<概要/Course Content Summary>
本講義の目的は,社会政策について一人一人が考えるための補助線を提供することにある。そのため,PBL(problem based learning)の手法を出来る限り用いて授業を行いたい。 社会政策という学問領域は,経済学のみならず,社会学,政治学,哲学,歴史学など様々なアプローチによって分析されうる。同一の政策が,経済政策でもあり社会政策でもあることを考えれば(例えば所得保障政策はマクロ需要管理という点からみれば経済政策だが,人々の必要の充足という観点からみれば社会政策である),むしろ経済学以外のアプローチをどのように分析に組み込むかが重要であるともいえる。とはいえまずそれぞれのアプローチを習得しようとしていたら,それだけで日が暮れてしまう。したがって受講にあたって特に学問的な予備知識を要求しない。 代わりに要求するのは,社会政策の現状への関心と,それに基づいた積極的な授業参加,および自習である。そのため下記参考文献のなかから1冊は受講前に読んでおくこと。また受講中に耳慣れない言葉,知らない事実などに遭遇したときには,それらについて調べてみるなどの,積極的な復習,及び下記HP上のリーディングリストの文献や授業中に紹介する文献から数冊は読んでみるといった積極的な自習を,授業出席に平行して行うことが望ましい。 実際の社会政策は,日常生活と密接に関連している。日常生活と密接に関連しているということは,生活実感にひきつけて理解することが可能であるという長所をもつ反面,自らの立ち位置や偏見からなかなか自由になれないという短所をももつ。日常から出発するということ,自らの日常を相対化すること,の双方が重要である。 いずれもどこかに一義的な答えがある問いではない。これらの問いへの多様な回答の仕方についてこの授業で考えることが,社会政策上の様々な問いを自ら発見していくきっかけになれば,本講義の目的は達成されることになる。 具体的には,ワークライフバランス,同一価値労働同一賃金,性別役割分業と年金,障害と社会モデル,平等と効率,などのトピックに触れる予定である。 *本講義は,本年度春学期の社会政策1を履修していることを前提に,組み立てられる。
<到達目標/Goals,Aims>
学生が,社会政策について,共感に基づいて(warm heart)問いをたて,その問いに理性的に(cool head)答える道筋を見つけること。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
1
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(内容/ Contents)
10年後のワークライフバランス・ワークショップ
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
2
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(内容/ Contents)
ワークライフバランスの取り組み
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(授業時間外の学習/ Assignments)
関連文献の読み込み(20-50分)
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(実施回/ Week)
3
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(内容/ Contents)
長時間労働の現実
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(授業時間外の学習/ Assignments)
関連文献の読み込み(20-50分)
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(実施回/ Week)
4
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(内容/ Contents)
性別役割分業:対立する価値観と現実
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(授業時間外の学習/ Assignments)
講義中に紹介された各説への反論を考えてみる。(10-30分)
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(実施回/ Week)
5
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(内容/ Contents)
映画やドラマ等にみる性別役割分業
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(授業時間外の学習/ Assignments)
映画や小説と社会政策の関連について考えてみる。
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(実施回/ Week)
6
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(内容/ Contents)
年金権とケア労働
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(授業時間外の学習/ Assignments)
関連文献の読み込み(30-60分)
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(実施回/ Week)
7
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(内容/ Contents)
同一価値労働同一賃金の歴史と経済学
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(授業時間外の学習/ Assignments)
労働とその対価のあり方について,自分の考え方をマッピングする。(10-30分)
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(実施回/ Week)
8
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(内容/ Contents)
同一時間労働同一賃金と障害者運動
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(授業時間外の学習/ Assignments)
自ら問いを立て,その解決のためにすべきことをマッピングする。(10-30分)
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(実施回/ Week)
9
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(内容/ Contents)
中間評価
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(授業時間外の学習/ Assignments)
復習(60-120分)
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(実施回/ Week)
10
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(内容/ Contents)
医学モデルと社会モデル
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(授業時間外の学習/ Assignments)
障害や就労をめぐる自らの考えを整理する(10-30分)
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(実施回/ Week)
11
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(内容/ Contents)
価値判断とパレート原理
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(授業時間外の学習/ Assignments)
自らの価値判断を可視化する。(10-30分)
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(実施回/ Week)
12
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(内容/ Contents)
マタイ効果とマグネシア国
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(授業時間外の学習/ Assignments)
関連文献の読み込み(30−60分)
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(実施回/ Week)
13
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(内容/ Contents)
SFと社会政策
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(授業時間外の学習/ Assignments)
自らの価値判断を可視化する。(10-30分)
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(実施回/ Week)
14
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(内容/ Contents)
何の平等か
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(授業時間外の学習/ Assignments)
関連文献の読み込み(30−60分)
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(実施回/ Week)
15
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(内容/ Contents)
振り返り
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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・上記の内容について15週かけて講義する予定。 ・熱心な受講者の問題関心によっては,いくつかのトピックを深く学んだり,ゲストスピーカーを招聘したりする可能性あり(時間の関係で他のトピックのいくつかは触れない形になりうる) ・受講生の人数などによっては,上記計画が変更となる可能性がある。 ・ビデオを視聴する,講義や報告,議論などを聞く,報告や議論などで話すことが予定されています。また段差がありまた一定の化学物質が空気中に揮発している教室などでそれらを行う可能性があります。合理的配慮が可能な場合もありますので,必要な場合,学部・研究科事務室にご相談下さい。
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点(クラス参加,個人ないしグループ作業の成果,質問やコメント等。出席点ではない)
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20%
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質問や議論などを通じたクラス参加, 個人ないしグループ作業の成果報告,コメント等を通じて,到達目標に達しているかどうか。
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提出物
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10%
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提出物が提出され,一定の水準に達しているかどうか。
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中間・期末テスト
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70%
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試験を受験し,設問に回答し,その内容が,到達目標に達しているかどうか。
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受講人数によっては評価項目の点数配分が変わる可能性もある。
<成績評価結果/Results of assessment>
成績評価の見方について/Notes for assessment
登録者数 |
成績評価(%) |
評点 平均値 |
備考
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A |
B |
C |
D |
F |
他 |
61 |
27.9 |
8.2 |
14.8 |
24.6 |
24.6 |
0.0 |
1.9 |
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<参考文献/Reference Book>
<備考/Remarks>
・授業時の配布資料および試験問題の一部に英語が使用される場合もありうる。 ・授業形態:現時点(2020年8月31日)ではネット配信(Vimeo配信,双方向性はgoogle formsによる課題の提出と,提出された皆さんの回答の一部を次回授業の動画で共有,コメントする形で担保)を予定しています。
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