シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10522623-001 

△都市交通論-1
Theory and practice of urban transport-1
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  青木 真美

<概要/Course Content Summary>

  本講義では,現代の都市における交通問題の分析とその要因について解説するとともに,以下のような視点からわが国における国民の交通行動と社会生活を省みて,ありうるべき都市交通の将来像を検討する。   
 第二次大戦後の世界の多くの大都市は,自動車利用の進展(モータリゼーション)によるさまざまな問題の発生を経験している。その問題とは,交通事故,渋滞,大気汚染,環境問題,中心市街地の消失や都市のスプロール化による地域社会の衰退などである。その結果,クルマ依存型の社会に対する反省から,1980年代後半ごろから自動車利用の抑制についてのさまざまな政策が採られるようになってきた。具体的には自動車利用の抑制(ノーマイカーデー,都心部分への流入制限),自動車利用の排除(ラドバーン,トランジットモールなど),コンパクトシティ構想,路面電車の復活(LRT)などである。京都においても「歩くまち京都」政策として,多様な施策が実施されている。   
 また,クルマへの依存からの脱却に重要となってくる公共交通機関の充実については,わが国の大手私鉄が交通だけでなく商業や地域開発などを一体として行うことで,全体として利益をあげるというビジネスモデルがあり,世界的にも注目されてきた。先進国の多くでは公共交通機関については公的補助なしでは成立しない状況にある。   
 わが国でも今日,特に首都圏以外でも大手私鉄企業のこれまでのビジネスモデルにも限界が見えてきており,地域交通に公的資金を導入するという世界の主流を占める考え方が改めて注目されている。今後の都市公共交通機関の経営と,そこへの公的関与のあり方についても考察していきたい。   
 本年は新たに翻訳されたテキストも用いて,ヨーロッパの都市交通についても学習していく予定である。  
 以上のような点を講義で理解していくために,まず一番身近な京都の都市について紹介し,さらに19世紀末以来の都市の発展と交通のあり方の関係を歴史的に振り返ったうえで,今日の課題についてテーマ別に議論することとする。   
 なお,本講義では3回課題(小テスト,質問票)の提出と期末のレポートを実施する。資料配布や動画の配信についてはe-classを利用するので,毎週きちんとチェックを行うこと。 
が交通だけでなく商業や地域開発などを一体として行うことで,全体として利益をあげるというビジネスモデルがあり,世界的にも注目されてきた。先進国の多くでは公共交通機関については公的補助なしでは成立しない状況にある。  
 わが国でも今日,特に首都圏以外でも大手私鉄企業のこれまでのビジネスモデルにも限界が見えてきており,地域交通に公的資金を導入するという世界の主流を占める考え方が改めて注目されている。今後の都市公共交通機関の経営と,そこへの公的関与のあり方についても考察していきたい。  
 さらに,ドイツの交通政策について紹介された翻訳テキストを用いて,ヨーロッパの都市交通についても学習していく予定である。 
 以上のような点を講義で理解していくために,まず19世紀末以来の都市の発展と交通のあり方の関係を歴史的に振り返ったうえで,今日の課題を考え,順次テーマ別に議論することとする。  
 なお,講義では1回質問票を回収し,有意義な質問については次回以降の講義で回答し,学生の参加を促すような講義運営を行う。また,ディスカッションを1回行い,それを通じて,到達目標(3)への接近をめざす。 
 
 

<到達目標/Goals,Aims>

(1)都市の発達と交通の発達についての相互関連について理解できるようになる。   
(2)今日のわが国における都市交通に関する諸問題について認識できるようになる。   
(3)今後の都市交通政策のあり方と,公共交通企業の経営の課題について考えることができるようになる。  

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) はじめに 都市とは何か  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 京都の都市の成立と都市交通政策  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 鉄道の登場と都市の変容 及び 
『交通政策:ドイツにおける新しい潮流』第6章 
(授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメとテキストの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) わが国と先進諸国における都市鉄道経営の特徴  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 現在の都市交通の状況ー日本と世界の各都市  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) モータリゼーションの発達と都市の面的拡大 及び 
『交通政策:ドイツにおける新しい潮流』第10章  
(授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメとテキストの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 都市交通と環境問題 及び 
『交通政策:ドイツにおける新しい潮流』第3章 
(授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメとテキストの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) LRT革命 ヨーロッパにおける動き  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 路面電車とLRT 日本における動き  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) バス改革 武蔵野市(東京)と京都~コミュニティバスの導入   (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 地方都市や過疎地域における交通問題 及び 
『交通政策:ドイツにおける新しい潮流』第13・14章 
(授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメとテキストの予習 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 自転車と徒歩交通~Non-motorized 交通の現状と可能性   (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 都市交通と社会問題 及び 
『交通政策:ドイツにおける新しい潮流』第8・9章 
(授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメとテキストの予習 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 質問表の取りまとめと回答  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 授業のまとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) e-classで配布されたレジュメの予習 

時事的な問題(たとえば新しい鉄道路線の開業)などについては,随時授業でとりあげる  
質問票の内容などをもとに,より丁寧な説明が必要と考えられたときは,授業の進度を変更する場合がある。 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

期末レポート  55%  講義内容を正確に理解しているかどうか。 
期間中における3回の課題  30%  小テスト,質問票の提出 
レジュメのダウンロード  15%  e-classから毎回ダウンロードをしているか 

 期間中の提出物はe-class上での提出となる。第4回と第12回に小テスト,第10回に質問票の提出を予定している。小テストは授業内容に関するもので,きちんと理解できているかをチェックする。また質問票は授業に対して的確な質問ができるかどうかを判断する。 
 期末レポートは,講義内容を正確に反映した内容を記述できるかどうかをみる。期末レポートは,DUETでの提出となるので注意すること。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
127 3.9 17.3 25.2 26.0 27.6 0.0 1.4

<テキスト/Textbook>

ドイツ交通研究会  『交通政策-ドイツにおける新しい潮流-』初版  (ミネルヴァ書房、2019) 生協  350  ISBN:978-4-623-08596-5  ドイツの交通政策を紹介したもので,授業でもその内容を扱うので必ず入手しておくこと 

 

テキストと並行して,レジュメをe-classシステム上で配布するので,授業前にダウンロードして,動画視聴の際には必ず参照すること

<参考文献/Reference Book>

小池滋・和久田康雄(編)  『都市交通の世界史-出現するメトロポリスとバス・鉄道網の拡大-』(悠書館、2012)ISBN:978-4-903487-53-3 
 

西村弘  『脱クルマ社会の交通政策-移動の自由から交通の自由へ-』(ミネルヴァ初号、2007)ISBN:978-4-623-04852-6 
 

斎藤峻彦著/関西鉄道協会都市交通研究所編  『鉄道政策の改革-鉄道大国・日本の「先進」と「後進」-』(成山堂緒言、2019)ISBN:978-4-425-96301-0 
 

高橋愛典  『地域交通政策の新展開-バス輸送をめぐる公・共・民のパートナーシップ-』(白桃書房、2006)ISBN:4-561-76168-3 
 

青木真美  『ドイツにおける運輸連合制度の意義と成果』初版 (日本経済評論社、2019)211 ISBN:978-4-8188-2534-5 
 

このほかの参考文献は講義の中で随時紹介する

 

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