2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

　われわれは，「資本主義」，すなわち，企業（会社企業）を中心とした社会に生きている。政治経済学の理論は，一般に，経済社会を資本主義としてとらえ，その社会編成の原理について検討することを目的としている。　
　ところで，19世紀における資本主義の確立以来，経済は成長と循環の過程を繰り返してきた。この講義は，資本主義における成長と循環およびその変化に焦点をしぼる。そこで，政治経済学の潮流が，この問題をどのようにとらえてきたか，従来の研究を振り返るとともに現代の研究動向を整理する。とくに，近年の先進諸国の長期的経済停滞傾向と所得格差の増大をふまえ，政治経済学の潮流にある議論における長期停滞の要因についての研究を批判的に検討する。日本経済の成長と所得分配には，日本の雇用システムの特徴とその変化が大きな影響を与えている。そこで，この点を視野に入れて「資本主義の多様性と雇用システムの多様性」について検討する。上記の検討を通じて，現代の経済学のもっている特質ならびに問題点を明らかにしたい。

＜到達目標/Goals,Aims＞

この講義を通じて，受講生が次の点を理解できるようになることを目指す。　
　①政治経済学の潮流における資本主義の循環と構造変化の理論を理解すること　
　②現代の長期経済停滞と所得格差の現状・課題について，政治経済学の見地から理解すること　
　③日本の雇用システムの特徴とその変化を理解すること　
　④経済学の歩み，現在の到達点と課題を，政治経済学の見地から理解すること

＜授業計画/Schedule＞

受講生の研究テーマに即して授業計画を変更する場合がある。その際には，受講生と相談する。

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞

・授業時に取り上げる文献の内容整理および討論　
・自己の研究に関する，研究の目的，研究の背景，研究の手順，先行研究の整理についての報告

＜テキスト/Textbook＞

使用するテキストは，初回授業時に受講生と相談の上決定する

＜参考文献/Reference Book＞

その他の参考文献は授業中に適宜指示する。　

＜備考/Remarks＞

授業形態：対面形式で実施する。ただし，留学生など，受講生の状況に応じて柔軟に対応する。