがある。 

 大学院の専攻が会計学ではない人にも,興味があればとって欲しいと思います。管理会計を学ぶのが初めての学生諸君には基本から,学生諸君の能力にあわせて授業内容を考え,評価します。共に考え,学びましょう。

<テキスト/Textbook>

淺田孝幸他著  『管理会計・入門』第4版  (有斐閣アルマ、2017年)

 

岡本清・廣本敏郎編著  『検定 簿記講義 2級工業簿記』 (中央経済社、2019)

 

<参考文献/Reference Book>

淺田孝幸・伊藤嘉博編  『体系現代会計学 第11巻 戦略的管理会計』(中央経済社、2011年)この文献は,現代会計学の成果をまとめたシリーズの一冊であり,日本の代表的な会計学研究者が著者となっています。読み応えのある一冊です。 
 

新井康平  『進化する生産管理会計』(中央経済社、2020年)
 

谷武幸  『エッセンシャル管理会計』(中央経済社、2011年)管理会計の入門書ですが,管理会計を学ぶのが初めての人は,この中にある,コスト・マネジメントの部分を読んで,基礎的知識をつけることから始めてください。 
 

櫻井通晴著  『管理会計(第6版)』6版 (同文かん)分厚い本で,いろいろなことが詳しくのっているので,調べるのに重宝します。 
 

加登豊他  『管理会計研究のフロンティア』(中央経済社、2010年)いろいろレビューされている研究書で,初学者には読むのが難しいですが,この本で読むべき参考文献を探してください。 
 

梶原武久  『品質コストの管理会計』(中央経済社、2008年)
 

シャンク&ゴビンダラジャン著,種本広之訳  『戦略的コストマネジメント』(日本経済新聞社、1996年)名著です。古典です。amazon,古本で探してください。 
 

小林哲夫著  『現代原価計算論-戦略的コスト・マネジメントへのアプローチ-』(中央経済社、1993年)この本は,名著であり,現在でも有意義な含蓄を含んでいる。これを出発点として,新しい本をいろいろ探索して欲しい。なお,新品が手に入らない場合は,amazonで,古本で手に入れてください。以下に,書評があります。http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/2028/1/keiei_30(4)_sato.pdf 
 

<参照URL/URL>

researchmap 
頼の経歴と研究内容の紹介です。 

<備考/Remarks>

 私は,現在,兵庫県立大学の大学院・会計研究科の教授です。管理会計・原価計算が専門です。同志社大学では,中川先生,河合先生,加登先生などが同じ分野の先生です。近年,企業のヒアリングをするようになり,会計学というよりは,経営学のようなことをやるようになってきています。純粋持株会社や,総合商社に興味をもっています。時間があれば,それらの話もできればいいなと思います。そういうわけで,会計学専攻以外の学生諸君にも受講してもらえたらと思っています。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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