シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10523041-002 

△現代企業論-2
Contemporary Enterprise-2
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  山崎 敏夫

<概要/Course Content Summary>

 この講義では,第2次大戦後の企業経営の問題を,企業間関係の面を中心に考察する。現代の大企業は,企業間の激しい競争を展開しながらも,さまざまな面において企業間の協調関係を築きながら行動を行っている。企業間関係に基づく産業集中の体制には,主要資本主義国の間の共通する傾向とともに,各国に独自的なあり方がみられる。この点は,例えばアメリカ,ドイツ,日本についてもいえる。ことにドイツと日本はともに第2次大戦の敗戦国であり,戦勝国の占領政策のもとでも大企業解体が行われたが,その後の再結合の過程などを経て,独自の企業間関係とそれに基づく産業集中の体制を築いてきた。 
 本講義では,ドイツと日本の企業間関係をめぐる諸問題を考察する。この点を,企業グループ体制,産業と銀行の間の関係の面から比較分析し,各国の産業集中の構造とともに,それにも規定された競争構造について明らかにしていく。また企業間の競争のあり方,問題と深く関係する「協調」の重要な手段は,企業間の役員による他社のトップ・マネジメント機関における兼任であるが,この点に関して,「協調的資本主義」と特徴づけられているドイツにおける独自的な企業間人的結合の構造と機能について考察を行う。そのような人的結合は,企業間の情報の交流・共有とそれに基づく利害調整などの基盤をなし,企業間の競争のあり方,構造を規定する重要な要因をなす。こうした点では,日本やアメリカの企業間関係のありようは,ドイツとは異なるものとなっており,企業間関係の面から日米独の企業の行動様式の相違を明らかにしていく。さらに,1990年代以降の資本市場のグローバル化と企業経営の「アメリカ化」の再来のもとでの,株主主権的経営モデル,コーポレート・ガバナンス・システムへの転換をめぐる問題についても取り上げ,その特徴を明らかにしていく。 

<到達目標/Goals,Aims>

学生が企業経営の社会経済的意義について理解し,企業経営の展開を資本主義の発展過程,競争構造,蓄積構造との関連のなかでとらえる眼を養う。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 第1部 経営学研究と現代企業論   (授業時間外の学習/ Assignments) 予習 
(実施回/ Week) 第2回~第3回  (内容/ Contents) 第2部 第2次大戦後の日本とドイツにおける企業グループ体制と産業・銀行間関係  
1. 戦勝国の占領政策と大企業解体 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習  
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) (1)日本における戦勝国の占領政策と大企業解体 
(2)ドイツにおける戦勝国の占領政策と大企業解体 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習 
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) 2. 日本における企業グループ体制  
(1)企業集団の特徴と意義  
(2)大企業の同一資本系列内の企業グループ  
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習 
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) 3. ドイツにおける企業グループ体制  
(1)コンツェルンとしてのドイツにおける企業グループ 
(2)戦後の企業グループの特徴と意義  
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習 
(実施回/ Week) 第4回~第5回  (内容/ Contents) 4. 日本における産業・銀行間関係 
5. ドイツ日本における産業・銀行間関係 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習  
(実施回/ Week) 第6回~第9回  (内容/ Contents) 第3部 企業間人的結合の構造と機能ードイツの事例  
1. 3大銀行の役員兼任の構造  
  
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習 
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) 2. 鉄鋼業における主要企業の役員兼任の構造 
3. 化学産業における主要企業の役員兼任の構造 
4. 電機産業における主要企業の役員兼任の構造 
5. 自動車産業における主要企業の役員兼任の構造 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習 
(実施回/ Week) 第10~第11回  (内容/ Contents) 6. 役員兼任による企業間人的ネットワークの構造  
(1)3大銀行の企業間人的ネットワークの構造 
(2)鉄鋼業主要企業の企業間人的ネットワークの構造 
(3)化学産業主要企業の企業間人的ネットワークの構造 
(4)電機産業主要企業の企業間人的ネットワークの構造 
(5)自動車産業主要企業の企業間人的ネットワークの構造 
(6)企業間人的ネットワークの構造の産業間・企業間比較 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習  
(実施回/ Week) 第12~13回  (内容/ Contents) 7. 役員兼任による企業間人的結合の機能ー兼任役員による企業間の調整的機能  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
テキストでの学習 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 補論 1990年代以降の株主主権的経営モデル,コーポレート・ガバナンス・システムへの転換をめぐる問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習  
参考文献での学習 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 全体のまとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストでの学習 

授業計画は上記のとおりであるが,進行状態によって一部変更がありうる。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

期末筆記試験  100%  評価にさいしては,講義で取り上げた企業経営の問題・現象の発生の規定要因,具体的内容,意義についての理解度にポイントをおく。  

・企業経営における主要各国の共通性と相違性,それらを規定する諸要因の理解  
・各国の企業間競争構造の特徴の理解  
・企業間協調のシステムの特徴と意義の理解  
・期末筆記試験での成績評価を予定しているが,コロナウイルスの感染状況や試験実施会場のっかうほ等の問題のた め実施が困難となる場合には,レポート試験による評価になることもありうる。 
・テキスト持込み許可の小テストを加点方式(2020年度は満点25点の加点方式で実施の予定)にて行う。なお小テス トを受験しなかったときでも,定期試験での満点は100点として評価が行われることになる。なお,小テストは,コ ロナウイルスの感染状況や,教室確保等の問題のため,実施が不可能となる場合もありうる。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
301 3.0 45.8 30.9 2.7 17.6 0.0 2.1

<テキスト/Textbook>

山崎敏夫  『ドイツ企業間関係』 (森山書店、2019年) 生協  指定のテキストは講義の初回からほぼ毎回使用するので,受講者は必ずご用意されたい。 

 

<参考文献/Reference Book>

山崎敏夫  『現代のドイツ企業-そのグローバル地域化と経営特質-』(森山書店、2013年) 生協 
 

この参考文献は,講義で扱う問題の背景となる理解にとって参考になるであろう。

<備考/Remarks>

科目の内容から,企業論関連科目および経営史などの講義を並行して履修されると,より系統的な学習が可能になり,本講義の理解の助けとなろう。企業論関連科目の中核となる講義なので,是非受講されたい。 
 本講義は,オンラインでの授業となり,オンデマンドでの配信を基本とするかたちを採用する。学習のために参考となる資料と授業内容を記録したものをオンデマンドで配信する予定である。  

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
Copyright(C) 2020 Doshisha University All Rights Reserved. 無断転載を禁止します。