シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10522442 

△西洋商業史
Commercial History of The Western
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  鴋澤 歩

<概要/Course Content Summary>

本講義では,「西洋」すなわち主にヨーロッパ世界を中心とするグローバルな商業・貿易の展開と世界経済の成長を概観する。 
 経済や社会の「グローバル化」が唱えられてすでに久しいが,そもそも「グローバル化」とはなんだろうか? それは日本社会に住む私たちの生きている場が,そのまま日本の外の世界とつながっており一体のものであることを前提にして日々の生活を営まなければならないし,自然にそうなっている(なりつつある)という事態を指すものだといえよう。 
 本授業はこうした現に私たちの身に生じているグローバル化を踏まえて,流通・交通というまさにグローバル化の牽引力である要素を主に観察対象とすることで,「西洋」という地理的に遠い地域の歴史を新たに見直してみようとするものである。 
 かつて「西洋史」には,現在とはやや異なった役割が割り振られていた。この国において自分に相応しい場所を得ていないという意識から,理念的な「西洋」という(あるいは「アメリカ」でも「国際社会」でも「英語圏」でも「国連」でも「外資系企業」でもなんでもよいのだろうが,とにかく)「こことは違う場所」を設定し,そちらの領分に自分を置いてみせることで同胞たちに自己の存在を誇示しかりそめの自足を得る態度と,それは残念ながら無縁ではなかった。つまりは「出羽の守」であるが,彼らの「日本と違って○○では」という言行が,私たちの社会にとって幾何かとはいえ生産的な意味を持ち得た時代が,たしかになかったわけではない。だが現在,ご存じのとおり,そうした「出羽の守」的言説は,たいていは娯楽以上の価値を持たなくなったようである。「西洋」の歴史についての研究・学習も,対象に一方的な思い込みを仮託して理念的な「モデル」をそこに求める作業は,学問的価値を大半失ってしまった。 
 グローバル化の進行した現代において求められるのはまず,立場や利害や理念の相違から来る偏見を排した正確な事実=史実の確認であり,世界的に共通の認識を求めて対話と議論を続けている国際的な歴史研究は,それに貢献するだろう。 
 したがって本講義では,我が国の伝統的な「西洋史」研究の問題意識にも必ずしもこだわらず,最近の比較的新しい研究成果を積極的に導入しつつ,「西洋商業史」をその中に包含するグローバル・ヒストリーへの導入を図りたい。 
 授業は教科書の内容を踏まえつつ,パワーポイントを提示し,それに対する説明を加える形で進める。 
キーワード; グローバル化,西洋史,グローバル・ヒストリー

<到達目標/Goals,Aims>

欧米経済の歴史的なりたちについて,基礎的な知識を得る。 
将来の国際的な活躍において必須の,欧米社会の歴史を軸とする歴史認識に触れる。 
血沸き肉躍る(?)が学問的な裏付けを欠いた物語としての歴史(いわゆる「トンデモ」偽史)と,歴史学における議論との区別が体得できるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1  (内容/ Contents) 導入:「商業史」研究・学習の必要と意義 / 商業のおこりとは  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 2  (内容/ Contents) 古代地中海世界の商業 -「ローマ」という存在   (授業時間外の学習/ Assignments) 何らかの「ローマ帝国」に触れた本や映像(ジャンル不問)を確認 
(実施回/ Week) 3  (内容/ Contents) 中世ヨーロッパの商業1 -「商業の復活」はあったのか  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書 「序章」の確認 
(実施回/ Week) 4  (内容/ Contents) 中世ヨーロッパの商業2 -都市,大学,帝国  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 5  (内容/ Contents) ヨーロッパの「拡大」と商業 1 -膨張のはじまり,「新世界」の意義  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書 「第1章」「第2章」の確認 
(実施回/ Week) 6  (内容/ Contents) ヨーロッパの「拡大」と商業 2 -「近代世界システム」をめぐって  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書 「第3章」2「ヨーロッパ外との連関の重視」 確認 
(実施回/ Week) 7  (内容/ Contents) ヨーロッパの「拡大」と商業 3 -「貿易の嫉妬」と海外帝国  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 8  (内容/ Contents) 最初のグローバリゼーション 1 - 自由貿易と工業化  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書「第7章」 確認 
(実施回/ Week) 9  (内容/ Contents) 最初のグローバリゼーション 2 - 「帝国主義」と国際金本位制  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 国際商業の崩壊と再生 ― 「第二の三〇年戦争」と再建金本位制  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書「第8章」 確認 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 世界大不況と国際商業の崩壊 - 全体主義とアウタルキー  (授業時間外の学習/ Assignments) 参考書 「序章」参照 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 「貿易は成長のエンジン」 - 経済成長の黄金時代と国際交易体制  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書「第9章」確認 /参考書 第2章 参照 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 分裂と統合 ― 冷戦体制とヨーロッパ統合  (授業時間外の学習/ Assignments) 教科書「第10章」確認  
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) グローバリゼーションと世界経済  (授業時間外の学習/ Assignments) 参考書 「第1章」「第2章」参照 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments)  

今回は新型コロナ感染症対策により,オンライン授業の形態で実施します。ZOOMを利用する予定ですが,同志社大学の推奨する媒体に変更する可能性があります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  10%  オンライン授業であるが,出席をとる代わりに,出席確認がわりの個別呼びかけを随時おこなうものとする。理由を問わず3回以上呼びかけに答えられなかった場合は,出席点を失うものとする。ただし大学の認める事情(事故・長期入院など)での欠席(不参加)はこの限りではない。 
小レポート  10%  授業時間中,ないしは1週間程度の〆切で簡単な課題に1-2回答えて貰う予定(受講人数によっては実施しない場合もある) 
クラスへの貢献度    授 
期末試験  80%  対面式の試験実施が可能な場合は通常の形式の試験をおこなう。新型コロナ感染症対処の状況に年内に大きな変化がない場合は,期末レポート試験(試験に代わる課題への解答を要求する物)提出をもって期末試験に代える。 

教科書を指定しているが,授業内容はそれを越える内容を持つところがあるので,配布する教材・授業ノートを必ず参照して試験またはレポート試験に臨んでください。またレポートにおいて既存のウェブサイトをコピペすることは,その行為自体の是非に関わらず,合格点を望めないことをあらかじめ銘記しておいてください。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
28 39.3 25.0 7.1 0.0 28.6 0.0 2.5

<テキスト/Textbook>

奥西・ばん澤・堀田・山本  『西洋経済史』 (有斐閣アルマ、2010) ISBN:9784641124042 

 

<参考文献/Reference Book>

ばん澤歩   『鉄道のドイツ史』(中公新書、2020)ISBN:978-4-12-102583-8 授業内容では後半の近現代に入ってからの内容で参考とできる。 
 

<備考/Remarks>

オンライン授業を予定 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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